Story Seller 2



新潮社アンソロジーの第二弾!

日本作家界のドリームチームが再び競演。



収録内容


沢木耕太郎『マリーとメアリー』

伊坂幸太郎『合コンの話』

近藤史恵『レミング』

有川浩『ヒトモドキ』

米澤穂信『リカーシブル』

佐藤友哉『444のイッペン』

本多孝好『日曜日のヤドカリ』




伊坂さんの『合コンの話』は、手法が芥川龍之介の藪の中みたいでしたが

その中にも、伊坂さんらしい、独特の目線やユーモアのある文体

そして、恋愛感があって面白かったです。




近藤さんの『レミング』

今回も『サクリファイス』のスピンオフ。

私は、エースの石尾が好きなので、今回のお話も凄く楽しめました。

サイクルロードレースにおける、人と人との心理戦と駆け引きが

日常の私達の人間関係に繋がる部分もあるなぁ。と思い面白かったです。



有川さんの『ヒトモドキ』

私は凄い好きでした。

表現しにくい、人間の汚さや醜さ、歪んだ愛情がストレートに表現されている作品。

家族の気持ちは、もちろんわかるし、叔母の気持ちがわからないでもないし、なんとも言えない気持ちになりますが

自分が良いと思ってる事が、必ずしも、みんなも良いと思うとは限らないし

逆も然りなんだなと思いました。



佐藤さんの『444もイッペン』

登場人物が前回のキャラだったのもあり、楽しめました。

Story Sellerの作品しか読んでいないのですが

文体や登場人物が魅力的なので、他の作品も読んでみたいと思います。




Story Seller3は、いつですんだろう?

楽しみだなぁ~!

有川浩『クジラの彼』





『空の中』『海の底』の番外編も収録した

男前でかわいい彼女達の6つの恋。

有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第一弾。





クジラの彼って、冬原やったんかーーい!!!

と思いつつ、有川浩さんのベタ甘小説にニヤニヤしながら読んでしまいました。


クジラ乗りさんとの恋愛って本当に大変なんだぁ。と思いながらも

聡子が羨ましかったです!

一度で良いから合コンで「抜ける?」と、冬原みたいな男前に言われたい!と悶絶してしまいまいた。笑


冬原とは正反対の、夏木の不器用さも愛おしいですけどね。




『ロールアウト』と『国防レンアイ』『脱柵エレジー』は

自衛隊という職業ならではの問題や悩みを軸にしたお話で

「なるほどなぁ」と思いながらも、そういう独特の恋愛が出来るのが羨ましくも思ったり

(実際は、恋愛なんかより、凄く凄く大変なお仕事が前提にあるんでしょうけど・・・)

有川浩さんのベタ甘世界に、どっぷり浸れる小説だと思いました。



『クジラの彼』だけでも、充分楽しめますが

『空の中』『海の底』を読んでからの方が、より楽しめるかと思います。




有川さんが描く女性って、確かに全員カッコイイし男前ですよね。

だからこそ、たまに見せる「女の子」ま部分に、凄くキュン!と来ますよね。



あ!これがギャップか!ギャップマジックか!


やはり見習わなければ!!

有川浩『海の底』




桜祭りで開放された米軍横須賀基地。

停泊中の海上自衛隊潜水艦『きりしお』の隊員が見た時、喧騒は悲鳴に変わっていた。

巨大が赤い甲殻類に大郡が基地を闊歩し、次々に人を「食べている!」

自衛官は救出した子供たちと潜水艦へ立てこもるが、彼らはなぜか「歪んでいた」

一方、警察と自衛隊、米軍の駆け引きの中、機動隊は凄絶な戦いを強いられていく。

ジャンルの垣根を飛び越えたスーパーエンタテイメント!





有川浩さん自衛隊三部作の最後。


ベタ甘要素が少ないので、ベタ甘好きな方は少し物足りないかも知れませんが

その分、SF要素が強いのでその部分での面白さがあり、私は好きな作品でした。


子供達の人間関係

大人達の人間関係

国の守る人達の人間関係


その中にある、淡い恋心や、上司への尊敬、友人へ信頼、ネット上での関係。


色んな感情の、色んな繋がりがあるんだな。と人として当たり前の事を再確認しました。


レガリスという怪物(と言っていいのかな?)が出てくるので

コジラとか、そういう怪獣映画的なドカーン!とか、スドドドド!と

一発でやっつけ、ヒーローとヒロインが恋に落ちる!とか、そういう話かと思いきや

そうでは無く、私達が住んでる日本という国の、ややこしい法律や大きい組織のいざこざを

上手く揶揄してる感じも面白かったです。





私は、子供達を救出した『きりしお』隊員の、夏木と冬原の信頼関係が一番好きでした。


どこか、図書館戦争の堂上と小牧を思わせる一筋縄ではいかない、素敵なコンビです!



そして、その夏木に淡い恋心を抱く、望の思春期ならではの女の子と女性の間の独特の心情が

懐かしく、甘酸っぱかったです。





私は、やっぱり冬原みたいな人がタイプだなぁ。