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昨年、厚生労働省に署名簿および要望書を提出して以降、
国会議員事務所の皆様のお力添えをいただきながら、厚生労働省の担当課との意見交換を継続しております。
つきましては、その一部につき下記にご報告申し上げます。
ETS手術に関する被害実態の解明には、私どもの活動のみでは限界があり、
国会議員事務所の皆様や地方議員の皆様のご協力が不可欠です。
日頃よりご尽力くださっている皆様に、心より御礼申し上げます。
手汗をはじめとする多汗症に悩む若者が、安心して適切な治療を受けられる社会の実現のため、
また、医療の名のもとに患者の人生が大きく損なわれることのないよう、
引き続き皆様のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
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厚生労働省
医政局 医事課 御中
年金局 事業管理課 御中
ご回答に対する現状の報告とお願い
【 ETS 手術についてのご回答について】
ご回答の詳細を拝見いたしましたところ、各医療機関が日本皮膚科学会および関係学会により策定された診療ガイドラインを参照して診療を行うことにより、患者に対して適切な医療が提供されているとのご見解であると理解いたしました。
「原発性局所多汗症診療ガイドライン」は、日本皮膚科学会および日本発汗学会から委嘱された委員により構成された委員会が、過去の診断基準および診療ガイドラインを改訂して作成したものであり、日本における原発性局所多汗症の基本的・標準的な治療の目安を示すものと承知しております。しかしながら、本ガイドラインの要旨には、以下のような免責条項がございます。
「本ガイドラインは、作成時点で入手可能なデータを基に委員の意見を集約したものであり、今後の研究結果によっては結論または勧告が変更される可能性がある。また、特定の患者や状況においては本ガイドラインからの逸脱が容認され、場合によっては逸脱が望ましいこともある。したがって、本ガイドラインを遵守したことのみをもって過失責任を免れることはできず、また逸脱したことのみをもって過失とみなされるものでもない。」
このように、いわゆる免責的な性格を有する以上、各医療機関においてガイドラインの遵守は義務ではなく、また遵守そのものが医療被害の防止を担保するものではないと理解できます。
実際の臨床現場においては、日本皮膚科学会の治療方針を否定し、手術の後遺症もすでに解明されていて防止できると説明を行う医療機関も存在しております。その結果、私たちを含めて多くの患者が十分な理解のないまま手術を受け、望まない後遺症に苦しむ事例が後を絶ちません。また、ETS患者が原告である東京地方裁判所令和4年(ワ)第16613号の判例においても、ガイドラインからの逸脱が容認され、原告の請求は棄却されております。この点からも、現行の枠組みでは、安全な治療を患者に提供する根拠として十分に機能しているとは言い難い状況にあります。
以上を踏まえ、診療ガイドラインの存在のみをもってETS手術に関する安全性や患者理解が担保されているとするのであれば、少なくとも当該ガイドラインにおける免責的記載の見直し、あるいは各医療機関に対する遵守の実効性を確保する制度的措置が必要であると考えます。
加えて、当会といたしましては、ガイドラインへの依拠にとどまらず、ETS手術の術前説明の内容について、厚生労働省において統一的かつ厳格な基準を定めていただくことを強く要望しております。つきましては、関係学会とも十分に協議のうえ、制度的な対応についてご検討賜りますよう、何卒お願い申し上げます。
【障害年金について】
併せてご提示いただきました、障害基礎年金に第3級を設けることの是非につきましては、現在、多くの要望が寄せられていることを報道により承知しております。
しかしながら、当会といたしましては、障害基礎年金において「労働に著しい制限を要する状態」に対応する第3級を新設することよりも、まず優先して検討されるべき課題があると考えております。
安全性が十分に担保されておらず、かつ手術の適応にあたり患者本人の強い同意を必要とすることが条件であるとされている不可逆的なETS手術については、その影響やリスクを十分に理解し、自ら判断する能力が備わる年齢に達するまでの未成年者に対しては、原則として実施を制限すべきであり、あわせて手術適応についても、より一層慎重な判断基準の整備が必要であると考えます。
これまで30年間に渡り健康被害が生じている実態があり、さらに100名を超える患者が海外において自費診療を受けざるを得ない状況が確認されております。この中には、就学中の学生患者も含まれています。患者本人は言うに及ばず、その家族の心理的、経済的な負担は甚大なものです。医療の安全性および患者保護の観点からも、「未成年者へのETS手術の原則禁止」につきまして十分なご議論を賜りますよう、重ねてお願い申し上げるところです
術前の説明や、ホームページの説明に
