有川浩『空の中』




200X年、謎の航空機事故が相次ぎ、メーカーの担当者と生き残った

自衛隊パイロットが調査のために高度へ飛んだ。

高度2万、事故の共通するその空域で彼らが見つけた秘密とは?

一方地上では、子供達が海辺で不思議な生物を拾う。

大人と子供が見つけた2つの秘密が出会うとき、日本に、人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とは。




有川浩さんの自衛隊3部作の2作目。




【白鯨】という、謎の生物が出てくるのですが、その生物が話す言葉が

(まぁ、そういう生物なので仕方ないのだけど)

超固くて、理解するのに時間がかかって大変だった・・・。



高巳と光稀

瞬と佳江

人間と白鯨

その、それぞれの関係も面白かったですし

自衛隊3部作の中では、私の中で3位なんですが

それでも、やはり、登場人物達の心の動きが好きでした。



後、宮じいが素敵でした。

私は、祖父の記憶がないので、あんなおじいちゃんが居てくれたら

良いなぁ、と凄く思いましたし

人として、あういう懐と心の広い人間になりたいと思いました。




後、光稀のツンデレ具合が!!もう、たまりません!!


見習いたい!!笑

有川浩『塩の街』




塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。

その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女、秋庭と真奈。

世界の片隅で生きる2人の前には、様々な人が現れ、消えていく。

だが・・・・

「世界とか、救ってみたくない?」

ある日、そそのかすように囁く者が運命をつれてやってくる。





有川浩のデビュー作!

自衛隊3部作の最初の作品で、私が初めて読んだ、有川さんの長編でもあります。





いやー。面白かった!



塩害という設定も、秋庭と真奈の関係も、周りの人々も。



物語が進むにつれて、秋庭と真奈の関係が徐々に変わっていくのがリアルで

私は、女なので真奈の方の気持ちに寄り添って読んでいたのですが

最後の方が、真奈の気持ちが痛かったです。


何処がリアル、でも、何処もリアルじゃない。


登場人物達の、人を想う気持ちは本当にリアルなもに思えるのですが

本当は、彼らはリアルじゃない。


なんというか、そういうところが私が有川浩さんの作品を好きな理由だと思います。




番外編の『塩害、その後』

の、秋庭と真奈以外の登場人物の物語も、良かったなぁ。


有川さんが、主人公以外の登場人物も大切にされているのが凄く伝わってくるし

小説の中で、彼らが生きているのが面白いです。




私は、入江が好きでした。


文庫には、入江が主人公になっている短編が収録されているのですが

その物語も、入江のキャラクターが凄くでてて

実際、あんな冷徹な変人は居ないとは思うけど・・・


そんな入江に惹かれるなんて、私って・・・


森見登美彦『宵山万華鏡』


祇園祭の前日に行われる宵山。
その日を、様々な形で過ごす、様々な人々の6つの物語。




森見作品の中で、一番幻想的な作品でした。

いつもの作品に、必ずと言って良いほどある
クスッと笑える場面がなかったのと、いつもの森見節ではなかったのが、より一層この作品を幻想的な物語にしているのだと思います。

いつもの森見作品好きの方は、少し拍子抜けするかと思いきや…
そこは、やはり森見さん!

はじめからさいごまで、1つ1つの物語が、巧妙に繋がっているのが、面白いし素晴らしいです!



表紙の絵は、鮮やかでキレイで凄く可愛いらしいのですが
物語を読んだ後は、その鮮やかさが、ほんの少し怖いものに感じました。




千鶴と柳さんの不思議な関係と、不思議なお話が、私は一番好きでした。


乙川は、かなり魅力的なキャラクターなので、是非、他の作品にも出て来て欲しいです。



作家さん、全員に思うことですが、一体どうやってあんな話を思いつくのでしょう?



森見さんは、特に妄想力が凄い!
一度、お会いしてみたいです。