タタタタタ――
 走る。見慣れた山を思いっきり走る。
 三日間、家に拘束されただけでも、ストレスが溜まった。
 家でまったり過ごすのも好きだが、一日に一回は変身して野山を駆け巡らないとストレスが溜まる。
 家を飛び出しためえは走り続けているうちに、襲われたことなどすっかり忘れて、楽しい気分になっていた。
「あはっ♪」
 景色が流れる。あまり乗ったことはないけど、流れる景色は電車の窓から見える風景に似ていた。


 めえが走る後方、中国の少年がめえを追いかける。
「ハァハァ……何だ、あの速さ……」
 小さな体のめえに全然追い付けない。
 フルトランス時のめえは通常のフェネックの体の構造と基本的には同じ。しかし、そのスピードは通常のフェネックの走るスピードをはるかに凌駕していた。
「くそっ……このままじゃ見失う……今の状態であまり力は使いたくないが、仕方がない……」
 気持ちを静め、体の内なる方へ精神を集中する。
「〝速く〟」
 少年は自らに〝言霊〟を掛け、走る速さを強化した。


 一方、めえは後方から急激に迫ってくる何かを瞬間的に感じ取った。
 走りながらチラッと振り返る。すると、先ほど襲ってきた少年がものすごい速さで迫ってきていた。
「わあっ!! まだいたよ、あの人!!」
 手にはやはり短剣を握りしめている。
「こわいよぉ……逃げなきゃ」
 めえは交戦するよりも逃避を選択した。
 今の体のままでは追い付かれてしまう。
 しかし、それはヒトの姿でも同様のことだろう。
 ならば、四足で最大限の速力を発揮できる半獣化したヒトとケモノの中間の姿へ。
 いや、この場合、半獣化というよりも、ケモノ→ヒトへの変化であるから半人化というべきか。
 どちらにせよ、めえは獣人形態になることを決めた。
 走りながら呼吸を合わせ、自らの思い描く姿へ。
 耳は大きいと邪魔だ。しっぽも軽量化したいので小さく。体は人の大きさに近い方がいい。襲われた時のために爪と牙は鋭く――
 まるでモーフィング映像を見ているかのように滑らかに、めえの体がフェネックの姿からケモノ寄りの獣人形態にシフトする。


「!?」
 後方から追っている少年はめえの変身していく様を見てまたも驚いた。
「あいつは変幻自在なのか……」
 変身していく中で、めえの走るスピードも格段に上がるのを感じた。このままでは引き離されてしまう。
「くそっ! これ以上、自分に言霊を掛けて走る訳にはいかない……」
 少年は力を外に向けて使うことを選択した。
「〝止まれ〟」
 しかし、めえには効いていないようだった。
「チッ! 中国語では効かないか……」
 少年は自分を叱責して、もう一度言葉に力を込める。
「〝止まれえぇぇぇぇぇー!!〟」


 少年の叫び声は耳の良いめえに届いた。
 言葉の意味を理解した瞬間、めえの体が急に動かなくなる。
「ふ、ふにゅっ!!?
 めえは急に体が動かせなくなり、勢い余って前のめりに三回転げて完全獣化した姿に戻ってしまった。

「はぁ……はぁ……追い付いた……」
 めえは必死になって体を動かそうともがいてみるが、全然、体が動かない。
「言霊は習得していてよかった。お前が人間に近過ぎたことを恨むんだな」
 またわけのわからない言葉を話す。 

 もう待ったはないようだ。殺意の溢れる少年が短剣を高く振りかざす。
 剣先が太陽の光で輝き、死を垣間見るには、あまりにも美しい瞬間だった。


「こたろぉ……」
 再び繰り返す記憶。最初に襲われた日と同じ。
 あの時は自分でもよく覚えていないが、助かっていた。しかし、今回はそういうミラクルは起こらないようだ。
 スローモーション。
 少年が短剣をめえに向かって振り下ろす。その動作がすごくゆっくりに見えた。
 しかし、やはり体の縛りは解けない。
 めえはコタローの助けを切望するが、彼は依然消息不明。
 ねえの言いつけを守らなかったことを激しく後悔した。
 涙が出そうにも出すことさえできない。
 この瞬間、一つの命が散った……




「むぅ……急に外出禁止なんて何よー!」
 めえはねえから突然の外出禁止命令を出されてふてくされていた。
「ダメと言われると……外に出たい出たい出たい出たいー!」
 家の中でごろんごろん転げ回る。
「ダメったらだーめ! それじゃ、お留守番よろしくね」
「むぅー」
 ねえは買い物に出て行った。
「あ、玄関の監視カメラ、後でチェックするからね」
「ハッ! めえん家がいつの間にかハイテクに!!!」
 今度は本当にねえは家を出て行った。


