一年ほど前に行きつけだったレンタル屋がつぶれてからはしばらくの間途切れがちだった映画熱なんですが、一度借り始めると自然とサイクルができて止まらなくなるもんですね。
ということで、せっかくなのでこのブログでも面白かった映画をぼちぼち紹介していこうと思います。
初回の作品はこちら。
「麦の穂を揺らす風」 ケン・ローチ監督 2006年

個人的な傾向なんですが、映画を見てると何本かに1本はヘヴィーな戦争ものを見たくなります。
やっぱりコメディとかアクションものが続くと、どうしても別のジャンルでバランスを取りたくなってくるんですよね。
これも2006年カンヌのパルムドールを獲った名匠ケン・ローチ監督の戦争映画。
穏やかな景色が目に浮かぶようなタイトルですが、実際はいやおうなく戦争に巻き込まれて行く人々の悲劇を描いたシリアスな作品です。
舞台は20世紀初頭のアイルランド。
長い間支配されてきたイギリスからの独立戦争がテーマになっています。
この作品では戦争映画に付きものの大規模な爆発や大がかりな兵器などはまったく登場しません。
武器といえば銃と手榴弾程度。
武装どころか集会すら禁止されているアイルランド軍には制服もなく、一見何の変哲もない一般市民が地下に隠れながら抵抗運動を続けているという状況です。
その戦闘シーンも決して派手なものではなく、丈の長い草が風になびく野原で行われる銃撃戦などは、背景が穏やかなだけにどこか非現実的なイメージすら感じさせます。
しかしもちろんそこで行われているのは殺し合いであり、登場人物は驚くほどあっけなく死んでいきます。
裏切り、報復、暴力の連鎖。
平和を求めながらも殺し合いに身を投じざるをえない主人公の境遇には、時代も国も違うのに、自分の身に迫るようなリアリティがあります。
特に後半、対英戦から内戦に切り替わった後の皮肉な展開は強烈。
戦争の無情さに打ちのめされることうけあい。
ケン・ローチ監督の作品は、十代の脆さと危うさを容赦なく抉りだした「Sweet Sixteen」が非常に好きなんですが、この「麦の穂を揺らす風」も緊迫したストーリー展開とリアルな感情描写で、後々まで余韻の残る良作でした。
終始重い展開の作品ですが、重厚なヒューマンドラマを見たい人にはぜひ。
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