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さるうさぎのブログ

原発・放射能はもとより、環境に悪いものから子供たちを守るには・・・?!

こういうニュースを見るにつけ、この前でた文科省の神奈川の放射線マップ、おかしいなあと思ってしまいます。伊豆付近で数値が高くないのが。

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/111007/cpb1110072138003-n1.htm

【放射能漏れ】乾燥シイタケ、基準値超えるセシウム 静岡・伊豆産

 
 

2011.10.7 21:38



静岡県は7日、同県伊豆市で生産、加工された乾燥シイタケを県外の販売業者が自主検査したところ、国の暫定基準値(1 キログラム当たり500ベクレル)を上回る1033ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。生産者は県内2カ所、県外3カ所の販売先と連絡を取 り、回収を始めた。

 県はこの生産者から同じ乾燥シイタケを入手、8日に検査機関で調べ、結果を公表する予定。基準値を超えた場合、出荷自粛などを要請する。周辺市町で生産、加工された乾燥シイタケについても検査する考え。

 県によると、シイタケは3月~4月中旬にかけて収穫、乾燥された。県が出荷先や販売量などを調べている。県内の2010年の乾燥シイタケ生産量は108トンで、全国7位という。


原子力に関する「倫理委員会」の設置、日本でもぜひやるべきです。
技術の進歩が道徳や倫理に触れないかどうかを問うために。

ドイツをここまで動かしたのは、チェルノブイリにならいざしらず、日本ほどの先進国が、レベル7の原発事故を起こしたからですって。日本の技術を信じていたからこそですね。
技術で制御不可能な事故を、さらに技術者にさらにやらせるのではなく、社会学的に捕らえること。新しい発想です。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110824/222245/

社会学者や哲学者が原子力に終止符を打った


メルケル政権は、「2022年末までに原子力発電所を全廃する」と決断するにあたって、次の2つの委員会に意見を求めた。

・原子炉安全委員会(RSK)

 

・安全なエネルギー供給に関する倫理委員会

 

 前回の当コラム で は、RSKが 鑑定書の中に「ドイツの原発には安全性に問題があるので、直ちに止めるべきだ」とは一行も書かなかったことをお伝えした。むしろRSKは 「ドイツの原発は、航空機の墜落を除けば、比較的高い耐久性を持っている」と主張し、「福島の事故で得られた知見に照らすと、ドイツの原発では停電と洪水 について、福島第一原発よりも高い安全措置が講じられている」と評価したのである。

 

 日本の読者の皆さんの中には、「原子力のプロである技術者が原発の停止を勧告していないのに、なぜドイツ政府は脱原発に踏み切ったのだろう」と不思議に思われる方が多いかもしれない。

 

 ドイツでも、RSKが、原発の危険性を指摘することを予想していた人は、この鑑定書を読んで失望した。緑の党や環境団体は、RSKの鑑定書の内容を「甘 すぎる」と批判した。原子力に批判的なレットゲン環境大臣(キリスト教民主同盟・CDU)も、記者会見で「あわてて原発を止める必要がないことがわかった が、航空機の墜落についての耐久性は十分ではないので、政府の脱原子力の方針には 変わりはない」と歯切れの悪い発言をしていた。

 

 

メルケル首相は倫理委員会を重視

 

 RSKが、航空機の墜落を除けば、原発の安全性について太鼓判を押したにもかかわらず、メルケル首相は脱原子力に踏み切った。彼女はもう一つの諮問委員会である、「安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」の提言書の方を重視したのである。

 

 日本では原子炉のストレステストは予定されているが、倫理委員会の設置は予定されていない。「なぜ原子力エネルギーをめぐる議論に“倫理”がからんでく るのか」と不思議に思われる方もいるだろう。そこで今回と次回の当コラムでは、この倫理委員会の提言書について詳しくお伝えしたい。

 

 ドイツで以前から原子炉の安全問題を担当していたRSKとは異なり、倫理委員会は福島事故後にメルケル首相によって急遽招集された。

 