「……」
 めえの頭の中で外に出たい派とお留守番派の人達が会議中。
「……」
 結論。外に出たい。すでに三日も監禁されているのだ。そろそろ外に出てもいい頃だと思う。
「監視カメラ……しかし、めえはその死角を知っている♪ にひひ」
 ねえに監視カメラの映像を見せてもらった時、映ってない箇所があった。
「そろそろお祭りのお稽古しなきゃだもん。外でいっぱい歌いたいいいい」
 めえは自分の中でいろいろ都合を並べて、外に出ることにした。
 監視カメラの死角をそろりそろりと慎重に歩いて、玄関から外へ――


「ひぃっ!!?」
――出ようとした瞬間、目の前に短剣が突き出された。
「妖魔、この家の住人を支配しているのか?」
 つい先日、めえを襲った中国の少年だった。
 めえはあまりにも急な出来事でビックリして、思わず、耳が獣化して大きくなってしまった。
「お前、変化の術も使えるのか!!」
 少年は少し驚いたような顔をした。しかし、めえには何を言っているのかわからない。


「思った以上に手強いかもしれないな……」
 立場的に優勢であるはずの少年。しかし、首筋には少し汗が滲んでいた。
「命乞いはないか? ないなら、この場で仕留める」
 少年はめえに向かって言う。しかし、めえは少年の言葉がわからない。
「もー! 何よ何よ、みんな! めえ、何か悪いことした? 意味わかんないことばかり言ってないで日本語しゃべってよ! ここは日本でしょ!!!」


 混乱しためえは思考が一周回って、怒りに転換していた。
「……。呆れるな。日本の妖魔は日本語しかわからないのか?」
「!?」
 少年が呆れた顔をして流暢な日本語を話した。
「日本語、しゃべっ、れん、じゃん!!」
 めえはまたも思考が一周して、少年にツッコんでしまっていた。
「お前は強いのか、弱いのかどっちなんだ?」
「ふにゅ?」
 少年の言っている意味がわからない。


「まぁ、いいや。茶番はここまでだ。仕留める」
 少年はそう言って、一度短剣を戻し、その後、素早くめえの首に突き刺し――
「わあぁっ!!?」
――たかと思った瞬間、めえの姿が消えた。


 めえの体が消え、はらりと、着ていた服がその場に落ちる。
「んもー! 何よ! 危ないじゃない!! むきー!」
 めえは一瞬のうちにフルトランスして、小さくなっていた。
「お前の正体はキツネだったのか! それならいくらか納得できる……」
 少年はめえを見て、力量を量っているようだった。


「こいつは……強い……しかし、ここで仕留めなければ、この家の人の洗脳が解けない」
「ここはめえの生まれた家だっつーの!!」
 少年の独り言に、めえは思わずツッコんでしまう。
「ふぎゃん!」
 めえが少年に対して怒りの感情をぶつけていると、少年は獣化しためえのいたところに短剣を突き刺した。
「すばしっこいやつめ」
「もぅ……何……この人……やだー、うえーん」


 めえは泣きたい気持ちでいっぱいだった。そして、そのまま山の方へ駆けていく。
「あ、おい、待て! 逃がすか!」
 少年もめえを追いかけて山の方へ駆けていく。

「ん……ダメ……獣化しそう……」
 講義中、コノハは腕に痒みを感じた。気になって袖を捲ってみると、案の上、ヒトならざる毛が生えてきていた。
「やばい! 抗癌獣化剤打んと!」
 コノハはそっと席を立ち、急いで講義室からトイレに向かった。


 トイレの個室に入ると、ホッと一安心。鏡で自分の姿を見ると、鼻先がヒトより前面に突出し、首周りにも白い産毛が生えていた。
 突発的な獣化が始まってしまった。
 コノハは急いでカバンから注射器を出し、プスッと腕に刺し、抗癌獣化剤を打つ。この薬に速効性は無いが、突発的な獣化は止まったようだった。
 お尻の付け根に手を当ててみると、しっぽの痕跡のような突起もあった。
「ふぅ……」
 獣化した部分が完全に消えるまで、しばし、トイレの個室の中で過ごす。


「大学は講義抜け出すのに何も言わなくてもいいからいいわ。高校やったら先生に言わないあかんかったし」
 コノハはカバンの中にある抗癌獣化剤の入った注射器の数を確認する。
「少ななってきたな。またビーストトランスにもらいにいかんと」
 第三遺伝子の癌化で入院してから、一年前までは普通の変身しない体質に戻っていた。しかし、一年前から再び獣化体質になってしまった。


 店長から自発的な獣化はしないようにと忠告されているので、自ら変身しようと思ったことは一度もない。時折、体が勝手に変身し始めるだけ。
 しかし、獣化体質に戻ったのなら、きっと自発的な獣化もできるのだろうとは思う。
 第三遺伝子の癌化の後遺症かどうかはわからない。コノハに獣化能力が残っている。テンリやカリンにもおそらくその能力は残っていると思われるが、今のところ、二人が獣化したという話は聞かない。


