あなたは便秘でお悩みですか? | こけ玉のブログ

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不惑の年などもうとうに過ぎたのに、いまだに自分の道も確立できていない。
そんな男の独り言。

昨今、腸内環境を整えることがいかに様々な疾患を改善するうえで大切かが明らかになってきている。

「糞便移植」という治療法により腸内環境を整えることで、消化器疾患のみならず、パーキンソン病などの神経疾患やうつ病などの精神疾患、肥満なども改善されるという事実は実に衝撃的である。

それは逆に言えば、これまで日常的過ぎて疾患としてあまり重要視されてこなかった「便秘・下痢」を生命活動の危険信号の一つと捉えるべきであることを表しているのではないだろうか。

東洋医学でも様々な疾患改善の前提条件として「便通をよくすること」が言われている。

今一度、「排泄」という生命活動の重要さを学んでみよう。



そもそも我々は「腸」という存在を消化吸収の器官とだけ捉えてきたのではないだろうか。

その認識を根本から改める必要がありそうである。

「腸」は大きく分けて「小腸」「大腸」に分かれる。

そして「小腸」は十二指腸、空腸、回腸に分かれる。

十二指腸を別建てにして、空腸、回腸を「小腸」と呼ぶことも多い。

胃から十二指腸にかけて食べた物が消化される。

小腸ではさらに消化され、なおかつ栄養素のほとんどがここで吸収されていく。

残ったカスが大腸に送られるが、その時点ではまだドロドロ状態なので、大腸で水分やミネラルも吸収されて、あの見目麗しいうんちが出来上がっていく。



そんな腸は消化吸収以外に、以下のような役割も持っている。

〇解 毒
食べものの中に含まれる食品添加物や残留農薬、汚染物質など体外から侵入する毒素と、老廃物から発生するガスなどを便として体外へ出す作用である。

ちなみに、それら有害金属や有害化学物質などの毒素の75%は便として、20%は尿として、残り2%は毛髪として排毒(デトックス)されるとのこと。

残念ながら排出しきれない残りの数%によって我々の身体はいろいろな影響を受けるようだ。


〇免疫機構
解毒に関してはさもありなんだが、腸が免疫にも関わっていることはあまり知られていないのではないだろうか。

免疫の作用を持つリンパ球が、小腸、大腸の粘膜に、全身の60%も集中しているという。

つまり、体の中で最も大きな免疫系を構成しているのが腸ということだ。

これが「腸管免疫」と呼ばれる。

これも考えてみれば当然かもしれない。

体外から入ってきた毒素は添加物や残留農薬、有害金属などにとどまらず、ウイルスや細菌等の病原体も含まれているからだ。

この腸管免疫が働かなくなると便秘を引き起こし、逆に過敏になりすぎると過敏性腸症候群のように下痢を起こしやすくなる。


腸の動きは腸管免疫以外に、自律神経によってもコントロールされる。

交感神経が働くと、戦っている最中はトイレなどには行っていられないから腸の働きは抑制されるし、副交感神経が働くとリラックスモードでゆっくり排便ができる態勢になる。

だから、常に緊張を強いられるような生活パターンを繰り返していると交感神経優位の状態が続くので、腸の働きを阻害することになる。


また、腸が働きやすくなる一日の中のリズムというものもある。

朝起きてからお茶やコーヒーのカフェインや食物で胃が刺激され、腸の蠕動運動が起こり排便しやすくなるという。

自分も一日の中では圧倒的に午前中に排便することが多く、本当にその通りだと思う。

昼休みにはしっかり休憩をとることで副交感神経が働き、しっかり消化吸収ができるようになる。

昼が最も消化力が強いので、朝、昼にしっかり食事をとり、夜は控えるのが最も腸の働きのリズムに則しているのだそうだ。

仕事終わりとなる夕方以降はリラックスするので副交感神経が働き、胃酸はよく分泌されるのだが、腸の蠕動運動自体は深夜に向かって徐々に小さくなっていくので、夕飯の量は控えめのほうがいいというわけだ。

このような腸のリズムを無視した食生活、例えば朝食を抜くとか、夜遅くに食事をとるなどの生活をしていると、腸の働きを阻害することになる。

ただし、「朝の排せつの時間に余計な負荷をかけてはいけない」として「朝だけ断食」を提唱しておられる方もおり、どのような食生活が身体にとって良いのか、情報がかなり錯綜しているのが現実である。


さらに腸にとっては冷えもよくない。

特に夏場はエアコンに長時間さらされていたり、暑い外から冷えた部屋に入ることで急激な温度変化により自律神経の働きに乱れが生じ、腸の働きを阻害するもととなる。

さらに腸のリズムとも関わるが、便意があるのに我慢することもよくない。

これは腸の働きのサイクルを自分自身で壊すようなもので、繰り返すうちに便意そのものがあまり感じなくなっていき、結果便がたまり、固まって物理的に排出困難な状態に陥る。