「この手術には代償性発汗という副作用があり、程度の差はありますがほぼ100%の方に起きます。」
「手以外の部位からの汗が増えてしまう副作用があり、重篤な状態になる方も一定数います。その場合、神経をもとに戻す方法はありません。」
「手術を後悔する方も一定数いらっしゃいます。」
「ETS手術の合併症は、代償性発汗だけではありません。」
「手掌多汗症の時とは比較できないくらいに生活に支障が出る方もいます。」
このように、手術の危険性をしっかり説明してある施設は信頼できる。
一方で
①「低位T4切除ならば、代償性発汗も最小限です。」
②「片側のみ手術であれば、代償性発汗が起きても半分です。」
③「当院の術式では、ほとんどの人に重篤な代償性発汗は起きません。」
など、「そんなに危険じゃないんだな」と思わせるような
どちらかというと、手術を肯定してくる施設はお勧めしない。
身体に、切って良い交換神経節などないからだ。
医師は最後の最後まで、保存療法を勧めるべきだと思うからだ。
代償性発汗や、他の合併症を発症した場合は
下記の様な説明をされることになりがちで、その時に後悔しても遅い。
①T4切除だったから、この程度で済んだ。
②両側同時にしていたら、もっと酷いことになった。
③あなたの様な方は珍しい。聞いたことが無い。
④もともと汗かきだから、病的とは言えない。
⑤あなたが初めてです。
いずれにしても
「術前の体からの発汗状態を証明できる写真を、あらかじめ撮っておくこと」
これが肝要です。
その写真がなければ、地獄に落ちると思ってください。
彼は、ごく普通の高校生だった。
部活は帰宅部。成績は中の上。友達も、それなりにいた。
ただ一つだけ、人より違うことがあった。
手のひらが、いつも汗で濡れていること。
プリントは波打ち、ノートはふやける。
握手を避け、誰かと手が触れるたびに心臓が跳ねた。
「なんでそんなに汗かくの?」
何気ない一言が、胸に刺さる。
やがて彼は、人と距離を置くようになった。
――変わりたい。
そう思って訪れたクリニックで、医師は穏やかに言った。
「これは手術で治りますよ」
「後遺症は心配ありません」
「傷も小さいし、日常生活に支障はありません」
「手術の翌日から、登校が可能です」
“簡単に治る”
その言葉だけが、彼の中で大きく響いた。
両親も背中を押した。
「これで楽になるなら、いいじゃないか」
手術は、あっという間に終わった。
目が覚めたとき、彼の手は乾いていた。
初めて感じる、さらさらした感触。
それだけで、世界が変わった気がした。
――でも、それは長く続かなかった。
数日後、異変は始まった。
背中が濡れる。
胸が、腹が、太ももが、じっとりと湿る。
最初は気のせいだと思った。
けれど、それは日に日に強くなっていった。
授業中、椅子に座るだけで汗が滲む。
立ち上がると、ズボンに濃い跡が残る。
夏になると、もう隠せなかった。
シャツは背中に張り付き、汗は滴る。
「お前、なんでそんな汗かいてるの?」
今度は、全身だった。
彼は再びクリニックを訪れた。
医師は淡々と言った。
「それは、もともとの汗ですね」
「よくあることです」
「気にしすぎですよ」
“よくあること”
その一言で、彼の何かが崩れた。
手の汗を止めるために受けた手術で、
今度は全身が制御不能になった。
逃げ場はなかった。
教室でも、電車でも、外でも、家でも。
常に汗に支配される生活。
制服は何枚あっても足りない。
人と近づくのが怖くなった。
笑うことも、減っていった。
やがて彼は、学校に行けなくなった。
友達からの連絡も、最初は返していた。
でも次第に、それも途絶えた。
「なんで手術なんてしたんだろう」
何度も何度も、同じ言葉が頭を巡る。
あの時に戻れたら。
あのまま手汗のままでよかった。
ノートが濡れるくらい、どうってことなかった。
彼は、自分の選択を呪った。
でも、本当にそうだったのだろうか。
“簡単に治る”と言われなければ。
“問題ない”と説明されなければ。
彼は、あの手術を受けただろうか。
部屋のカーテンは閉じたまま。
時計の音だけが、静かに響く。
彼の時間は、あの日で止まった。
――手のひらの汗と引き換えに。
彼は、自分の人生を失った。
下記の体験談を頂きました。
自律神経系の損傷は、生命にとっては取り返しのつかない問題です。
私は10年以上前にETS手術を受けました。
最初の1年くらいは手汗が止まったことに感動していましたが 、
それから2年、5年、10年…と手術した右半身以外のお腹やお尻、膝まで年々汗が増え続けています。
にもかかわらず、手術した側の頭部や右半身は一滴も汗が出なくなったことで、
体の熱がこもって熱中症になりやすくなり、夏場は外出できなくなりました。
交感神経節は大事な神経が集まっており、切除すると2度と元に戻すことはできません。
代償性発汗だけでなく、体温調節もできなくなり、自律神経もおかしくなりました。
切除した影響は計り知れず年々体調が悪化しており、手術したことをずっと後悔しています。
現在は手術以外にも保険適用の塗り薬といった他の選択肢もあります。
代償性発汗やそのほか想像もつかない後遺症をかかえるリスクを背負ってまで
本当に必要な手術でしょうか。


