列王記下14:27 (新共同訳)
しかし、主は
イスラエルの名を天の下から消し去ろうとは言わず、
ヨアシュの子ヤロブアムによって 彼らを救われたのである。
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ユダの王、ヨアシュの子アマツヤの治世第十五年に、
イスラエルの王、ヨアシュの子ヤロブアム(2世)が
サマリアで王となり、四十一年間王位にあった。
(Ⅱ列14:23)
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イスラエルの王ヨアシュは、
かって病の床にある預言者エリシャを自ら訪ね、
涙ながらに 主の託宣を求めた。結果、アラム国を撃ち破り、
父ヨアハズが奪い取られた町々を取り返すことに成功しました。
また、ヨアシュ王はユダのアマツヤ王に勝利し、南方への進出を
可能にしました。
その子ヤロブアム2世は、さらに、
レボ・ハマト(ガリラヤ湖の北東20K地点)からアラバの海(死海)まで
イスラエルの領土を回復しました。
それは、ほぼソロモンの領土と同じほど でした。
ヤロブアム2世の治世のイスラエルは、ソロモン王以降で、
国力、物質、経済ともに繁栄を極めた時代となりました。
この繁栄は、「ガト・ヘフェル出身のその僕、預言者、アミタイの子ヨナ」
を通して すでに預言されていたのでした。(Ⅱ列14:25)
この領土拡張は、預言者ヨナによって預言されていた
ことですが、聖書にはこの預言の記録がありません。
ここで重要なのは、
ヨナが活動した時期がヤロブアム2世の治世と重なる
ということです。(ヨナ書を読む時の時代背景になります)
ヨナの奉仕によって、ニネベの人々(アッシリヤ)は
悔い改めますが、それからわずか40~70年後に、
アッシリヤは 北王国イスラエルの民を捕囚に引いて
行くのです。 これは 驚くべきことです。
(クレイ聖書解説コレクション「列王記第二」P468)
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「彼は主の目に悪とされることを行い、イスラエルに罪を犯させた
ネバトの子ヤロブアムの罪を全く離れなかった。」 (Ⅱ列14:24)
とあります。
初代 北王国イスラエルの王 ヤロブアム(1世)は、
民を南のユダ王国にあるエルサレムでの礼拝に行かせないため、
領地内の北と南、ダンとベテルに金の子牛を2体造り、
聖なる高台に神殿を造り、レビ人でない祭司を任命しました。
また、自分勝手に日を定め、祭りを執り行ったのでした。
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「彼は、よく考えた上で、金の子牛二体を造り、人々に言った。
『あなたたちはもはやエルサレムに上る必要はない。
見よ、イスラエルよ、これがあなたをエジプトから導き上った
あなたの神である。』」 (Ⅰ列12:28)
「彼は、イスラエルの人々のために祭りを定め、自ら祭壇に上って
香をたいた。」 (Ⅰ列12:33)
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本来のものから 民の目を背けさせ、保身をはかった王さま。
その罪は 重かった。
北王国は、その始まりから、暗雲が立ち込めてしまった。
そして、北イスラエルの全盛時代を築いた王ヤロブアム2世も
「ネバテの子ヤロブアムの道」に従うことをやめなかった。
この時代、ホセアとアモスという預言者が現われ、
ヤロブアムの時代の道徳的宗教的状態を非難したのでした。
(BibleNavi参照)
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ヤロブアム2世。
イスラエルの王ヨアシュの子で、王位を継承した。
エフー(イエフ)王朝の第4代、イスラエルの第13代王で、
その治世は41年にわたった (前793年--753年)。
彼は イスラエル王国を興隆させた。
父ヨアシュと10年以上共に統治した。
(新聖書辞典より)
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列王記の記者は、ヤロブアム2世が登場した理由を
次のように解説しています。
1)北王国イスラエルの悩みが頂点に達したとき、【主】は
ご自身の民を憐れみ、彼らを救おうとされました。
2)【主】は、最初 ヨアシュを通して民を解放し
(Ⅱ列13:22~25)、 次に、ヤロブアム2世を用いて解放の業
を継続されました。(略)
3)イスラエルもユダも、最終的には滅ぼされますが、
それが彼らの最後の運命なのではありません。
聖書には将来的な回復が預言されています。
これもまた主の憐れみによるものです。
(クレイ聖書解説コレクション「列王記第二」P468-469) アーメン、然り。
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確かに、主ははじめ、エフー(イエフ)に 言われました。
「あなたの子孫は四代にわたってイスラエルの王座につく。」
(Ⅱ列10:30)
そのごとく、エフー(イエフ)王朝は、4代目のヤロブアム2世で
絶頂期をむかえ、終焉するのでした。
ヤロブアムの子ゼカルヤは、わずか6カ月の在位で謀反にあい、
民の前で殺されてしまうのです。
この運命の違い。
「繁栄」を享受する運命の者がいる傍らに、
露と消えていく運命にある者が います。
これが、なかなか 私は 理解できません・・・。
(._.)。。
ヤロブアム2世は、主の目に「悪」とされることを行った。
が、
その治世は 繁栄を極めました。
そして、彼は 普通に亡くなって、普通に墓に葬られた?・・?
なぜ、こんなに、ヤロブアム2世は ゆるされたのだろう?
「繁栄」と「堕落」が 表裏一体となっていた治世、です。
一見、「祝福」とも 見れる「繁栄」、ですが、
それは 実際 主の「憐れみ」によるもの だった。
しかし、
北王国の民は 誰も 悟れなかった。
「主は、
イスラエルの苦しみが
非常に激しいことを御覧になったからである。
つながれている者(奴隷)も解き放たれている者(自由人)も
いなくなり、イスラエルを助ける者もいなかった。」
(Ⅱ列14:26)
「繁栄」を享受する最中に 「真実」を悟る、
ということは とても難しいことなのかもしれない。
されど、悟るための平和な時間をこそ
「繁栄」によって与えられているのかもしれない、
とも 思えてきたりします。
「祝福」によらない「繁栄」は
「滅び」の前兆であることを 悟れる人は
幸い なのでしょう。
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正直、私は 「ヤロブアム2世」の生涯に興味が湧きました。
彼の地上人生は、とことん 成功した道を歩んだように思えます。
栄華を享受しました。 しかし、偶像とともに歩みました。
彼は 最後の「死」の床で、どのような幻を見たでしょうか。
それでも、正直、わたしは
「繁栄」の器として選ばれた者の運命の幸いを
思ってしまうのでした。
(-_-)・・・・・。
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痛手に先立つのは驕り。
つまずきに先立つのは高慢な霊。
(箴言16:18)
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アーメン ハレルヤ。