- きれぎれ/町田 康
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町田小説に共通する、だめ人間の話なんだけど、
笑いの比率が少なく、その代わりにグロシュール率アップ。
社長の息子で、働きもせず親の金で遊び歩く息子。
金持ちの娘との見合いを壊し、
水商売の女と結婚してみたり破天荒に生きるも、
学生時代馬鹿にしていた絵仲間がどんどん出世していくのに比例し、
どんどん人生の坂を転げ落ち…
うーん。
町田節は好きなんだけど、これは好きじゃないな。
理由は笑えるところが少なく、逆にぐろいから。
不幸になっていったり、底辺生活なのは別にいいんだ。今までどおりだし。
ストーリも起承転結しっかりしていないタイプだから、
切れのいい文章による笑いがないと、ただ気が滅入って意味が取れない。
身体改造の男の話も参ったなぁ。
現実と変わりない世界観の中、ただ一点だけ奇妙に異なる設定は好きなんだ。
この場合のハードな身体改造(頭蓋をプラスチックに変えるなど)も、面白いと思う。
でも、後半が読んでてきつい…
言うなれば、”羊たちの沈黙”の、自分の脳を食べさせられるシーンの笑えないユーモアの系統。
他のもただ理不尽でどうしようもない感じ。
独特の文章は健在なんだけどねぇ。