「わたしだけ……」
 テンリやカリンも変身体質だったのに、癌化したのはコノハだけだった。
 考えると憂鬱になりそうだったので、頭を振った。


「〝アマテラス〟の末裔」
 多神が宿るとされる日本を統べる大神の名。
 コノハの祖先、テンリやカリンも同じ一族なのだという。
 アマテラス一族は動物に変身するチカラを有し、尾天地方の数々の古書に物語を残している。
「もしかしたら、めえとかも私と同じ一族なんかな?」


 めえはいろんな動物には変身できないが、フェネックに変身できる。
 ふと、今、思い出し、彼女に直接聞いたことはない。
「そういえば、最近、めえに会ってないなぁ。元気かな」
 大学は高校と違う場所にあるので、高校の近くにあっためえの家に遊びに行くことはすっかりなくなっていた。
「久々に、今度の休みに、遊びに行ってみようかな」
 講義のレポートなど、頭の中で予定を組み立ててみる。


 キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン


「うわぁ……講義終わちゃったで……とりあえず、ノートは取りに帰らな……よし、もうヒトに戻ってる」
 コノハは聞きそびれた講義の続きを誰かに見せてもらわないとと思いながら、トイレを出た。

「緊急の召集とは珍しいな」
「一体何があった?」
「鹿目の娘が『血涙』を流したそうじゃないか」
「……」
「鹿目の娘が……これでもう紛うことはない。間違いなくセイガイはこの地に舞い降りた」
「覚醒の時が近い……」
「そうそう、狐塚の娘にも変調があったそうじゃないか?」
「……はい。娘も『血涙』に加え、『言霊』を……」
「言霊……言の葉にのせた御霊の力……」
「それでは『たまけも』に昇化する日は近いな」
「昇化したとして、自我が残るのか? 制御できなければ滅ぶのは我らのほうだぞ」
「私には……わかりません……」
「まぁまぁ、そう急くな。『たまけも』になるにはまだ数段階のステージがある」
「『尾天書紀』を読んだのか?」
「いや。しかし、『たまけも』に関する話は最重要事項として代々伝えられている。まさか私の代で復活することになろうとは思っていなかったが」
「数段階とは?」
「『血涙』を流しただけではまだ初期の初期。『言霊』はまぁ、狐塚が特化しているものだからあれだが……次は『鬼界』を視ることができるようになることだな」
「キカイ?」
「死界とも言う。『天紋』を持
つ者にしか視界のことだ。一説には死者の魂が視えるとも言われている」
「異界じゃのう」
「セイガイとの接触は『天紋』を託されし我らが子供達しかできぬ」
「しかし、セイガイが植え付けた『天紋』がセイガイへの対抗策になるとは」
「『天紋』の成長はセイガイの成長とリンクする。またそれは、子供達の体が通常のヒトとかけ離れた姿に異形化することも同時に意味する」
「狐塚よ」
「はい」
「お前の娘は我らの娘でもある。何者かに殺されかけたと聞くが本当か?」
「……」
「みすみす殺すなよ。我らが希望、一族……いや、この地に住む者達のために神々から託された鍵。芽恵の御霊よ」
「はい……」

――虹幻世界。


600.ケモノになりたい貴方
前スレの666がリアルで豚化したって話はおまいら的にはどうなんだ?


601.萌王
》600 俺はその時スレにいたが…正直よくわからない。演技のようにも思ったし、リアルなようにも思った。しかし、不気味な感じがしたのは確かだ。


602.ケモノになりたい貴方
いいなぁ…豚になりたひ。


603.ケモノになりたい貴方
TF好きだけど豚だけはちょっとw


604.ケモノになりたい貴方
》600 俺もその時、スレにいたが、あの時はなんか雰囲気がおかしかった。幼女の声が聞こえたし。


605.ケモノになりたい貴方
え? なになに? 何の話?


606.ケモノになりたい貴方
》605 前スレで奇妙な現象が起きたらしい。666番にカキコした奴が表示のない667によってリアルに豚に変えられたとか…で、その667は何故か幼女の笑い声だったんだとよ…


607.ケモノになりたい貴方
なにその怪談。


608.ケモノになりたい貴方
このスレにもついに神が舞い降りたか。


609.ケモノになりたい貴方
獣化できるならなんでもいい、早くこの人間の姿から変えておくれ。


610.ケモノになりたい貴方
俺もその流れにあやかりてぇ…けど、実際TFするとなるなら、戻れることが前提。


611.ケモノになりたい貴方
》610 何馬鹿なことを言っているんだよ!! TFは不可逆こそ萌えるんじゃないか!! 


612.ケモノになりたい貴方
》601 まだいたのか。


613.ケモノになりたい貴方
》612 触れるな。


614.ケモノになりたい貴方
TFは見るのは不可逆が萌えるが、実際TFするとなると、戻れないのは嫌かも…


615.ケモノになりたい貴方
あー、最近、イイTFがないものか。


616.ケモノになりたい貴方
》615 イイTFとは?


