「台風クラブ」 未だ惹き込まれる名作でした | 走ることについて語るときに僕の書くブログ

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タイトルの通り。
ワタナべの走った記録です。時折、バスケット有。タイトルはもちろん村上春樹さんのエッセイのパクリ。

あらすじ
地方都市の中学三年生、三上恭一(三上祐一)と彼女の高見理恵(工藤夕貴)らは「フツウ」の中学生であるがそれぞれもやもやを抱えて刺激を求めている。台風の夜、校舎に取り残された同級生の六人は乱痴気騒ぎで一夜を過ごす。一方、理恵は上京し大学生にナンパされていた。
朝、台風一過、学校に戻ってきた理恵は晴れ晴れとした顔で登校路にいる。
 
 
あらまし
1985年封切り作品。ディレクターズカンパニーの脚本公募作品を「翔んだカップル」「セーラー服と機関銃」「ラブホテル」などの相米慎二が監督。
 
 
かんそう
封切り以後、「ビデオ」で一回観たキリだから30年ぶりくらいに観た。
記憶に残っているのは①台風一過の気持ちよさ、②三上の「脚」。
 
再見して以前よりだいぶ心が動かされた。すんげえ映画と思いました。
 
 
●こんなこと起こるはずがない、リアリティがない。
●痛すぎる
●長回しが退屈


そうですね。
好き嫌いが分かれる作品と思います。

多用されてる長回しは相米慎二の得意技。映画で流れる時間と観客の時間を一致させることでシーンにリアリティを与える…そんな長回しの効果がこの作品では特に活きていたと思います。

「外は土砂降りだけど、コレ観終わったらビールを買ってこようっと…、あ、ちげえし、晴れてるし、夜じゃねえし!」

さほどに作品に入ってましたよ。


ただ、リアリティは欠けてると思います。台風の夜に戻らない子どもを探しまわる親はいるだろうし、半裸で同級生男女が踊るってのもナイナイ。

でもロングショットで映される彼らは舞台の上にいるかのよう。虚構前提の展開だと伝わってきます。思春期にいる彼らの言動は痛くて目を背けたくなりますがロングショットでその詳細が分かりにくい。クローズアップされないから痛みもスルー出来ちゃう。


リアリティある長回しと虚構を思わせるロングショット。矛盾する設定が不思議に混ざってこの作品独自の世界が醸されてます。

台風一過の学校の「金閣寺みたい」な様相に喜ぶ登場人物。「永遠の日常」に閉じ込められた彼らに現れた非日常な天候と風景。その高揚に惹き込まれます、未だに。