 倫理委員会の委員長は、2人。その内の1人、クラウス・テップファー元連邦環境大臣はCDUの党員で、国連環境計画UNEPの事務局長を務めたこともあ る、ドイツで環境問題に最も精通した政治家の1人だ。彼は提言書の作成に取りかかる前に「“原発を廃止する”と宣言するだけでは十分ではない。我々は、原 発の廃止が電力供給のリスクをどの程度高めるのか、先進国ドイツの経済的な安定性を確保できるのかについても、分析しなくてはならない」と語っていたが、 シュレーダー政権が2002年に導入した最初の脱原子力政策については前向きに評価していた。もう1人の委員長は、ドイツ研究者連盟のマティアス・クライ ナー会長。ドルトムント技術大学の教授で、金属工学が専門である。その他の委員15名は、次の通り。

 
ウルリヒ・ベック 元ミュンヘン大学の社会学教授、リスク社会学が専門
クラウス・フォン・ドナニュイ
(SPD)
元連邦教育大臣
ウルリヒ・フィッシャー バーデン地方・プロテスタント教会監督(司教に相当)
アロイス・グリュック(CSU) ドイツカトリック中央委員会の委員長
イェルグ・ハッカー ドイツ自然科学アカデミー会長
ユルゲン・ハンブレヒト 化学メーカーBASF社長
フォルカー・ハウフ(SPD) 元連邦科学技術大臣
ヴァルター・ヒルヒェ(FDP) ドイツ・ユネスコ委員会の委員長
ラインハルト・ヒュットル ドイツ地学研究センター所長・技術科学アカデミー会長
ヴァイマ・リュッベ 哲学者、ドイツ倫理審議会・会員
ラインハルト・マルクス ミュンヘン・フライジング教会の大司教
ルチア・ライシュ 経済学者、コペンハーゲン・ビジネス・スクール教授、持続可能な成長に関する審議会の委員
オルトヴィン・レン 社会学者、リスク研究家、バーデン・ヴュルテンベルク州の持続可能性に関する審議会の会長
ミランダ・シュレーズ 米国の政治学者、ベルリン大学の環境政策研究センター所長
ミヒャエル・ヴァシリアディス
(SPD)
鉱業、化学、エネルギー業界の産業別労働組合の議長

原子力と無縁の知識人に諮問

 

 興味深いことに、電力業界や原子力産業の代表者は、1人も正式な委員として招かれていない。大手電力会社の社長や電力関係の業界団体の幹部は、倫理委員 会が開いた公聴会で意見を述べることを許されたものの、政府への提言書を作成したメンバーには加わっていない。電力を大量に消費する企業の代表も、化学 メーカーの社長が1人加わっているだけだ。

 

 むしろ社会学者や哲学者、宗教関係者など、原子力とは無縁の知識人が大半だ。しかも原子力に批判的な人々が目立つ。たとえば「リスク学」の権威として日 本でも有名なウルリヒ・ベック教授は、原子力に批判的な内容の著作を発表していたことで知られる。また、ドイツの教会関係者が3人参加しているが、彼らは 原子力について「神が創造した物の保護」の精神に反するとして、以前から否定的な見解を持っていた。環境団体の代表や反原発運動家はメンバーになっていな いものの、委員会の人選を見ると、メルケル首相が電力業界に対して不信感を抱き、初めから原子力廃止への決意を固めていたことが感じられる。

 

 ちなみにドイツ政府は過去にも何度か倫理委員会を設置して、意見を求めている。たとえば臓器移植や動物実験、遺伝子テスト、受精卵の着床前診断 (PID)など、科学技術が道徳や倫理に抵触する可能性がある場合には、学識経験者を集めた倫理委員会が提言を求められる。ドイツでは、「科学と倫理」の バランスを常にチェックし、技術の進歩が道徳や倫理に触れないかどうかを問うことが、極めて重要な課題となっているのだ。戦後ドイツがこうした態度を取る 背景には、ナチス時代のドイツで、医学や科学が独裁国家の僕(しもべ)となり、人間性をふみにじる行為に使われていたことに対する反省もある。