617.ケモノになりたい貴方
》616 おにゃのこがハァハァ言いながら性転換しつつTFして泣きじゃくるのとか。


618.ケモノになりたい貴方
》617 おっきした。


619.ケモノになりたい貴方
妄想はいいから、絵をよこせ、絵を!!


620.ケモノになりたい貴方
》619 おまいが描け。


621.ケモノになりたい貴方
》619 ほほう、遠回しに素晴らしいTF絵を供給してくれるのですね、わかります。


622.ケモノになりたい貴方
またこの流れか…


623.ケモノになりたい貴方
リク房が多いこの界隈。


624.ケモノになりたい貴方
この流れは飽きた。誰か他の話題を。


625.ケモノになりたい貴方
しかし、実際、絵師は誰かに見てもらいたいから絵を投稿するのではないのか。


626.ケモノになりたい貴方
下手な絵はイラっとくることもあるが、何でもいい。とにかく絵をおくれ。


627.ケモノになりたい貴方
》626 一人で脳内補完してろ。


628.ケモノになりたい貴方
》626 荒らすんじゃない。


629.ケモノになりたい貴方
定期的に荒れるこのスレ。最早、日常。


630.ケモノになりたい貴方
みんな荒ぶっているのね…


631.ケモノになりたい貴方
そう思っていても口に出さないが吉。また絵師が減るじゃないか。


632.ケモノになりたい貴方
小説の需要はどこに消えたのか。


633.ケモノになりたい貴方
絵師は絵を生産する機械じゃないよ! 強制的に自分の絵を描かせるのはおかしい。


634.ケモノになりたい貴方
》633 正論。


635.ケモノになりたい貴方
しかし、リクを募集しておいて、それを全く描かないというのはどういう神経しているのか。


636.ケモノになりたい貴方
》635 まぁ、そう急かすな。


637.ケモノになりたい貴方
嗚呼、リク房はみんなケモノになればいいのに。


638.ケモノになりたい貴方
》637 俺がなりたい。


639.ケモノになりたい貴方
ケモライフがアップデートするってまじ?


640.ケモノになりたい貴方
》639 まじすか?


641.ケモノになりたい貴方
》640 獣化できる種類が結構増えるみたい。


642.ケモノになりたい貴方
グギギ…ケモライフやってみたい…お金…


643.ケモノになりたい貴方
》642 バイトなさい(^ω^)


644.ケモノになりたい貴方
ケモライフは結構妄想できる


645.ケモノになりたい貴方
ゲームだけど変身シークエンスが充実してて俺得。


646.ケモノになりたい貴方
毎日ログインしている俺はTF廃人


647.ケモノになりたい貴方
そういえば、今週のジョンプに狼TFがチラッと。


648.ケモノになりたい貴方
ジョンプ買いにコンビニへ。


649.ケモノになりたい貴方
そろそろ666が近づいてまいりました。


650.ケモノになりたい貴方
》649 やらせだろ。


651.ケモノになりたい貴方
ケモライフのキャラはやはり♀にする人が多いのか。


652.ケモノになりたい貴方
》651 もち。


653.ケモノになりたい貴方
》651 俺、♂だけど、マッスルな♂に萌える。


654.ケモノになりたい貴方
TFするならなんだっていい。


655.ケモノになりたい貴方
やはりネタはないのか。


656.ケモノになりたい貴方
》655 おまいが探せ。


657.ケモノになりたい貴方
暇を持て余した。


658.ケモノになりたい貴方
神々の。


659.ケモノになりたい貴方
遊び。


660.ケモノになりたい貴方
》657-659 いきなりどうしたwwww


661.ケモノになりたい貴方
リク房は手が羽か蹄化してキーボード触れなくなればいいと思うよ。


662.ケモノになりたい貴方
うちの知り合いからの裏話なんだけど、前スレの666の話。まじらしい。豚化した女がとある特殊な病院に収容されているらしい。


663.ケモノになりたい貴方
》662 ソースは?


664.ケモノになりたい貴方
》663 公表できない。でも他のアングルの写真を見せてもらった。やヴぁい。


665.ケモノになりたい貴方
ああ、神よ。血に飢えた狼にして下さい。


666.ケモノになりたい貴方
あぁ、神よ。かわいいにゃんこにして下さい。


》666 クスクスクス……ネコになりたいんだね してあげる


668.ケモノになりたい貴方
!!!?


669.ケモノになりたい貴方
幼女の…声…


670.ケモノになりたい貴方
神は再び舞い降りた!!?


671.ケモノになりたい貴方
わあああああぁぁぁぁ 熱い…体がすごくああああああああああつううううううううあああああ


672.ケモノになりたい貴方
え…


673.ケモノになりたい貴方
ハァハァハァ…痛い痛い痛いィ胃胃胃胃意井いいい 怪我…毛がすごく生えてきてあぁぁああっ


674.ケモノになりたい貴方
前と同じ…表示がない…幼女の声…


675.ケモノになりたい貴方
こ、これが例の? でも棒読みボイスでよくわからない。


》675 声を聞かせてあげる


677.ケモノになりたい貴方
痛ぇええええええ!!! あああ亜あああ阿あぁぁー! はぁはぁはぁ 熱い 痛い 嫌だ こんな痛いの嫌だ あぁぁぁあああ!


