プラスチックに宿るいのち            〜生命の創造 テオ・ヤンセン展〜 | mocaのブログ

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先週日曜日は、お台場にある科学未来館へ行ってきました。

ここは科学に関する展示や体験型のアトラクションなどを揃えたサイエンスミュージアム。
外観もガラス張りで、未来的なデザインの建物です。


$mocaのブログ-科学未来館


この中ではプラネタリウムや映像コーナー、実験イベントなどが行われていて、常設展示だけでも十分楽しめる内容になっているんですが、今回の目的は特別展示のテオ・ヤンセン展。


$mocaのブログ-テオ・ヤンセン展



このイベント、どういうものかと言うと、物理学者でもありアーティストでもあるテオ・ヤンセンが創りだした「ビーチアニマル」という一連の作品を展示するというものです。

「ビーチアニマル」とは、主にプラスチックのチューブパイプを組み合わせて作られた仮想の生物。
浜辺をすみかとし、風を食べて生きている風食動物という設定です。
チューブパイプが複雑に組み合わさった見た目は甲殻類とか昆虫のよう。


会場入り口にいたビーチアニマル

$mocaのブログ-入り口にいたビーチアニマル


まあ正直文章で説明してもピンと来ないと思うので、動画を見てもらうのが一番分かりやすいと思います。

ビーチアニマル動画
http://www.youtube.com/watch?v=lRlIruzh9BY&NR=1&feature=fvwp

ね、すごいでしょ!
正直この展示のことはまったく知らなかったんですが、何か面白いイベントがないか探してたところ、ネットで見つけて一気に引き込まれました。


会場には多数のアニマル達が展示されていて、初期の失敗作から試行錯誤を経て文字通り進化していく様子が分かるようになっています。

板で作られたアニマル

$mocaのブログ-板でできたアニマル


ナウシカの王蟲みたいなやつ

$mocaのブログ-王蟲みたいなやつ


中でもすごかったのは巨大な最新型ビーチアニマルの実演。その体は象を2匹並べたよりも大きな巨体で、恐竜のようにも見えます。このでっかいのがガシャガシャと大きな音をたてながら自分に向かって歩いてくるのは、なかなかの迫力。

最新型のビーチアニマル

$mocaのブログ-巨大な最新型アニマル



この展示が面白いのは、これらの作品のコンセプトが機械の制作ではなく、あくまで生物の創造だというところ。
作品の説明にも随所に生物学的なモチーフが出てきます。

例えば板を素材に作られたビーチアニマルは、頑強ながらもその重量のせいで改良が進まず、結果廃棄(=絶滅)となってしまう。
逆にチューブパイプを素材としたアニマルは耐久性は低いながらも、その機動力と素材の汎用性の高さでどんどんと進化していきます。
この関係はまるで絶滅した恐竜とその後に繁栄した小型哺乳類の歴史のよう。
また身体を構成する素材は遺伝子に見立てられ、有用な素材は優性遺伝子として次の世代に引き継がれて行きます。

ちなみに最新型のアニマルは水や障害物を避けるセンサーを持ち、風の向きや強さによって羽を開閉し、無風時でも動くことができるといったところまで進化しています。


こんなふうに進化を続けるこのアニマルが、いつの日か本当に生命を宿す日が来るんだろうか?
意志と知能を持ち、繁殖を行い、自ら環境に対応して身体を作りかえてゆく。
遠い未来、人間が滅んでしまった後も風を食べながら浜辺をゆうゆうと歩いているアニマルたちの姿を夢想してしまいます。


作者のテオ・ヤンセンは、自分が死んだ後もビーチアニマルが生き残り続けることを望んでいるらしいんですが、その進化がどこまで進むのか僕も楽しみにしています。

残念ながら先週日曜日が最終日だったということで、展示は終わってしまってるんですが、とりあえず動画だけでも見てください。
すごいですよ!