 

 ただし倫理委員会は、通常医学に関するテーマを扱う諮問機関であり、エネルギー問題を俎上に上げるのは珍しい。テップファー委員長も、「政府部内には、 原子力の将来を倫理委員会のテーマとするのは、不適切ではないかという批判もあった」と語る。しかし結局原子炉事故は多くの国民の健康に影響を与える可能 性があるので、倫理委員会のテーマになり得るという意見が重視され、委員会の活動にゴーサインが出た。

 

 4月4日に作業を始めた倫理委員会は、約2カ月後の5月30日に「ドイツのエネルギー革命・未来のための共同作業」という提言書を政府に提出した。私は 48ページの報告書を通読してみたが、RSKの鑑定書とは対照的に、「原子力は過去に属するエネルギーであり、廃止こそが最良の道」という主張に貫かれて いると感じた。

 

 倫理委員会は、2021年までに原子力を全廃するよう政府に提案。さらに福島事故後に止められた7基の原子炉を含む、停止中の8基の原子炉は再稼動させず、廃炉にするべきだと主張した。

 

 また委員会は、原子力の停止と 他のエネルギー源による代替が予定通り進んでいるかどうか、電力の価格や供給に悪影響が及んでいないかどうかを監視する ための「モニタリング」を重視。連邦議会に「エネルギー革命担当議員」を新しく任命し、脱原子力のプロセスを監視させるよう求めた。

 

 さらに、ネット上に「エネルギー革命・国民フォーラム」を設置して、この問題に関心のある市民は誰でも議論に参加できるようにする。また倫理委員会は、 「原子力を廃止しても、2050年までにCO2排出量を1990年比で80%削減するという、政府が2010年秋に打ち出した目標は変えるべきではないと 主張した。


提言書は原子炉安全委員会(RSK)の「ドイツの原子炉は、技術的には福島第一原発よりも耐久性が高い」という内容の鑑定書には一切言及しておらず、RSKとは独立して分析作業を行なっていたことがわかる。

 結果的にメルケル政権は、倫理委員会の提言内容をほぼ全面的に受け入れて、提言書が発表されてからわずか1週間後の6月6日には、原子力の全廃を閣議決 定した。わずかな違いは、最後の原子炉のスイッチを切る日を、倫理委員会が推薦した日付よりも1年遅い2022年12月31日にしたことくらいである。

 

 

原子力リスクを社会全体で判断

 

 委員たちは、どのような根拠に基づいて脱原発を提言したのだろうか。彼らによると、福島事故が引き金となって、「政府は原子力を安全に使用するという責 任を全うできるか」という命題が、ドイツで活発に議論されるようになった。「レベル7に達するほどの原子炉の過酷事故は、旧ソ連と違って技術の進んだ国で は起こりえない」という神話が崩壊したからだ。

 

 委員たちが特に強調するのは、原子力リスクを技術面だけではなく、社会全体として判断することの重要性だ。

 

 彼らは、「福島事故は、原発の安全性をめぐる、専門家の判断に対する国民の信頼を揺るがした。このため市民は、“制御不可能な大事故の可能性とどう取り 組むか”という問題への解答を、もはや専門家に任せることは出来ない」と断言する。この一文には、福島事故以降ドイツで一段と強まった、「技術者に対する 不信感」がにじみ出ている。

 

 メルケル首相を始めとして、原発推進派のドイツ人たちは、「どんなに安全措置を講じても完全に消し去ることのできない残余のリスクは小さいので、受け入 れることができる」という、原子力の専門家の判断を鵜呑みにしていた。しかし福島事故は、その推定が誤っていたことをドイツ人に悟らせたというのだ。

 

