何を隠そう弐瓶勉の大ファンです。
神だと思ってるね!
たぶん、彼の本は売れない。
だけど、スタンダードを獲得できないにしては才能がありすぎる。
だから、集英社もほっとけない。(んだとおもう。)
講談社からなぜか集英社に移籍(?)しての第一弾単行本。
デリカテッセン、ロストチルドレン時代のマルク・ギャロ&ジュネ的ダークファンタジーや、
エンキ・ビラルのSF世界に近い世界観の中で、
純モンゴロイドのキャラ造詣というビジュアルセンスが最高。
背景はヨーロッパ調の建物群なのに、
主人公駆動電次(クドウデンジ)属する主油養殖(アブラノヨウショク)という会社は
まるで日本の下町そのもの。
会社の社長や事務員も、一昔前の下町社員そのままなのに、それがすごくSF的に見える。
かっこいい。
かっこいいものじゃないのにかっこいい。
『アブラノ』なんて社名入りエプロン描いて、それがすごくかっこよく見えるなんてこのひとだけだ。
建造物が一個の生物として、やつれた進化を遂げたらきっとこんな街並みになる。
自然なんて殆ど無く、巨大な外壁を抜けても果てしなく続くのは血管のようなパイプだけ。
それを背景に、ガイコツのような装甲で絶望的な戦いを続ける主人公、
敵、黒服の刑事たち、検眼寮(ケゲンリョウ)と呼ばれる秘密機関の人物達。
細く歪んだ長身の男、一人は車椅子に拘束され、一人は戦闘機械としてだけ生存させられている双子の女。
白奇居子(シロガウナ) 黒奇居子(クロガウナ) 検眼寮(ケゲンリョウ)
阿由多 那由多 示現連鎖体 恒差廟(ゴウサビョウ) 第四紀連 刑兵部省(ケイヒョウブショウ)
死に、壊され、損なわれ続ける世界を彩る言葉たち。
物語の意味についていけなくても、このビジュアルは絶対に見て欲しい作品。
そして、実はもの凄くギャグセンスのある弐瓶氏…