- ケイナ デラックス版
- ¥4,441
その星では、巨大な樹の上で人類が生活している。
闊達で好奇心旺盛なケイナは、青い太陽の夢を追っていた。
それはただの夢でなく、実際にあると信じた行動が、思わぬ展開へ。
2002年にフランスで制作されたフルCGSFアニメーション。
相当力を入れたらしく、声もキルスティン・ダンストなど、有名俳優を用いている。
内容的には、ヒロイックSFファンタジーで、なんとなくナウシカを彷彿とする。
主人公のケイナの、自然を愛し、誰にでも優しく、でもしなやかな強さを持った博愛主義なところが
似ているって思うのかも。
一番気に入ったのは、ビジュアル。
フルCGの良さを存分に生かした、異界っぷりが見事。
セピアカラーを中心として描かれ、ブルーの使い方も美しく、
実写で撮れないからこそ、セルアニメでは表現できないからこそ、
CGだからできる表現が無理なく美しい。
FFの大失敗したCGアニメなんか目じゃない(笑)
人間をよりリアルにCGで描くのって、なんかしらんけど日本の人が執着してるけど、
あれって意味ないと思う。
それだったら実写でいいじゃん。
もしくはアヴァロンみたいな混成にしたらいいじゃん。
CGを使うのは、CGでしか出来ないことがあるからじゃないの?
例えば、液状生物みたいな。
液状生物!
この映画がCGでなくてはならなかった理由。
CGだったからこそ、素晴らしかった理由。
琥珀色の液状生命体の、滑らかな異形。
樹液の中を移動し、樹液を体として盛り上がり、流れ、巡る生命体。
この、美しく異様な生命体は、CGじゃなければ表現できなかった。
この動きを見るだけでも、この映画を見る価値はある。
人間はある程度デフォルメされており、それほどリアルじゃないけど、これぐらいで充分だと思う。
髪の表現なんかはぎこちないけど、体の動きは充分滑らかだし。
ストーリーが、これがなかなか気に入っている。
3種類の、絶滅に瀕している生命体が出てくるから。
悪役のハッキリしているストーリーなんだけども、
善悪がハッキリしているわけじゃない。
誰かがが生き延びようとすれば誰かが滅び、
そして、全ての種が絶滅の危機に瀕している。
人間は、その生活する巨木がなくなるかもしれないから。
特殊な条件で存在している樹ゆえに。
宇宙船事故でただ一人生き残った赤ん坊は、
たったひとりで600年生き、
今はもう年老い、知恵と力を与えた別種族に守られて、
外宇宙に飛び立つ日を夢見ている。
固定された体を持たず、樹液をその体として生きている種族は、
最後の女王と最後の雄種を持ち、あとは、下層階級が幾人かいるだけ。
樹液が枯渇しようとしている今、絶滅の危機に瀕している。
その全ての種族の生に、あるいは死に関わっているのが、
ケイナが夢見る”青い太陽”。
ストーリー展開自体は平凡だけど、
ストーリーそのものが、切なくて美しい。
想像力があれば、物語をどれだけでも広げられる。
特に好きなのは、最後の生き残り、600年の孤独のオーパス。
ビジュアルはどう見ても、ドラゴンボールの神さまなんだけど(笑)、
彼の孤独で優しい知性が好き。
種族の最後の一人なのに、他の種族にも優しくて、
知恵を与えたワームには尊敬されているし、ケイナにも、常に正直であろうとするから。
正直、ケイナたち人間はいかにもハリウッドぽい行動、アクション、発想をするし、
人間以外は相当グロイんだけど、
物語を見ていくうち、グロイ生物達が愛しく思えてくるから不思議(笑)
だって、サブキャラ芋虫だよ?
しかも人間の主食だし。
なのに、ファニーでいいやつな役どころ。
外国の映画って、こういう脇役必ず出てくるよね。
見た目はゴメンナサイだけど、キャラはユーモア溢れて、いいやつ、っていうの。
これは結構好きな作品。
そして、見るにつけ、このスタッフでBLAME!作ってくれないかなと思う(笑)
色彩感覚や、クリーチャーがすっごい弐瓶さんなんだよね。
っていうか、弐瓶さんがヨーロッパSFに影響されただけの話なんだけど。
スタジオIGの映画化、本当に進んでるのかな…
また中止になってんじゃないかな…
もういっそのこと、フランスCG界に企画持ち込んで欲しい。