 この結果、委員たちは福島事故のためにドイツでの議論のポイントが「原子力発電を使用するべきか否か」ではなく、「原子力発電をいつ廃止するか」に移っ たと述べる。彼らは「キリスト教の伝統とヨーロッパ文化の特性に基づき、我々は自然環境を自分の目的のために破壊せずに、将来の世代のために保護するとい う特別な義務と責任を持っている」と説明する。この一文には、福島事故のニュースに接して、ドイツの技術者、科学者たちが味わった苦悩が浮かび上がってい る。

 

 実際、提言書の作成者の1人であるマティアス・クライナー教授は、「ライニッシェ・ポスト」紙とのインタビューの中で、「工学技術の研究者として、福島 事故については深く考え込まざるを得なかった。この事故は、私の心の中に原子力エネルギーへの疑念を植えつけた。人類がリスクを計測できず、制御できない テクノロジーは将来に対する負の遺産であり、子供たちにそのようなものを引き継いではならない」と述べている。

 

 原子力発電所が抱えていたリスク自体は、福島事故によって客観的に変わったわけではない。しかしドイツでは原子力のリスクに対する、人々の受け止め方、 つまり主観的な見方が変わった。このことは、技術的には何の意味も持たないが、社会学的な側面からは重要な意味を持つ。「大規模な原子力事故は仮説ではな く、実際に起こり得る」ということを意識する人が、以前よりも増えたことを示すからである。



原子炉事故が日本で起きた事を重視

 

 委員たちは提言書の中で、「今回の事故がハイテク大国・日本で起きたことを特に重視している」と記す。彼らはこの事実のために、「大規模な原子力事故は ドイツでは起こり得ない」という確信を持てなくなったと告白する。ドイツ人にとって、高い技術を持った日本は、原発の安全性を判断する上で、重要なベンチ マークの一つだったのだ。

 

 倫理委員会のメンバーの一人によると、「ドイツが日本を物差しにしていたのは、日本社会にはドイツ社会に似ているところがあるからだ」という。確かに、 製品の細部にこだわる完全主義、物づくりを大事にする精神、天然資源の少なさを、技術革新でカバーしようとする姿勢、勤労を重視する国民性などには、日本 とドイツには似た側面もある。

 

 だが彼らは福島事故後の日本政府の対応に、失望したようだ。彼らは提言書の中で「福島事故の発生から何週間も経った時点でも、収束のめどが立っておら ず、被害の全貌をつかむことができていない」と指摘する。実際日本では、事故から数カ月経って、放射性物質による食品汚染の広がりについての事実が、次々 に明るみに出てきた。政府は「健康に影響はない」と説明しているが、女性の母乳から 微量の放射性セシウムが見つかったり、子供の甲状腺に微量の内部被曝 が確認されたりしている。提言書は、「原発で大事故が起きても、被害を限定できるという考え方は、福島事故によって説得力を失った」と厳しい評価を下す。

 

 メルケル首相が連邦議会での演説で、「自分は原子力リスクを甘く見ていた」と告白したように、委員たちは人間が行う想定に限界があることを強調する。 「福島事故の原因となった自然災害の規模は、この発電所が設計された時に想定されていなかった。この事実は、技術的なリスク評価に限界があることを、はっ きり示した。現実の被害は、地震や津波についての想定を超え得ることもわかった」。その上で彼らは「リスクの分析を、純粋に技術的な側面だけに限ること は、誤りだ」と断言する。

 

 彼らは、技術者の想定能力に限界があるのだから、原子力発電所のリスク評価を行う際には、技術的な側面だけでなく、社会的な側面にも注目するべきだと訴 える。原子力問題については技術偏重から脱し、社会的に広い見地から分析せよというのだ。これが、メルケル首相が社会学者や哲学者たちに、原子力とエネル ギーの未来について議論させた理由でもある。

 

 戦後の高度経済成長期には、日本と同じく西ドイツでも、原子力に未来のエネルギー源として大きな期待が寄せられた。1950年代から1960年代には、 原子力を繁栄の象徴と見なす人々も少なくなかった。当時には、ドイツでも100基を超える原子炉が必要になると考える人々がいた。

 

