ヒートショックプロテイン(HSP) | こけ玉のブログ

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不惑の年などもうとうに過ぎたのに、いまだに自分の道も確立できていない。
そんな男の独り言。

世には様々な病気が存在する。


それらの病気の7割は交感神経の過剰な働きが根底にあり、それによってもたらされるという考え方がある。


その交感神経の過剰な働きは様々な種類のストレスで起こる。


つまり、ストレスが多くの病気の根源となっているということである。


ストレスの影響をもっと根源的なところに突き詰めていくと、個々の細胞の中のタンパク質の破壊というところにまで到達する。


細胞内のタンパク質の破壊が修復不可能なところまで来ると細胞そのものが破壊されてしまうのである。


その細胞破壊が広範囲に広がってくれば組織破壊となる。


わかりやすい例でいえばストレス性の胃潰瘍などはその典型だろう。



逆に細胞内のタンパク質が破壊されても修復されれば細胞は維持し続けるのである。


実はその修復活動を行うのが、今回のテーマのHSP(ヒートショックプロテイン)というタンパクである。


このHSPはどんなタンパクでも修復してくれるため、広範囲にわたって有効性を示し、様々な病気やストレス障害を軽減し治癒してくれるといわれている。



このHSPの発見は偶然の産物であった。


愛知大学の伊藤要子医学博士が血液凝固の研究をしていた時のことである。


実験の被験体にウサギが使用されていたが、ある時そのうちの一羽が使用できない状態だったため、前週の加温実験に使った一羽を使用することになった。


通常ウサギは加温温度を徐々に上げていくと、DICという小さな血管に血液の塊ができる状態に陥るそうだ。


これは重篤な病気の末期に現れる症状でもあり、この状態を実験的に作り出すことによって様々な病気の研究がおこなわれるのであるが、中の一羽だけがこのDICを発症しなかったのである。


それが前週に加温実験を行ったウサギだったのだ。


つまりあらかじめ加温したウサギは次に高温で加温してもDICにならなかったというのである。



これをきっかけにHSPの研究が始まった。


その後の研究によって、HSPは加温をすると2日後をピークに1~4日増え、7日後には元に戻ることが動物実験によって確認された。


人に対する実験でも個人差はあるものの、だいたい2日後をピークにHSPが増えることが確認されたという。


なので、ストレスを受けそうな事柄があらかじめ分かっていればそれに合わせて加温していけば、体に対する影響を最小限に抑えることができるというわけだ。



マウスを使った動物実験ではストレス潰瘍、ショック、腎不全、放射線障害、エコノミークラス症候群、口内のやけど、筋疲労などに対して耐性が上がることが確認された。


中でも圧巻なのが、ボツリヌス菌のような生物兵器として使用されるようなものに対しても、加温しなかったグループは生存率0%だったものが、加温したグループでは28%の生存率を示したという。


加温の効果は単に


①HSPを増やし、細胞修復機能を高める

だけではなく、


②免疫力をあげる


③血流改善(薬剤を取り込みやすくなり、薬効をいかんなく発揮させられる)


④乳酸の産生を遅らせる(運動能力を高める)


⑤体温上昇(代謝活性化)


⑥発汗(老廃物排出)


⑦エンドルフィン誘導(疼痛緩和)


⑧老化予防


など、多くの効能があり、まさに至れり尽くせりである。



では具体的にどのような加温の仕方が有効なのだろうか。


よく、半身浴などではぬるめのお湯に長時間(最低でも20分以上)の入浴が推奨される。


これは副交感神経を働かせる入浴法であり、当院でもしばしば患者さんにお勧めしている。



しかし、HSPを増やすための入浴法は少し、というか結構な刺激を要するようだ。


①あらかじめ湯温計と体温計を準備し、お湯の温度と舌下で体温を測りながら入る。


②一週間のうち、2回は行うと効果的である(他の日は自分に合った温度でゆったりと入って大丈夫)。


③最初は40~41℃で、10分を目安に入る。


④連続10分入っていることが困難な人は、出たり入ったりを繰り返し、トータル10分を目指す。


⑤冬場は首が出るところ以外はふたをするなど、お湯の温度を下げないように工夫する。


⑥何回かの入浴の後、慣れてきたら徐々に42℃ぐらいまでお湯の温度を上げていく。


⑦体温は37~38℃までの上昇を目安にする。


⑧しかし、体調には気を付け、あまり無理な入浴にならぬようにする。


⑨お湯を43℃ぐらいまでしないと体温が38度までならない人もいる。


⑩お湯から出た後はタオルなどで全身をくるみ、10~15分ほど保温する。


⑪夏場もお湯から出た後にすぐにクーラーや扇風機などに当たらず同様に保温する。その後ならばクーラーに当たるとか、ビールを飲むのもOK。


⑫平熱が極端に低い人は最初の2週間は毎日行い、平熱が36℃台まで上がってきたら週に2回のペースにする。


⑬入浴の前か後に十分な水分補給は必ず行うこと。


⑭スポーツの2日前が効果的。月曜日がいつも重だるくなる人は土曜に行うと良い。


⑮高齢者、虚弱体質の方、疾患をお持ちの方などは水位をみぞおち程度までとし、心臓に対して水圧をあまり長時間かけないようにする。
 (その場合、肩口を冷やさぬようタオルをかけるとか、ふたをして首だけを出すなど寒くならない工夫をすること)


⑯入浴後の保温は汗をかくので、そのまま寝ずに汗の処理をしっかりと行うことも必要。


⑰加温の手段として手浴や足浴なども推奨されており、手軽さ重視の方はそちらを行ってみると良い。


この時期の入浴法としてはかなり過酷な方法である。


まあ、真夏の時期は避けたほうが無難かもしれない(笑)。


加温療法では疾患だけでなく、スポーツの成績向上や、手術後の経過や蓐瘡改善にもその効果が確認されている。


加温方法には2~3週間かけて遠赤外線装置などを使ってマイルドにゆっくり加温していく方法などもあるようで、興味のある方はぜひ調べてみてほしい。



加温によってHSPが増えて細胞の耐性が高まるわけだが、この効果は動物だけに限ったことではないようだ。


どんな細胞もHSPを持っており、細菌も中途半端に加熱するとかえってその強度を高めることになるらしい。


食中毒を引き起こすO-157も53℃以上の加熱でほとんど死滅するが、47℃で30~60分の加熱ではHSPが1.5~1.8倍になるとのこと。


それ以上でもそれ以下の温度でもほとんど増えないというので、O-157にとって47℃が強化にもっとも適した温度ということである。


47℃で一度加熱すると、53℃で再度加熱しなおしてもほとんど死滅しないということなので、食べ物の温めなおし際には十分ご注意いただきたい。



日本人の長寿には食べ物のほかにも、温泉に入る文化というものが深くかかわっていたのかもしれないと伊藤博士も述べておられた。


様々な病を抱えた患者さんには、実に「カラスの行水タイプ」の方が多いように思う。


入浴法を見直してみてはいかがだろうか。


健康づくりはまず自分の身体としっかりと向き合うことから始まるのですぞ。











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