- 24人のビリー・ミリガン―ある多重人格者の記録〈上〉/ダニエル キイス
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- 24人のビリー・ミリガン〈下〉 (ダニエル・キイス文庫)/ダニエル キイス
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なんか急に読みたくなりました。
20年近く前に流行った多重人格モノの発端となった本。
レイプ強盗犯人として、ビリー・ミリガンが捕まった。
しかし、どうも彼は様子がおかしい。
精神鑑定によって、彼は多重人格者と判明し、社会を騒がす事件に発展する。
名前だけはずっと知ってたけど、初めて読みました。
たしか、モバゲーで「わたしは多重人格者」てひとの日記を読み、
そういうひとがけっこういるのにびびって手にとって見ました。
ネットの自称者のほとんどは嘘だと思いますが、ビリー・ミリガンはなんか信じちゃうな。
未だに真偽がハッキリせず、「偽病だ」ていう医師のはなしをよく見かけますから、
今までは信じてなかったんですけど。
24人もの全く異なる人格がいて、
性格どころか、話す言語も、書く言語も異なるという、まるで超科学のようなお話ですが、
よーく読んでいくと、ビリーは非常に頭が良く、異なる言語なんかは図書館でじっくり勉強して身につけたようです。
そういう種明かしがあっても、ショッキングな病状ですよね。
絵画、縄抜け、電気工事等、あまりにも器用なので、
便利だなぁ、と迂闊にも思ってしまいますが、
それらの能力は生き延びるために使うだけであり、
かつ、便利にコントロールできるわけでなく、むしろ生きるのに不利な方向に発症するので、
なんか可哀想になります。
人格が分裂した原因の虐待も酷い。
両親の方が病院なり警察なりに行くべきだけど、
過去の、具体的な物証を挙げられない事例は裁かれないのかな。
あまりに可哀想な生い立ち、
そして、社会的にも追い込まれ、政治家に利用され、精神病院で虐待されるのを読むと、
本当に同情します。
でも、彼が罪を犯した事実。
それに対する反省はあまり書かれてないような…
てか、反省以前の問題というのは分かるんですけどね。
通常の思考が出来ていないから。
下手な小説よりもとんでもない、複雑な理由なんです。
下巻はほとんど、ビリーがいかに、政治家の票集めに利用され、
精神疾患のある犯罪者のための病院兼刑務所がいかにひどいかの話。
怒りを覚えます。
でもこの本の要は、ひとがいかにショッキングな話を好むか、ですよね。
多重人格、虐待、それがどれだけ様々な人の興味を引き、
怒りと同情を招き、利用されるか、ってはなしですもん。
ダニエル・キイスですら惹かれたわけですし。
もの凄く興味を引く本なのは確かです。
そして、多重人格を信じるか信じないかも人それぞれ。
わたしはごく少数だけど、そういう疾患はほんとにあるって思ったし、
人のこころの成り立ちってそのぐらい複雑で不可解なんだろうなぁ、と感じました。