- 太陽の王ラムセス〈2〉大神殿 (角川文庫)/クリスチャン ジャック
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彼はいかに王になり、王国を統治したのか?
タイムトラベルしたかのようなリアルさで、成長物語を読む。
何故か1巻の画像がなかったので、2巻の画像で。
読んだのは1,2巻。
以降まだまだ続いてますが。
ヨーロッパのエジプトブームの火付け役にもなった、
歴史上の事実に基づいたフィクション歴史小説。
この小説で一番面白いのは、
古典的な考え方の持ち主がヒーローで、現代人のわたしたちが納得しやすいような、
現代的感覚の持ち主が悪役ということ。
大体の小説が、先進的な考えを持つ主人公が、
いかに周囲の無理解と戦いつつ、己のやり方を通していくか、みたいなのに、
真逆なのが面白い。
主人公ラムセスは、先王から受け継いだ、伝統的な統治法を引き継ぎ、拡大していく。
つまり、国土を強化し、外国とは戦い、伝統を守るといった。
しかし、彼の兄は、貿易で周囲と友好関係を築くことにより、
平和かつ、収益を上げる国づくりを考えている。
しかし、ラムセスは直情的で、根回しの下手な人物なため、
王の側近や貴族たちの反感にあい、
逆に、根回し、社交上手な兄は、味方をどんどんつくっていくという。
古代エジプトの生活がとてもリアルに描かれているところや、
ストーリー自体はハリウッドの大作もののような、
友情、裏切り、美女との愛に溢れているところも面白い。
なにより、そのおかげで、興味を持てるし、ぐいぐい読めるし。
人物が肉厚で生き生きしているのもいい。
ラムセスの少年時代の友人4人がそれぞれの道を選び、
その道に誇りを持ちながら、時には協力し、時には裏切り、の人間関係が一番面白いかも。
『この人、本当はどう考えているんだろう?』
とどきどきするし。
特に、ラムセスの情報を兄に横流ししている外交官。
彼は、二重スパイで最終的にはラムセスの味方なんじゃないかと思っているけど、
大河小説並みに長いので、いまだ結論は知らず(笑)
気になるとしたら、やっぱり、海外小説的な人物造詣と筋運びかな?
肉欲のみの美女がまず現れ、
結局彼女を捨てて、更に美人でしかも頭のいい女に流れていくとことか(笑)
最初の美女が可愛そうだもん(笑)
ただ、自分と同じように情熱的に愛されたいと願っていただけなのに、
そのために遠ざけられるとか。
あと、主人公にどこまでも忠実だけど、あんまり報われない友人とかかな?
飽きさえしなければ、かなり面白い小説。