厳密に言うと、集金した後を追えない募金には協力しない。
そんな私が、帰宅途中に究極の選択を迫られた。
バス停の列にちょこんとしている私にその影は忍び寄る。
年の頃は「未成年」だろうか。
日本人の女の子でないことは一目でわかる。
彼女は一枚のカードを私に差し出す。
「コロナで仕事を失っています。私が作ったお菓子を買って下さい」
私は警戒心が強い人間なので、いろいろな思いが頭の中をめぐる。
「そもそもホント?」
「誰かにやらされてるんじゃないの?」
「仮に協力した場合、そのお金はどこに行くの?本当にあなたのお腹を満たすの?」
だけど今、どんな背景があるにせよ彼女がお金を集めたい事実はそこにあって、それがなんなのかはわからないけど、これってスルーしていいんだろうか。
ものすごく沈黙してそれから聞いた。
「How much」
彼女は五本指を広げる。
「500円」
どうする?どうする?
この500円は本当に彼女のためになる?
ものすごく考えて、結果協力する。
彼女はお菓子を選んでと言う(ジェスチャーで)
私の行為が本当に正しかったのか。
多分一生わからない。
ただ、私にできることは彼女に幸あれと、本当にお腹を満たすために使えよと、祈ることだけなのだな。