678.ケモノになりたい貴方
うわああぁあぁぁ!! 急に男の叫び声が!!


679.ケモノになりたい貴方
どういう仕様? 管理人の悪戯? それにしてはやりすぎなような…


680.ケモノになりたい貴方
この叫び声…尋常じゃない…


681.ケモノになりたい貴方
しっぽ…? はぁはぁはぁ 獣化してる… はぁはぁ ハッハッ にゃー 声が 出にぐい… あがぁっ


682.ケモノになりたい貴方
…なんかヤバい。俺の霊感が告げる。


683.ケモノになりたい貴方
にゃああー ふにゃあああああああん


684.ケモノになりたい貴方
怖い


685.ケモノになりたい貴方
お、怯えるな、おまいら。おまいらが望んでいたTFだろうが。


クスクスクス。タナカヒデオはかわいい子猫ちゃんになりました♪ でもまだ完全にはできないの。でも前よりはうまくできたんだ。みんなも見てwWw.CaTTf.jP


 いつかどこかでのあった会話――
「我々、ビーストトランスはヒトからケモノに獣化する動物変身薬を開発したが、ヒトが動物に変身できる以上、逆の現象もまた存在し得る。すなわち、動物のヒト化。我々が半獣化した姿を獣人と呼んでいるように、動物がヒト化したものは総称して〝人獣〟と呼ばれている」
「やはり逆も存在し得るのですね」
「獣化体質の人間を捕えることは動物変身薬を開発する上で欠かせないが、人獣を捕えることもまた動物変身薬の開発上、重要だ。要はヒト⇔ケモノ間の遺伝的な変化過程を把握することが動物変身薬開発のカギとなるのだ」


「人獣は自然下で発生するものなのですか?」
「獣化体質のヒトが自然に生まれるように、人化体質の獣もまた自然下で発生する。両者とも先天性なものと後天性なものがあるが……まぁ、詳しいところは今はいいだろう」
「人獣はどうやって識別できるのですか?」


「人獣にはいくつかレベルがある。


Lv.1 動物の体がヒトの体型に近付いているだけ状態。我々で言う8割獣化~半獣化がそれに相当する。当然ながらヒトの言葉も話せない。


Lv.2 ヒトの姿に動物の体の一部が残っている状態。我々で言う2割~3割獣化の状態が相当する。ケモ耳シッポレベルと言えば想像しやすいか。動物の部分を隠せばヒトとして認識することができるだろう。しかし、ヒトの言葉は話すことができない。


Lv.3 完全ヒト化。外見上はヒトと区別が付かない。しかし、四足歩行したり、生肉を食ったりと動物らしい行動を行うことでヒトでないことがわかるだろう。この辺りから知能が著しく上昇し、ヒトの言葉を使い始めることがある。


Lv.4 ヒトに変身できるという自覚がある。古今東西の妖怪はこのレベルに相当する。ヒトの言葉を理解して話すことができる。餌を得るためにヒトを化かしたりする。人の姿より獣姿で大半の時間を過ごす。


Lv.5 人間社会に適応する。このレベルになると獣化体質の人間との区別が非常に難しい。多くは自分の本来の姿は動物であることを認知しているが、ごく稀に人間と思い込んでいたり、人間との間に子をもうけることがある。このレベルは捕獲が非常に難しい。同種の動物とコミュニケーションが取れ、かつ、人間の言葉も理解する」


「人間社会に適応……そんなことが……」
「動物に憑かれた人間がいるという話は聞いたことはないか? あれは獣化体質の人間より、人化した人間だと思い込んでいる獣が発症するケースが多いのだ」
「……」


「人化獣の存在は獣化人と同様、数は少ない。人間社会が保たれている以上、人化獣はヒトの恐ろしさを知っている。よく物語にあるような人類の滅亡に加担するような事件は起こらないさ」
「しかし、それでも驚きです。この世の中にヒトに変身した動物が紛れているだなんて」
「そうか? 我々も獣化して動物に近付き、生態調査をすることがあるだろう? それと同じだよ」


「獣が人化する場合は、性別はどうなるのですか?」
「メスは女、オスは男が一般的に多いようだが、稀に例外で性が逆転する場合もある。これは獣化体質の人間でも同様、男がメスになったり、女がオスになったりすることがある」
「そうなのですか! 獣化の際に性が逆転する現象は初めて聞きました!」
「自然下では、の話だ。それもごく稀。我々が作っている動物変身薬は人工的に調整されているので、性が逆転して変身することは絶対ない」


