国内には、ETS手術を行っている施設が複数ある。
岡山大学病院など、合併症を最小限におさえる工夫を続けている施設もあるが
多くの施設は、多少の違いこそあれ、昔とそう変わらない術式だ。
専門性を詳しく説明している施設もあるが
結果は何ら変わらない。
T4のみ切除だろうが、T3,T4,T5切除だろうが
利き手側片側のみだろうが
そんなことは全く関係なく、合併症は起こる。
「合併症には個人差があります」
これは、ETS手術を行う側にとって大変都合の良い言葉である。
「あなた以外の人は、合併症など起きていませんよ」
そう言えるからだ。
患者は自分以外の人のカルテなど見ることは出来ないから
確認のしようもない。
しかし、待合室で見ていると
私と同様に後遺症で苦しみ、暗い顔で悩んでいる方を相当見かける。
私は、手術を受けた病院のスタッフに
「今の手術方法になってから、代償性発汗になったのはあなたが初めてです」
と説明された。
そんなことはないことくらいは、私でも分かった。
少ないかもしれないが、一定数いるだろう。
しかし、代償性発汗を起こした患者には、皆にそう説明しているのである。
たとえ合併症発生率が1/100だとしても
将来、何年か経ってから、重篤な事態が起こるかもしれない患者が一定数いる。
にもかかわらず、相変わらず手術は行われている。
「発生率が1/100の確率であったから、私はこうなっても仕方なかった」
と考える患者はいない。
みんな、今よりも人生がより良いものになると信じて
悩みに悩んで、医師の言う事を信じて手術を受ける覚悟を決める。
個人差が大きい、そんな危険な手術は避けた方がよい。
そう考えてくれる医師もいるが
そうでない医師も一定数存在している。
ETS手術に国の保険認可が下りなければ
どれほど多くの方が
人生を台無しにされずに済んだだろう。
私と同じ人を出さないために、通院の経緯を書き留めておきたい。