太陽の東 月の西 | お役に立ちません。

お役に立ちません。

本・漫画・映画のレビューブログ。
本は月に10冊ほど、漫画は随時、
映画はWOWOWとTSUTAYAのお気持ち次第(笑)

太陽の東・月の西―北欧伝説

北欧伝説を題材にカイ・ニールセンこんな内容 )が挿絵を書いたもの。

岸田理生訳、新書館出版だが、現在は古書で手に入れるか、図書館で探すかしかない。


わたしは図書館で見る。

小さい頃から何度も借りてる。

すごく好き。


細かく描きこまれた線を基調に、全体的に陰のある色調。

多色使いなのにどこか物悲しく、余白を生かした画面構成は浮世絵を思わせる。

劇めいたポーズの人物、

物憂げな表情。


特にお気に入りなのは、

好奇心から最愛の王子をなくした娘の絵。

森の中、下着姿で顔を覆う娘が画面中央に描かれる。

下草に花は生えているけれども森は暗く、膝を付いて嘆き悲しむ娘。

後悔が伝わってくる。


もうひとつ、裏表紙の、悪魔と姫。

黒い羽毛に覆われた体は蛇のように伸び、

唯一人間である顔は娘を覗き込む、

娘は聖女のように白く美しく。

何の物語なのかは分からないけれども、

黒基調に燭台や王冠の黄金が映えた色彩がすごく気に入って。


大きな布に転写して部屋に飾れたらな。