 だが委員たちは、提言書の中でドイツでは原子力利用の時代が終わったという姿勢を打ち出している。彼らは「原子力の平和利用が始まった時、ドイツ人は、 “この技術が進歩と繁栄をもたらし、限られたリスクで無限のエネルギーを約束する”と考えた。しかしその約束は当時の知識水準に基づく桃源郷であり、少な くとも今日のドイツには通用しない」と述べ、1950年代のドイツ社会が描いていたバラ色の未来像を否定する。

 

 次回は、委員たちが原子力のリスク評価をめぐって、どのように議論したかについてお伝えしよう。


ドイツのお話です。
ドイツ首相のメルケルさんは、原発擁護派だったんですね。
福島をみて、ショックを受け、自分の意見を変えた。
これは政治家に必要な柔軟思考だと思います。
しかも「今までの私の考えは誤りだった」と、国民の前ではっきりと認めた。
日本にもこんな政治家、欲しいです。

ストレステストの結果は「安全性に問題あり」ではなかった


ドイツは、福島第一原子力発電所の炉心溶融事故からわずか4カ月で、2022年末までに原子力発電所を完全に廃止することを盛り込んだ法案を連邦議 会と参議院で通過させた。主要工業国の中で、日本の原発事故をきっかけに原発廃止の締切日を確定したのは、ドイツだけである。この国は、どのようなリスク 判断に基づいて原子炉全廃に踏み切ったのか。

 

メルケル首相の「敗北宣言」

 

 その背景を理解する上でカギとなるのが、アンゲラ・メルケル首相が2011年6月9日に連邦議会で行った演説である。メルケル首相は元々物理学者であり、原子力擁護派だった。

 

 例えばドイツの原子力関連産業の団体「ドイツ原子力フォーラム」が2009年に創立50周年を祝う式典を開いた際、メルケル首相は主賓として出席。祝辞 の中で「ドイツの未来を保証するためには、原子力エネルギーは必要だ」と述べ、原子力発電を重視する姿勢をはっきり打ち出していた。実際、2010年には 産業界や電力業界の意向を尊重して、原子炉の稼動年数を平均12年間延長している。しかし彼女は福島事故をきっかけに、原子力批判派に「転向」した。

 

 メルケル氏の6月9日の演説には、彼女の福島事故や原子力のリスクに対する見方と、物理学者らしい分析的な思考スタイルがにじみ出ている。少し長くなるが、ドイツ人の今回の事故に対する考え方を象徴する文章でもあるので、一部を引用したい。

 

「……(前略)福島事故は、全世界にとって強烈な一撃でした。この事故は私個人にとっても、強い衝撃を与えました。大災害に襲われた福島第一原発で、人々 が事態がさらに悪化するのを防ぐために、海水を注入して原子炉を冷却しようとしていると聞いて、私は“日本ほど技術水準が高い国も、原子力のリスクを安全 に制御することはできない”ということを理解しました。

 

 新しい知見を得たら、必要な対応を行なうために新しい評価を行なわなくてはなりません。私は、次のような新しいリスク評価を行ないました。原子力の残余 のリスク(Restrisiko 下記注参照)は、人間に推定できる限り絶対に起こらないと確信を持てる場合のみ、受け入れることができます。

 

 しかしその残余リスクが実際に原子炉事故につながった場合、被害は空間的・時間的に甚大かつ広範囲に及び、他の全てのエネルギー源のリスクを大幅に上回 ります。私は福島事故の前には、原子力の残余のリスクを受け入れていました。高い安全水準を持ったハイテク国家では、残余のリスクが現実の事故につながる ことはないと確信していたからです。しかし、今やその事故が現実に起こってしまいました。

 

 確かに、日本で起きたような大地震や巨大津波は、ドイツでは絶対に起こらないでしょう。しかしそのことは、問題の核心ではありません。福島事故が我々に 突きつけている最も重要な問題は、リスクの想定と、事故の確率分析をどの程度信頼できるのかという点です。なぜならば、これらの分析は、我々政治家がドイ ツにとってどのエネルギー源が安全で、価格が高すぎず、環境に対する悪影響が少ないかを判断するための基礎となるからです。