便は硬くならないうちに、出たいときに出してあげなければならない。


そもそも正常な排便回数とはどんなものだろうか。

当院では初診の問診で必ず便通の具合を聞いているが、1日3回(普通便)から2~3日に1回までが正常とされている。

2~3日に1回程度であってもリズムが確立されていればあまり問題としなくていいらしい。

1週間に1~2回となると便秘となる。


排便の正常化のための大切な要素は他にもある。

食するものの内容と量である。

基本的にはやはり食物繊維の摂取がとても重要になってくる。

厚労省が出している「食品摂取基準」では18~49歳の女性の食物繊維摂取量は1日当たり20~21グラム(男性は26~27グラム)となっている。

しかし、実際は30~39歳の女性で12.7グラム、20~29歳女性では12.2グラムにとどまるという統計結果が出ている。

また、ダイエットなどで食べる量が少なくなりすぎても便秘になりやすい条件となってしまう。

腸に送られた内容物が少ないと腸壁への刺激が少なくなり、排便を促すだけの腸運動を引き出せなくなりがちだからである。

ある程度の量がたまるころには先の便が硬くなり、排便しにくくなるのである。


他にも女性の場合は生理前になるとホルモンバランスの変化で腸管運動の低下が起こりやすく便秘になりやすいだとか、開腹手術をすると内臓が空気に触れることで癒着を起こしやすくなり、「腸管癒着症」を起こすとどうしても器質的に便秘になりやすくなる。

また、加齢による腸の活動低下も便秘のもととなりやすい。

2019年の調べでは便秘の有訴者は男性25.3%、女性43.7%だが、65歳以上になると男性64.1%、女性72.3%に急増するという。

以上のように便秘を招きやすくなる条件というものは実に多い。



ちなみに、便秘の定義は訴えが主観に基づくものが多いだけになかなか難しく、かつては排便回数や量の少なさのみが掲げられていた。

しかし、実際には仮に排便そのものは毎日あったとしても、コロコロ便であったり、残便感があるなど正常な排便状態とは言えないことも多い。

そこで2000年にアメリカの消化器学会では「下腹部膨満感」「排ガス量」「排便回数」「残便感」「排便時の肛門の痛み」「便の量」「便の状態」などを複合的にとらえたものに変更されたという。

意外に最近の話である。

なお、本人に自覚症状がない場合でも、腹部X線画像により便の滞留が認められた場合には便秘と診断される。



では、便秘になるとどのような問題が生じるのか、改めてみてみよう。

〇食欲不振・胸やけ・逆流性食道炎
これは単純に物理的な問題で、腸に便がたまった状態になると、腸内で発生したガスが胃を押し上げ、胸やけや食欲低下をきたすというもの。

ある調査では便秘患者の約1割に逆流性食道炎の症状が見られるという。

このような逆流性食道炎には胃酸過多の薬など処方されても改善はせず、まずは便秘が解消されなjければならないそうだ。


〇大腸がんのリスク
大腸がんでは一般的に動物性脂肪や乳製品の摂取、運動不足などでリスクが高まると言われている。

しかし、便秘症の患者でも発生率が高まることも指摘されている。

便には胆汁酸という消化液が含まれるが、この胆汁酸はガンを促進する因子とされており、便秘の人の場合、腸内にたまった便により腸内の胆汁酸の濃度が上がることからも便秘を放置しておくと大腸がんのリスクを高めることが説明できる。


〇停滞腸
腸は蠕動(ぜんどう)運動によって食べ物を消化したり、先へ内容物を送ったりするが、その運動が停滞して動きが悪くなった状態のことである。

この用語は松生恒夫先生による造語であるが、ある程度排便はあるのに腹が張るとか、残便感がある、ポッコリお腹になるなどの症状が現れる。

この原因は朝食を抜く食生活、栄養バランスを欠いたダイエット、食物繊維の不足、ストレス、運動不足などが挙げられている。


〇冷え・肩こり・肌荒れ・肥満
冷え・肩こりと便秘はどちらが卵で、どちらが鶏かというような関係だが、いずれ交感神経優位の生活の中で併発する症状である。

また、肌荒れは腸の中で行き場をなくしたガスの影響で起きるものであり、便秘で肌荒れとなったら、腸内がどのような状態になっているかを想像した方がいいかもしれない。

食物繊維をしっかり摂取することで快便となり、中性脂肪が減るという研究結果がある。

その結果ダイエット効果も生まれる。

つまり、便秘による代謝の悪さは肥満を作りやすく、健康状態も悪くしているということを我々は改めて認識しなければならない。



いかがだろう。

あなたの排便は順調だと胸を張って言えるだろうか。

本人が苦痛を感じていなければ治療の必要なしとする向きもあるが、便秘を放置していていいことなど一つもない。

ましてや薬に頼って排泄するようになれば、ますます悪化の一途をたどるばかりである。

ひどい場合は下剤依存からの脱却に一年がかりとなる場合もある。

肝心なのはやはりいかに便秘にならない生活習慣を身につけるか、ということだろう。


明日につづく…。

 

 

 

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