7月5日13時半から、南相馬市労働福祉会館にて、日本獣医師会主催の情報交換会が開催されました。
日本獣医師会長をはじめとした日本獣医師会、福島県獣医師会と応用動物行動学会警戒区域内家畜保護管理特命チームが話をしました。
参加した農家は8軒(南相馬のわたなべ牧場、浪江の村田社長と吉沢さん、山本さん、渡部さん、大場さん、大熊町の池田さん、双葉町のIさん、富岡町の坂本さん)、ボランティア団体4軒(希望の牧場、アニマル・フォレスト、やまゆりファーム、被災家畜を守る会、家畜おたすけ隊)、企業1社(創生ワールド)、行政職員数名、でした。
内容を要約すると、
1)餌の確保方法
2)20キロ圏内の家畜を「もう一度家畜として出荷するための実験」をする応用動物行動学会警戒区域内家畜保護管理特命チームの下にまとまりましょう、という話でした。
日本獣医師会が事務と組織構成・人選の一切を担う、と。
異議があるかどうかが問われました。
私たちは、警戒区域内の農家のみなさんの苦しみを、この一年、ずっとみてきました。
であるからこそ、実験の結果により期待できる効果(再出荷)も不明で、実験方法や解体頭数、時期といった具体的内容が「全くわからない」段階では、私たちはその計画への参加はできないと考えています。
命の楽園を創ってきた農家たちも、事前アンケートに「非破壊的な研究でないとだめ」と書き、土地の保全で生かしたいと発言しました。実際に周囲の農地を保全しながら、大きな効果を上げています。
警戒区域の家畜を守る会の副代表である富岡の坂本さんも、バイオ燃料(食にならない作物を作ることで、食の安全を脅かさずに、地域に貢献する)を将来生産するために農地を牛に保全させたいというご自分の計画を伝えました。途中で帰った大場さんを始め農家達も土地保全を望んでいます。池田さんのところは既にコツコツと放牧場を広げ、農地保全を実践しています。
会合にあたっては、私たち家畜おたすけ隊以外に、渡部典一さん、原田良一さん、坂本勝利さんという、少なくとも3名の農家が土地保全で役牛(日本は食べるより、牛を馬のように働かせていた)として生かしたい旨を表明してきました。
その意見を汲んで、チームリーダーの佐藤教授が、「1.再出荷」「2.土地保全」「3.被爆研究など、他」の3グループに分類する必要があると仰って下さいました。
最初は「1.再出荷」が、主催者と特命チームの(唯一の)目的として語られていたところに、第2、第3の「終生飼う道」が、浮上しました。
私たちは今回の会に、獣医師会会長の秘書の方に確認する前夜まで呼ばれていませんでした(内容もわからなかった)ので、お知らせできなかった他の農家達がまだまだいます。(※)
彼らも土地の保全で生かしたいと言っています。
若しくはペットとして終生飼いたいと思って動いてきている農家達もいます。
彼らは、解体を望まない人達です。
そして私たちは、苦痛を与えることを望まない団体で、それに賛同する全国の人達からの支援で活動してまいりました。
家畜おたすけ隊は、農家さん達と共に、被災した町民の方々のためになる「土地(故郷)の保全」で牛たちを生かします。
火災等の発生を町民はとても恐れています。
これ以上、失う痛みを、皆に、味あわせたくない。
家畜おたすけ隊
文責:谷
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以下は会場でも述べた疑問点です。
20キロ圏外の福島の農家達が自殺者まで出るほど苦しい環境の中で血と汗を流してキレイな餌と水を与え続け、完璧に安全性をアピールしても、すごく悔しいことに、「福島」と名前が付くだけで価値が暴落して売れない家畜が多い。
これは忘れてはならない事実だと思います。
その一方で、
果たして20キロ圏内の家畜が、、、
どれほど除染できたとしても、安全性をアピールしたとしても、
売れるようになるかどうか
これは…わかりません。
殺して、解体して、…食べてもらえるか
…わかりません。
それ以前に、全国の消費者たちが、どのようにこの動きに反応するか…わかりません。
牛を大事に飼う福島の畜産農家さんたちに私は頑張ってほしいと思います。
大切に飼ってきた農家さん達が、再び生きる意欲に満ち溢れ、牛と触れ合い、矜持を取り戻す…
そんな未来を開き、築けるものなら、どんなにいいか。
それは解体に「よらない道で」達成できると考えています。
当日会場にいらしていた、地位のある福島の方の意見では、被災家畜の受精卵を沖縄と北海道等の『安全圏』に持っていって子供を産ませて、福島県内の警戒区域外に帰し、希望のブランドとして売り出す…(汚染物質が100億分の1に希薄されるので食の安全が守られます。東京農大の先生に松本議員と一緒にお会いした際教えていただいた血統を守り世間へPRする終生生かすためのアイディアです。いいな、と思ったのでご提案しました。)
これさえも、「福島」と付いているだけで売れないのだそうです。
福島の人達、どこまで苦しめばいいのでしょうか。
消費者のアレルギー反応を呼び起こし、同業者を廃業に追い込む危険もあるとのこと。
…実際はどうなのかわかりません。
しかし色々なことが懸念される現状において、再出荷の道を目指すことは、被災地のみなさんの生活再建につなげることができることなのかどうか…
出荷できない牛を生かす道は、険しく厳しいものです。
しかし私たちは、あえて「解体によらない方法で」生かす道を目指したいと思います。
渡部典一さんが当初からずっと主張してきた「役牛」としての生かし方です。
圏内の畜産農家のみなさんは、今まで牛をとてもとても大切に育てていらっしゃいました。「家族と同じ」と考える農家さんが本当に多いのです。
残された牛を「町を守る」存在として生かすことが、彼らの、そして私たちの明日を生きる力につながる道と信じています。
私たちはその道を開こうとしています。
みなさま、
どうぞ応援して下さい。
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