 

 私があえて強調したいことがあります。私は去年秋に発表した長期エネルギー戦略の中で、原子炉の稼動年数を延長させました。しかし私は今日、この連邦議会の議場ではっきりと申し上げます。福島事故は原子力についての私の態度を変えたのです。(後略)」

 

(筆者注)残余のリスクとは、一定の被害想定に基づいて、様々な安全措置、防護措置を講じても完全になくすことができないリスク。例えば想定された震度を上回る地震が起きて、想定されていない被害が発生するリスクが残余のリスクである。
 日本の原子力安全委員会は、2006年9月19日に決定した「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」の中で、地震に関する「残余のリスク」を次の ように定義している。「策定された地震動を上回る地震動の影響が施設に及ぶことにより、施設に重大な損傷事象が発生すること、施設から大量の放射性物質が 放散される事象が発生すること、あるいはそれらの結果として周辺公衆に対して放射線被曝による災害を及ぼすことのリスク」



 この演説は、物理学者・政治家メルケルにとって一種の「敗北宣言」でもある。彼女は「以前の自分の考えは誤っていた」と、居並ぶ国会議員、そして国民の 前ではっきり認めたのだ。日本以上に論理的な整合性が重視されるドイツ社会では、意見を大きく変えることは、好ましい評価を受けない。それまでの考えが浅 かったことを、暴露することになるからだ。したがって、ドイツの首相がこれほど率直に「自分の考えが誤っていた」と公言するのは、珍しい。通常は、様々な 理由を挙げて、なぜ自分が別の考えを持っていたのかを正当化しようとするものだ。だが彼女は一時科学者を志した人間らしく、多言を弄して弁解はせず、己れ の知覚能力、想定能力の限界を正直に告白したのである。

 

 メルケル氏が党首として率いるキリスト教民主同盟・CDUではこれまでも“メルケル首相の考え方や行動の仕方は、政治家というよりも自然科学者に近い”という批判があった。原子力をめぐるメルケル氏の豹変についても、同じ指摘がなされている。

 

 こうしたリスク判断に基づき、彼女は福島事故の4日後に、運転開始から31年以上経っていた原子炉7基を即時停止させた。物理学者メルケルは、福島事故 によって原子力リスクそのものが変わったわけではなく、原子力リスクについての人間の見方が変わったことを理解していた。

 

 

技術者だけでなく原発の素人にも諮問

 

 そのことを浮き彫りにしているのが、メルケル氏が政府として原発全廃の方針を確定、法制化する上で技術者だけではなく、原子力技術についてのずぶの素人 たちからも意見を聞いたことである。ドイツ人のリスク分析の過程を今回と次回に分けて、細かく見てみよう。メルケル首相が福島事故後に原子炉の安全性と将 来のエネルギー政策について助言を求めたのは、次の2つの委員会である。

 

・原子炉安全委員会(RSK)
・安全なエネルギー供給に関する倫理委員会

 

 まず、原子炉安全委員会から始めよう。この委員会は、福島事故以降日本でも有名になった、いわゆるストレステスト(耐性検査)を実施した。16人の委員からなるRSKは、原子力の専門家からなる技術者集団で、福島事故の以前から存在した。

 

 委員長は、北ドイツ技術監視委員会(TUEV・NORD)のロルフ・ヴィーラント氏と物理学者のリヒャルト・ロター・ドンデラー氏。TUEV(テュフ) は国から独立した安全検査機関で、エレベーターから原子炉まであらゆる機械、技術システムについて定期点検を行なう。特に車検を行なうので国民には馴染み 深い組織であり、「テュフ」の名前を知らないドイツ人は皆無と言っても過言ではない。

 