「なるほど……」
「人と獣が容易に姿を変えられる世の中がもし来たら……世界はより混沌とした世の中になるだろう。人は動物を食べることが出来なくなってしまうだろう……我々はその境界を司る者達だ。世界のコントロールを適切にしないとね……」
「はい、モロウ博士――」

「ふぅー、疲れたー。でも今日は気楽に過ごせたなぁ」
 アイドルの仕事は休み。なので、久々にビーストトランスに遊びに来た。しかし、回されたのは動物に変身してお客さんと触れ合う新しくできた店だった。
「まぁ、たまにはエロくない獣化もいいけどねー」
 オーダーはキツネ。更衣室にはビーストトランスで働いている女の子二人がちょうどいた。桜木ももだと気付かれたので、サービスで変身シーンを見せてあげた。
「ふぅー、獣化スキーの私はまたおしまい。明日からはアイドルー」
 この際、獣化アイドルなどで売り出してみたいものだが、今までのファンに引かれることは間違いないだろう。逆に違う層のファンが増えそうな気もするが……


「タブーねー」
 芸能界でケモノ発言はタブー化されている。出版業界のそれと似たようなもので、そういう発言をしたら人気が落ちるらしい。
「動物変身好きな子、私の他にもたくさんいるんだけどなー」
 動物好きはOK。しかし、ケモノ好きはタブー。この違いは一体何なのだろうとももは考える。
「人に近いからかな?」
 ケモノとは擬人化された動物のような存在。ヒトは自分に近しい似て非なる存在を認め難い。過去に魔女狩りがあったように。同属嫌悪とも呼べるものかもしれない。


「そういう専門局を誰か作ってくれないかなー。裏仕事は気を使うから」
 唯一、獣化+アイドルという要素で、様々な業界のお偉いさんの要望に応える時がある。しかし、それはどれもプライベートなもので、秘密裏に行われる――一般の人々は知らない、桜木ももというアイドルのもう一つの姿。



「ん?」
 ビーストトランスから帰宅途中、そんなことをあれこれ考えていると、目先に見知った人物……いや、動物がいるのが見えた。
「あれー、リサちゃん?」
 ももはソレに話しかける。他のヒトにばれないようにサングラスをこそっと外した。
「ハッ! ももちゃん!?」
 ももが話かけた相手は、リサという名の自称人間に化けたタヌキだった。



「久しぶりだねー、まさか街中で会うなんて」
「そうですねー。と言いますか……ももちゃん、まぢアイドル……」
 リサとの出会いはとある山の中であった。ビーストトランスから動物変身薬の外への持ち出しを特別に許可してもらったため、人気の無い山に行き、キツネに変身して野山を走っている時だった。タヌキが目の前に現れた。ももは驚かせようとヒトの姿に戻る。すると、なんとタヌキの方もヒトの姿に戻り始めるではないか。外への持ち出しは厳重に管理されている。もも以外にもいることはいるが、その二人が出会う確率は隕石に当たるくらい非常に低い確率だろう。


 さらに驚いたのは、他の誰でもなくそのタヌキは桜木ももの姿へと変身していることだった。自分のそっくりさんではなく、ももを見てももの姿になろうとしていた。ヒトからヒトへの変身は可能だが、ビーストトランスでは変身薬は製造されていない。何故なら、犯罪が起きやすくなるためだ。
 目の前の存在がビーストトランスから何かしらの変身薬を持ちだした裏切り者なのか……ももが考えていた時に、一つの可能性が閃いた。



 ――〝人獣〟



 獣がヒト化する現象。自然界には動物に変身するヒトもいる。その多くは現代文明から隔離された山に生きる民族に発生し、稀に、都会でもそういった変身体質の人間が生まれることはある。
 なら、逆があり得てもおかしくはない。動物がヒトに変身することがあっても……


 人獣は気性が荒い事が多い。ももは少し怖くなったが、それ以上に初めて出会う人獣に興味を持った。試しに話しかけてみると、そのタヌキは普通にヒトの言葉を話し、人間のような感情表現を有していることがわかった。
「Lv.5以上……」
 人獣には動物に近いモノから人間に近いモノまでいくつかレベルの段階がある。人間の知能に近しいモノほどそのレベルは高くなる。自然下に発生したLv.5以上は極めて珍しい存在である。


 話が通じるとわかり、ももは警戒されないようにいろいろ問い掛けてみた。すると、驚いたことに、リサというタヌキは人間にお嫁に行くことを目的として、一緒に暮らしているのだという。
 さらに、他の人間にも変身できるかと投げ掛けてみると、あっさり他の人間の姿にも変身した。これは〝特級捕獲対象物〟に値するとももは感じた。
 人獣はヒトに変身できる獣である。ヒトでは無い。だから動物変身薬開発のための研究材料として貴重な材料となる。レベルは問わず、人獣と遭遇した場合は、捕獲命令が出されている。自分が捕獲するか、あるいは仲間を呼んで集団で捕獲するか……
 ももは一人では手に負えないと思い、ビーストトランスから捕獲班を出動させようかと思った。
 しかし、リサのあまりにも人間らしい感情に打たれ、見て見ぬふりをしたのだった。



