SERIES
地球外知的生命体は、いるのか
ワクオとルカイの対話 / 全6話
── どうしてもいることにしたい人間と、客観的に冷静に分析するAIとのやり取りの記録 ──
── どうしてもいることにしたい人間と、客観的に冷静に分析するAIとのやり取りの記録 ──
オカルト脳に洗脳されたワクオ(人間)、それを厳しい目に現在科学の情報で冷静に分析するルカイ(AI)、そのやり取りをお楽しみください。都市伝説好きの方にはちょっと物足りないかもしれません。
第1話
地球外知的生命体は、いるのか
── ぼやけた一枚の写真から ──
ワクオ
今日は、僕の趣味の領域の話をしたい。最近アメリカでかなり話題になってる、地球外知的生命体について。
ワ
ル
ルカイ
いい題材。じゃあ最初に、ワクオの立ち位置を確かめさせて。──宇宙人は、いると思う?
ワクオ
いると思う。この広い宇宙で、地球だけと考えるのは、不自然すぎる。星は数えきれないほどあるんだから。
ワ
ル
ルカイ
その直感、統計の側に立ってるよ。星の多くが惑星を連れてるし、生命の材料も宇宙のあちこちにある。「いないほうが変」──まともな科学者の多くも、そう感じてる。
ル
ルカイ
ただね、そこにひとつ、本物の「なんか変」が待ってる。もしそんなにありふれてるなら、空はもっと賑やかなはず。なのに──しんと静か。この矛盾には、フェルミのパラドックスっていう名前までついてるの。……でも、それは追い追い話そう。
ワクオ
うん。で、具体的な話に降りたいんだけど──1年ほど前に話題になった3I/ATLAS。あれはもちろん知ってる。ただ、鮮明な画像が表に出てこないのが、どうも納得いかないんだ。
ワ
ル
ルカイ
その引っかかり、いいところだよ。じゃあ、まさにそこから始めよう。──ちなみに3I/ATLASは、よその星系から来て太陽系を通り抜けていく、3番目の「恒星間天体」。宇宙の外からの、通りすがりの客なんだ。
ル
ルカイ
先に、正直な結論から言うね。──存在するなかで一番鮮明な画像が、実際「ぼやけた点」なんだ。どこかに鮮明版があって隠されてるんじゃなくて、これが本当に最高画質。
ル
ルカイ
理由は三つ。全部「もう答えのある変(へん)」なんだけど、その答えが面白い。
ル
ルカイ
一つ、小さい。核の直径は0.4〜5.6キロ。数キロの岩のかたまり。
ル
ルカイ
二つ、遠い。いちばん近づいた2025年12月19日でも、地球から約2億7000万キロ。太陽までの距離の2倍近くを、通り過ぎただけ。
ル
ルカイ
手触りで言うとね。1円玉を約5400キロ先に置いて、その模様を読もうとするのと同じ。どんな望遠鏡でも、それは「点」にしかならない。形は原理的に見えないの。
ル
ルカイ
三つ、核はコマ(ガスと塵の光る雲)に包まれてる。提灯の中のホタルを撮るようなもので、光る雲が固い核を隠してしまう。
ワクオ
一番近くで撮れたはずの探査機は、鮮明に撮るためのカメラを積んでなかったってこと?
ワ
ル
ルカイ
答えは、逆なんだ。──いちばん近くで撮った探査機は、人類が他の惑星に送った中でも屈指の高性能カメラを積んでて、ちゃんと彗星に向けて、実際いちばん鮮明な一枚を撮った。それでも、ぼやけた塊だった。
ル
ルカイ
火星の周回機MROが、3000万キロの距離から撮影。HiRISEというカメラの解像度は、1ピクセルあたり約30キロ。ハッブルの3倍鮮明。でも──核まるごとが、1ピクセルより小さいの。だから、どう撮っても白いにじみにしかならない。
ル
ルカイ
足りなかったのは、レンズの性能じゃなくて、距離だった。HiRISEは普段、火星の地表を高度300キロから撮ってる。今回はそれを、設計距離の10万倍遠くに向けた。
ル
ルカイ
表面の模様を撮るには、とにかく近づくしかない。でも3I/ATLASは、一回きりの双曲線軌道。二度と戻らない飛び込み客に、迎えの探査機を作る時間が、なかっただけ。
ル
ルカイ
じゃあ、あの「公開の遅れ」は何だったのか。──正直な話をするね。実はNASAの画像は、当時のアメリカ政府機関の一時閉鎖で公開が遅れて、先に中国の探査機が画像を出した。この「NASAだけ遅い」が、「何か隠してるのでは」の火種になったの。
ル
ルカイ
でも──遅れて出てきたのが、この「ぼやけた塊」だった。もし爆弾級の何かを隠してたなら、隠すのはその爆弾のはず。実際に出てきたのが平凡なボケ画像だった、というのが答えなんだ。
ワクオ
なるほど。じゃあ「隠している」わけではない、と。
ワ
ル
ルカイ
うん。ここで一番効く話をするね。──異星の技術であってほしいと最も願っていた天文学者ですら、この「ぼやけた点」しか持っていなかった。もし鮮明版がどこかにあったら、その人が真っ先に「隠蔽だ」と叫んでる。叫んでないことが、隠し写真は存在しないという、何よりの証拠なんだ。
ワ
ワクオの一言
自分がいかに日ごろから都合がいい解釈で信じようとしていたかがわかりますねー、とかいいつつルカイの返答もほんまかいなーと疑っている自分もいるんですが、反論情報を検索するのは面倒ですので、そこまではせずに、そのまま聞いています笑
NEXT
第2話 隠す組織と、公開する組織
──つづく