「従来のETS手術は、治療ではない。人体機能の破壊である。」

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私は学生時代、

明治大学の農学部、植物生理生態学研究室に在籍していたのだが

様々な実験をおこなうのに、手の汗には涙した。

手掌多汗症レベル3の方ならば、察していただけると思う、

 手の汗を考え、希望した進路に進むことは諦めた。

この手でも通える職場、この手でも出来る仕事

それが仕事選びの最優先事項だった。

職種は二の次だった。

 悔しかったし、情けなかった。

手の汗のせいで、なんど涙したか分からない。

 
 

でも、今はそうは思わない。

若かった頃の判断は正しかった。

仕事をするため、生きていくため

この手さえ何とかなればと考えたのが

間違いの始まりだった。

 
いま、手掌多汗症レベル3で悩んでいる人がいたら

どうか耳を傾けて欲しい。

「 学校に行かなくてよくて、仕事もしなくてよいならば、ETS手術をうけますか?」

多くの方が、それならば「受けない」と答えるだろう。

多汗症は悪性疾患とは違い、そのままでも命に関わる事はない。


現代社会生活を営むのに不都合が多い という症状で

その「社会生活」というのも、ここ数十年でつくられたものだ。

それ以前は、こんな生活ではなかった。

 
誤解を恐れずに言わせて欲しい。

人生で一番大切なものは

学校でも、仕事でも、夢でもない。

人生で一番大切なものは「健康」だ。

 今ある健康を犠牲にしてまで、手に入れるべきものなどない。

体にメスを入れて、体質を変えてまで生きる必要はない。

それはやりすぎだ。



 ETS手術を考えている方へ 

 そんなに自分ばかりを追い詰めないで欲しい。

仕事を自分に合わせて欲しい。

環境を自分に合わせて欲しい。

自分を合わせようとするのは間違いだ。

その考え方が選択肢を狭め、

 

消極的に(見える)感じることは、当事者として痛いほど経験した。

 それでも

周りに合わせてもらってほしい。

周りに配慮してもらってほしい。

自分を最優先にしてほしい。

そういった仕事が無いならば、

見つかるまでは何もしなくてよい。

 それは、傲慢でも何でもない。

手掌多汗症レベル3は体質で、あなたには何の責任もないからだ。

 ほっておいたら命に関わる病気ならば別だが

そうでないことで親にもらった体に傷をつけてはいけない。

 
それではあまりにも、自分が可哀そうすぎる。

 
手掌多汗症のままならば、夏も外出は出来る。

 

夏も車には乗れる。

コンサートを見に行くことも、ライブで踊ることもできる。

「暑い、暑い」と額の汗をふきながら

脇が濡れたTシャツを着替えながら

コンビニへアイスを買いに行くことも出来る。

 しかし、ETS手術を受けてしまったら

 

たったそれだけのことが一生涯出来ない人がいる。