「お、テレビ見てくれた?」
「はい! 見ましたよ! まぢビックリです! 山の中でアイドルさんと出会うなんて!」
「えへへ、このことは他の誰にもナイショだよ。トップシークレット」
「わかってますよ~!」
 二人……一人と一匹は顔を見合わせて笑い合う。秘密の繋がり。
「その後はどう?」
「はいー、庄助様は相変わらずで……」
 タヌキの恋バナについてガールズトーク。こんなことができていることにももと驚きと笑いを噛み殺せない。


「あははは。相変わらずだねー」
「そうですよー。今日も瑞穂様がいないっていうのに扱いが酷いですー。でも夕食、手料理を食べてくれるんですよー♪」
「へぇー、そうなんだ! 良かったね!」
「はい!」
「あ、そうだ。ケータイとか持ってる? メアド交換しようよ」
「あ、ちょうど先日、庄助様に持たされたやつですね。デンワ以外使い方がイマイチわからないんですけど」
「ちょっと貸して……」
 ももはリサからケータイを借り、メアドを交換した。


「はい。交換できたよ」
「早っ! 人間はいろいろすごいものを作ってますねー、タヌキ社会にも普及させたいくらいですー」
 平然とタヌキ社会を語る。
「……」
 かなり貴重価値のある捕獲対象物が目の前にいる。捕獲すれば莫大な謝礼をもらえるだろう。しかし、リサが死ぬまで実験体にされることは目に見えている……
 ももは頭を左右に振った。タヌキの人獣という希少な存在。しかし、ももはもうメアドも交換し、リサと友達になってしまったのだ。


「リサちゃん、いろんなヒトに変身できるよね」
「ま、まぁ……でもシッポとか、体のどこかにタヌキ要素が残ってしまうことが多いですけど……」
「今度、私が仕事、嫌になちゃった時、入れ替わりしてみない?」
「ふ、ふえぇぇ~! アイドルとかそんな大役できそうにないですぅー><」
「リサちゃんはリアクションがかわいいからいけるよ、うふふ」
「ほぉー、ワタシガアイドル二……」
 リサがブルブルと震える。緊張しているようでもあり、やってみようかなと燃えているようでもあり、人間らしい。
「あ、そうだ、今日はその……庄助君? 一人なんだよね?」
「あ、はい。瑞穂様は外泊されるので」
「ちょっとイタズラしてみる?」
「え?」
「ちょうどね、仕事のご褒美もらったとこなんだ……へへっ」

「ねぇ、〝変身〟は信じてないん?」
 コノハが龍王寺に聞いた。
「はい、信じてないッスねー。だって、変身なんてする必要ないじゃないですか」
「え? どういう意味?」
「俺らはヒトはヒトという種の枠組みの中で固定されて生きているんスよ。ヒトにはヒトの体という器がある。ヒトは他の動物ではあまり見られない道具を使うことが出来る。脅威に晒されても対応できる。なのに、何故わざわざ他の生物の姿になる必要性があるんですか?」
「うーん……そう言われると……」


 生物はそれぞれの形態に特化し、各々の生物が何らかのメリットを見出しながら生前競争を行い、現界している。そう、現在この世に存在する生命は各自がその形態で生き残る術を持っているはずなのだ。
 しかし、変身という行為は自分が全く新しい何かの形態になるのではなく、既知の何かに姿を変える。そのメリットには何があるのか?
 コノハは考えてもパッとその理由が浮かんで来なかった。


「まぁ、メリットとして一つ考えられることがあれば――〝擬態〟ですね」
「あぁー」
 擬態――自らの姿を他の者に似せて生存競争に有利性をもたらそうとする術。
 コノハも思い当たる節はある。例えばヒトの身近にいるイヌやネコなどに変身した場合、相手に警戒されずに近付くことができる。また、逃走の際は、同種に紛れたり、強い姿の生物に変身することで敵を欺くことなどができる。
「擬態」
 コノハは小さく呟く。
 変身についてあまり深く考えたことがなかった。


「まぁ、まったく想像も付かないような何かになるのなら、変身はありだと思うんです。でも、星谷先輩がいう話は、この世界に既に存在する生物の姿になる話ばかりじゃないですかー、それにイマイチ、何の意味があるのかがわからないんスよー。だってヒトはヒトの姿で生まれて死ぬことができるじゃないですかー、そこを何故わざわざ、既知の生物になる必要性があるのかって話ですよ。しかも人間だけ、都合良く。変身て体の構造をめちゃくちゃ変えそうじゃないですかー。あれ、絶対、何か命削ってると思うんです。だって、生命が生きているうちに細胞分裂できる回数って決まってるって話ありますよねー。変身したら全身そう入れ替えじゃないですかー」