 2011年3月17日に連邦環境省がRSKに対して国内の17基の原子炉についてストレステストの実施を要請。RSKは福島事故を考慮に入れて、様々な 外部事象に対する原子炉の耐久性について質問リストを作成し、電力会社に情報提出を要請した。調査には、各州の原子炉規制当局や原子炉安全協会(原子炉の 安全や放射性廃棄物の処理を担当する民間企業)も加わっている。ドイツで原子炉のストレステストが行なわれるのは、初めてである。


 ストレステストの対象となったのは、次の事象。

 
  1. 地震
  2. 洪水
  3. その他の自然現象(気候変動など)
  4. 停電(ステーション・ブラックアウト=SBO):2時間を超える場合と72時間を超える場合に分けて分析
  5. 冷却システムの停止
  6. 航空機の墜落(物理的な衝撃に対する耐久性と、航空機燃料による火災への耐久性)
  7. ガスの放出(可燃性ガス、有毒ガス)
  8. ガス爆発
  9. テロ攻撃による重要なシステムの破壊
  10. サイバー攻撃
 

 このうち、最も詳細に分析されているのは洪水、停電、冷却システムの停止、航空機の墜落である。テロ攻撃やサイバー攻撃については、保安上の理由から具 体的な内容は公開されていない。RSKは、原子炉が様々な現象にどの程度耐久性があるかを、数値化しようと試みており、耐久性と防護措置の抗堪性を3段階 もしくは4段階に区分している。

 

 たとえば上記の10の事象の中で、欧州で最も発生する可能性が高いと見られる洪水については、次の4つの判定基準が設けられた。数字が高くなるほど、耐久性が高いことを意味する。

 
基礎レベル 1万年に一度の周期で起こる洪水(ベンチマーク洪水)に耐えられることが証明されている
レベル1 河川に面した原子炉の場合、ベンチマーク洪水の1・5倍の高さの洪水に耐えられる。それ以外の原子炉では、ベンチマーク洪水よりも1メートル高い洪水に耐えられる
レベル2 河川に面した原子炉の場合、ベンチマーク洪水の2倍の高さの洪水に耐えられる。それ以外の原子炉では、ベンチマーク洪水よりも2メートル高い洪水に耐えられる
レベル3 地形などの理由から、洪水によって重要な機能が停止する可能性はゼロ
 

 RSKは、鑑定書の中でそれぞれの原子炉について、耐久性がどのレベルであるかを評価している。

 

 

「ドイツの原発は危険」という指摘は一行もない

 

 5月14日に政府に提出された鑑定書には「日本の福島第一原発の事故を考慮に入れた、ドイツの原子力発電所の安全検査に関する見解」という題名が付けられている。

 

 驚かされたのは、政府がストレステストのためにRSKに与えた調査期間が、わずか2カ月と極めて短かったことである。このため、現地調査は行なわれず書 類審査だけである。私は116ページにおよぶドイツ語の鑑定書を読んだが、所々に「与えられた時間が限られていたために、委員会は評価基準を科学的な分析 によって生み出したのではなく、大部分を仮定によって作成した」とか「委員会に提出された書類は、統一性を欠き様々な形式のものだったので、耐久性や安全 保護の判定について、現在の時点では完全に裏づけされたものではない」という一種の「弁解」が書かれているのに気づいた。「追加的に書類の提出を受けて、 検討することが必要」という記述もあった。この事実は、鑑定書がいかに大急ぎで作られたかを示している。

 

 興味深いことに、RSKはこの鑑定書の中で、「ドイツの原子炉を安全上の理由から直ちに停止しなくてはならない」とは一行も書いていない。むしろ「ドイ ツの原発は、航空機の墜落を除けば、比較的高い耐久性を持っている」と主張している。RSKは、15ページの要約の中で、「福島の事故で得られた知見に照 らすと、ドイツの原子力発電所では停電と洪水について、福島第一原発よりも高い安全措置が講じられている。全ての原子炉の外部からの事象に対する耐久性を 調べた結果、建造年や運転開始年、原子炉のタイプによって、全ての原子炉に共通している特徴はなかった。追加的な補強が行なわれた原子力発電所では、耐久 性が強化されている」と述べている。

