狼少女捕獲作戦決行の詳細な内容が決定したらしい。
決行は六月初め。
天気予報では晴れの見込み。
万が一の事に備えて、尾天山周辺はオトナの権力で入れないようにするという。
果たして、孤高の赤毛の狼少女は捕獲できるのか?
僕らの役割は、狼少女の発見。
以後は捕獲隊に任せる手はずになっている。
尚、捜索時、僕らは獣化は可能。
その手の話は捕獲隊にもその事実が既に伝わっているらしいので問題ないとのこと。
そんな一大イベントを控えた僕らは、尾天山のとある別荘にいた。
五月下旬。
日差しが熱くなり始めた初夏。
日和の仲間が動物に変身できるメンバーを招集して、BBQでも開こうとの提案があったらしい。
お呼ばれした僕らはもちろん参加。
日和の見付けた仲間108人が全員集合とのこともあって、いろんな意味でドキドキするのだった。
「さあ、若手は働くよー! 焼くよー、ドンドン食べ物持ってきてー!!」
特にさしあたった自己紹介もなく、とりあえず人が集まり、飲んで食うという休日イベント。
獣化体質の子が子供の場合もあり、家族連れも含めて、人数は2.5倍近く膨れ上がって誰が誰かわからない状態だった。
しかし、獣化体質の子は一目でわかるよう名前と職業と変身する動物が書かれたネームプレートを首から下げることになっていた。
「はいはい、焦らないでねー。肉はしっかり火を通すから」
「ご飯三人前? ご飯三杯おねがーい」
「はいはーい」
「ジュースは何がいい? オレンジ? アップル? オレンジ? オッケー」
「あらー、カモシカに変身なさるんですか? 急に手が蹄に変わると焦りますよね、わかります」
「はい、カルビ焼けたよー」
「エビ入れよ、エビ! AB!」
「うめぇ! さすがお金持ち! いいもの食ってる」
「トイレは別荘の中ねー」
「おかーちゃん、これ食べよう?」
「この滴る野獣の死肉が我の力を目覚めさせん」
「あそこに変なお兄ちゃんがいるー」
何というか、ごった返していた。
それにしてもみんなおしゃべりだ。
BBQを取りに来る人のネームプレートを見て、誰がどんな動物に変身するのか覚えようと試みるが、無理だ。
幼稚園児から老人まで、老若男女様々な人たちがいた。
それぞれ、何気ない話から、獣化の苦労話まで話題は様々。
しかし、その中で印象深い人も何人かいた。
取り分け、鵺の少女と龍の少年だった。
以前、日和に全員の変身する動物を聞かされたことがあるが、鵺と龍以外はすべて哺乳類だった。
だから、不来方で鳥類やカッパなどそれ以外にも変身する人がたくさんいたのは本当に驚いた。
BBQを取りに来る人達を観察しつつ、僕らやおよろずのメンバーは焼き係りに精を出した。