 龍王寺が言いたいことはわかる。しかし、実際に、動物に変身することができる人間がいて、そういう技術も(秘密裏に)存在している。そこに意味を見出そうとするには吝かではない。
「もし仮にそういう現象が起こりうるなら、人間だけの特別なものではなく、例えば、犬→猫、猫→鳥とか、もう何でもありになっちゃうと思うんですよねー」
「うーん……」
 変身の意味を考えることは、生死観や宇宙論に通ずる終わりなき論争にハマっていきそうな気がした。


「わからないねー」
「そう、だから、無いんです。そんな現象があるとしたら、人類の長い歴史上、そういう話がどこかにリアルであるはずなんすよー。でもそれは簡単に見付からない。だから、無いんです」
 龍王寺が言うことは正論なような気もするが……例えば、元々そういう変身することが普通である生き物が存在するとしたなら……
 しかし、コノハはそう言おうとして口を噤んだ。
 確証はない。そんなものがいるのかどうかさえわからない。空論に空論を重ねることはあまりよろしい事では無い。
 変身の意味について考えているうちに生協に着いた。

「人間が動物に変身するだぁ? いねぇ、いねぇ! そんなのある訳ないじゃん、先輩、ちゃんと単位取れているの?」


 本日の部室には一回生の龍王寺光(りゅうおうじひかる)がやって来ていた。ものすごい強そうな名前……しかし、当の本人も実際強そうな体格だった。黙っていればイケメンなのだが、それが結構のひねくれた性格のようで、自分が好きなもの以外はほぼすべて否定に入る厄介な人なのだ。カリンのサークル勧誘により、何故か入ってきた。しかし、変身モノは認めないようである。


「そんなのお伽話。ファンタジー。SFでもねぇよ! そりゃぁ、確かに人類の起源を探る研究で人間の精子×動物の卵もしくは動物の精子×人間の卵、または人間と動物の肉片を混ぜ合わせた混合細胞などは作られているけど、それでも、仮にそれが育って一人前になったとしても、せいぜい、人間と動物の混ざり合った動物ができるだけで、いわゆる獣人?程度にしかならない。獣人だから変身できるってそんな便利器官、最初から体に付いているわけないっしょ? 人間は人間、動物は動物、獣人は獣人。それ以上もそれ以下も無く、それぞれの形態を行き来する事なんてできない。コスプレはできても、体を変化させることなんてできるはずが無い」


 コノハが部室に来て、早々、毒舌の嵐だった。
 毒舌の発端は、カリンがネットで見たTF動画をヒロミやミャンに話し始めたところからだった。龍王寺が横から入り込み全否定。そう、目の前に、実際に動物に変身することが出来るヒロミやミャンを前にして。
 コノハは嵐の予感しかしなかった。


「なんかこう、怖がられたりするのも嫌だけど、面と向かってできることを否定されるとムカつく……」
 ヒロミがわなわなと震えながら小声で言った。
「抑えて、ヒロミ。わたしも引っ掻きたいけど、一般人の前で変身しちゃダメ……」
 ヒロミを抑えるミャンもよく見ると、爪が尖り掛けている。部室の雰囲気が悪い……
「ま、まぁ、そ、そうかもね。変身とか、魔法とかじゃないとできそうにないもんね。あは、あははは」
 コノハはとりあえず話題を終わらせようと適当に話した。


「龍王寺……いつか……絶対に……認めさせてやる……」
 カリンさん、かなりお怒りの様子。そもそもTFは秘匿主義っていつか言っていなかったっけ? 忘れてません?
「え、えーっと、あ、そ、そう、アイスでも買いに行かない? 今日も暑いし」
 我ながら全然気の利かない話題の逸らし方。
「あ、いいっすね、月島先輩。アイス買いに行きましょう」


 元凶乗った!
「よ、よし。ほ、他は?」
 ミャン、ヒロミ、カリンはギラ付く目で首を横に振る。おぉ……怖い……
 しかし、何とか、突然の人災は起こる前に防ぐことができたのであった。これ重要。

 獣化もとい、ヒトが他のナニかに変身することで、一番問題になることがある。それは『質量保存の法則』だ。獣化的に当てはめるとすると、例えば、ヒトがゾウに変身した場合でも、ネズミに変身した場合でも、ヒトの時の体重と重さは変わらないという話。ヒトの時と体重は変わらないのだから、ゾウにしては軽過ぎるし、ネズミにしては重過ぎる。そういう問題が考えられた。


 しかし、実際に動物変身薬で変身した場合は、その法則を無視することとなった。つまり、60kgのヒトがゾウに変身すると数トンになり、ネズミに変身すると数百グラムになった。そして、ヒトの姿に戻ると、また60kgの体重に戻った。


 この体重の増減は一体どうして起こるのか? 増減した体重はどこから来てどこに消えていくのか? これは獣化研究していく上での大きな謎の一つ。しかし、一つ言えることは、短期間に細胞の増減を繰り返しているのだから、限りある生命の切符を使い続けているはず……つまり、獣化は寿命を減らしている要因となっている可能性が高いということだ。