- ガーディアンガーデン
- フォト・ドキュメンタリー「NIPPON」
若手写真家の写した、”NIPPON”。
様々な視点で、切り取られたフレームの中から
現代が浮かび上がる。
ガーディアンガーデンの主催する、若手写真家の賞を本にまとめたものらしい。
総勢15名の写真が載せられているのだけれど、これがなかなか面白い。
テーマは”NIPPON”。
新興住宅地で、人間性の希薄さをテーマにしたものがあれば、
浅草の老夫婦の生活に肉薄したものもあり、多種多様。
写真はやっぱり、視点だな、と思わせられる。
自分のお父さんを1日1枚とって、毎日HPにUPしたひとの作品なんかみるとね(笑)
表現の1手段なんだな、って実感させられる。
アナログでもいいし、デジカメでもいいし、
写真家の意思で、舞台を作り上げてもいいし、日常を流れるものをただ写してもいいし。
これをみていると、なんだか自分も写真を撮りたくなってくる。
特に気に入ったのが、一番最初に掲載されている
本田犬友 『プラスチックの桃源郷』
田村俊介 『父さん、そのジャージ僕のです』 http://homepage.mac.com/shunsuketamura/index.html
本田さんの写真は真摯で、とてもインパクトがある。
新興住宅地に10何人かの若者をランダムに立たせて撮ったもの。
若者は一様に無表情。
ページをめくっていくと、
若者たちがそれぞれケータイしているもの、
足をロープで繋がれているもの、
下を向いているもの、コンビニに袋を持っているもの、
そして最もインパクトがあるのが、
透明のゴミ袋に詰められているもの。
これは衝撃的。
たぶん、ずっと記憶に残る写真だと思う。
何人も人がいるのに、無表情で、ディスコミニュケーションで、
”現代の若者の問題” ”つながりの希薄さ” なんていわれているものを、
こんなに、ダイレクトに、視覚表現できるんだな、って思った。
誰にでも分かりやすく、インパクトのあるものって案外難しい。
だって、一見すると、『誰にでも思いつきそう』『自分にも出来そう』とか思っちゃうからね。
もちろん、そんなことは全然ないんだけど。
もうひとり、田村さん。
これは非常にファニー。
自宅で、お父さんのラフな姿をひたすらとって、ひたすら載せたもので、
とにかく量がハンパない。
しかも、お父さんには作品にしていることを言ってないから、寝姿、裸が多くて、
ほんとに、完璧、プライベート(笑)
笑ってしまう、楽しい気持ちになる。
けども、ずっと見ていくと、これがネットにアップされてたことや、
お父さんの老いた、あまり整頓されていない生活について考えてしまう。
SNSとかで、気軽に写真を載せる、ケータイで、気軽に有名人とか事件を無断で撮ってしまう。
そんな今の、プライベートの事情とか、
人は皆老いるけど、そのリアルさを感じたりとか。
意外と、深いものも感じる。
なかなか、見ごたえがあっていい本だった。
またやって欲しいな、これ。