精霊の守り人 | お役に立ちません。

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本・漫画・映画のレビューブログ。
本は月に10冊ほど、漫画は随時、
映画はWOWOWとTSUTAYAのお気持ち次第(笑)

精霊の守り人 (偕成社ワンダーランド)/二木 真希子
¥1,575
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純日本製ハイファンタジー。

凄腕女用心棒バルサは、ふとした事から皇子チャグムの護衛をすることに。
チャグム暗殺を狙う追っ手を交わし、
チャグムの胸に潜む”精霊の卵”の謎を解いていく。

なんかアニメ化されてたよね。
びっくり。
アニメは見てないケド、原作はもの凄く好きだよ!
全部読んだし。

この作品の素晴らしいところは、物語が非常に良く練られていること。
詳細な世界観、複雑で生き生きとしたキャラクター、伏線と謎の回収。
どれも1級品。
児童向けファンタジーだなんて舐めていてはダメ。
むしろ、児童向けファンタジーだからこそ、物語のメッセージが鮮やかに浮き上がり、
ストレートに伝えられるんだと思う。
子ども向けだから…なんて妥協は一切ないし。

緻密に練り上げれら世界観は、食べ物にいたるまで、本当にこんな国があるんじゃないかと
思ってしまうくらい。
風習、差別、政治的な事情まで、緻密。

そのバックグラウンドと複雑に絡み合い、奥深い味わいを出すのがキャラクター。
”典型的”なんて言葉とは無縁の、豊かな性格。
無骨だけど、心の底から信頼できるバルサの、
辛い過去や、素直になれない人間関係、
チャグムのわがまま皇子がティーンエイジャーとしてどう成長していくか、という様。

そして何より、敵の描き方。
ただの悪役じゃなくて、その行動の理由、事情までキッチリ描いて、
簡単な勧善懲悪には陥らせない、複雑でリアルな心理模様。

素晴らしい作家が素晴らしい評価をされていて嬉しい^^
ハリポタ人気からくる、ファンタジー熱に若干利用されてても(笑)
物語の素晴らしさは読めばわかるもんねぇ。