「愛国者たち」
櫻井よしこ著(ダイヤモンド社)
2019年4月10日 第1印発行
p214-217<抜粋>
しかし、「オール沖縄」は本当に保革両勢力を束ねる政治基盤なのか。翁長氏はかつての自民党沖縄県連幹事長で、普天間飛行場の県内移設を容認していた。その保守の政治家が共産党主導の革新勢力と手を結んだために保革両勢力が結集したかのような印象を与えたが、真実はどうか。翁長氏はなぜ突如、辺野古移設に反対し始めたのか。
こうしたことを本土側の思い込みで理解しようとすると、必ず間違う。ではどうしたら沖縄を理解できるのか。
田久保忠衛氏は沖縄返還の前、時事通信那覇支局長だった。氏は沖縄理解の基本として「沖縄学の父」とも言われる伊波普猷(イハフユウ)を読むことだと語る。沖縄・久米島にゆかりのある佐藤優氏も伊波の『おもろさうし』を読み通したと、どこか書いていた。ちなみに伊波は誰も研究する人のいなかった時代から琉球の万葉、「おもろ」を研究し『おもろさうし』をまとめた。
伊波の膨大な著作に加えて、手軽な新潮新書『沖縄の不都合な真実』(大久保潤、篠原章著)を読めば、かなり沖縄のことがわかる。『不都合な真実』は現在進行形の事象を中心にしたジャーナリスティックな著述だ。
大部の専門書である伊波の全集と、小振りな新書は沖縄理解の根本において重なっている。両者に通底するのは沖縄へのあたたかな想いと、沖縄の暗部への深い斬り込みである。
『不都合な真実』は、誰も反論しにくい「沖縄の被害者の立場」を前面に出した「沖縄民族主義」を冷静に判断し、補助金依存型経済と公務員優位の社会構造にメスを入れない限り、基地縮小は進まないと断ずる。
同批判は伊波がざっと以下のように指摘した「沖縄人の最大欠点」と本質的に重なる。
〈日支両国に従属した歴史の中で沖縄人は二股膏薬主義を取らざるを得ず、生きるために友も、師も、場合によっては国も売るという性質を育んだ〉
弱者の立場ゆえに、生存のためにはどっちにも転ぶというのだ。
(略)
実体は「オール沖縄」ではなく「沖縄二分」なのだ。
『不都合な真実』は翁長氏の突然の変心は「カネと権力」を巡る覇権争いゆえだと分析し、本土の私たちのように、翁長氏変心の原因を辺野古移設を巡る立場の違いに求めるのは「まったく的外れ」だと斬って捨てる。
沖縄問題は難しい。基地縮小の施策はおよそいつも現地の反対で妨げられる。同時に、基地負担の見返りに膨大な額の補助金が要求され、政府が応じる。それが基地縮小へのブレーキとなる。
この壮大な矛盾の中で、今後、沖縄の自衛隊誘致運動が海兵隊の縮小に伴って一大勢力に発展するとの『不都合な真実』の予見には、十分な説得力がある。表面的な考察でのみ沖縄問題を論ずると間違うのである。(2018年9月1日号)
<追記>
平成30(2018)年9月30日の沖縄県知事選挙では玉城デニー氏が与党など推した佐喜真淳氏らを破って当選した。佐喜真氏は約七万九000票の差をつけられた。玉城氏は普天間飛行場の辺野古移設に反対する立場からあらゆる手段に訴えると誓う。平成三一(2019)年二月二四日には県民投票を断行して反対の姿勢を改めて示した。
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2022年(令和4年)9月11日の沖縄県知事選挙では玉城デニー氏が二期目の当選。玉城氏339,767票、佐喜真氏274,844票、下地氏53,677票。投票率は過去2番目の低さ。
「おもろさうし」読んでません・・。
「沖縄の不都合な真実」読んでません・・。
「おもろさうし」読むの、ムリですって・・(-.-)
。せめて、「不都合な真実」だけは読んでみたいと思います。
私はといえば、そもそも離島出身ですから、沖縄本島とはアイデンティティ?が若干違うようにも思っておりましたが、長らく東京生活をするうちに、「オール沖縄」でありました。どんなに言語(方言)やちょっとした文化がちがっても「琉球列島」人には違いないこと身につまされました。時折TVから流れる三味線の音色に妙に癒されたものでした。
わたしも家族も、なぜに、「沖縄」に生まれたのでしょうか?
とてもめんどうくさいと思う本音の今日この頃・・・。
されど、感謝す。
わたしは、「イエス・キリスト」と出会いました。
「我等の国籍は天にあり」でありますから、まこと感謝であります。ハレルヤ