 

 個々の事象については、次のように分析されている。

地震 全ての原子炉に十分な耐久性がある
津波 福島第一原発を襲ったような津波は、ドイツではほとんどあり得ない
洪水 ビブリスA・B号機など3つの原子炉は、高度(レベル3)の耐久性を持つ。イザー2号機など2基は中度の耐久性。ウンターベーザーは低度の耐久性も満たさず、不合格。10基の原子炉では、低度の耐久性を持つことが書類によって十分証明されていない
停電 ビブリスA・B号機、イザー1号機、ネッカーヴェストハイム1号機など5基を除けば、少なくとも中度(レベル2)の耐久性が保たれている。一部の原発には、数週間にわたって非常発電機を運転できるだけの重油の備蓄がある
冷却水の
供給停止
全ての原子炉で少なくとも低度の耐久性が保たれている。ブルンスビュッテルなど2基は高度の耐久性を持つ。フィリップスブルク2号機など3基は、中度の耐久性を持つ


ストレステストの対象となった事象の中で、耐久性が最も低いと判断されたのは、航空機の墜落だった。RSKは、「ビブリスA・B号機、ブリュンス ビュッテル、フィリップスブルクについては、戦闘機の墜落について低度の耐久性を持つという証拠がない。ウンターベーザー、イザー1号機、ネッカーヴェス トハイム1号機は中型の旅客機の墜落には耐えられる。大型の旅客機の墜落について最低限の耐久性を持つ原子炉は一つもなかった」と結論付けている。

 ただし、ドイツの原子炉が旅客機の墜落に耐えられないというのは、新しい事実ではない。この問題点は、2001年に米国で起きた同時多発テロ後に、連邦環境省が極秘で行なったシミュレーション調査ですでに判明していた。

 

 

福島第一原発のリスク想定を批判

 

 連邦環境省のレットゲン大臣とRSKのヴィーラント委員長は、5月17日にベルリンで鑑定書の内容に関する記者会見を開いた。ヴィーラント氏は、ドイツ の原子炉の安全性について前向きな評価を行なった。彼は「全体を総括すると、ドイツの原子炉には高い耐久性があると言える。そのことは、追加的な安全強化 措置を取られた、古い原子炉についてもあてはまる」と指摘。さらに「福島第一原発を襲った津波と地震は、予測できない事態ではなかった。過去にこの地域で 強い地震や大きな津波があったことを考えれば、原子炉にどのような外部事象が悪影響を与えるかを考える際に、今回福島第一原発を襲ったような地震と津波に ついて、想定してしかるべきだった」とも述べた。

 

 「ドイツの原子炉は技術的な安全性に問題点があり、即時停止が望ましい」という内容の鑑定書を期待していた人には、この結論は失望感を与えたに違いない。

 

 原子力に批判的な姿勢を持っていたレットゲン大臣の発言も、歯切れが悪かった。彼は「RSKの鑑定書から、今すぐに全ての原子炉を止める必要はないこと がわかった。しかし航空機の墜落に対する防護が十分でないことなどを考えると、リスクや不確実性は残る。したがって原子力の使用をできるだけ早く終えて、 再生可能エネによって代替するという、政府の方針に変わりはない」と述べた。緑の党や環境団体は「鑑定書の内容は、甘すぎる」と批判している。

 

 原子力のプロである技術者たちが「安全性に問題があるので原子炉を廃止する必要がある」とは報告しなかったにもかからわず、メルケル政権は、福島事故後 に止めた7基と2007年から止まっていた1基の原子炉を再稼動させず、残りの9基についても2020年12月31日までに廃止することを決めた。

 

 この決定で重要な役割を果たしたのは、RSKの鑑定書ではない。むしろメルケル首相が福島事故後に設置した「安全なエネルギー供給に関する倫理委員 会」、つまり原子力技術のプロではない人々が、文明論的な見地からまとめた提言書の方である。この倫理委員会は、「原子炉を10年以内、つまり2021年 までに廃止して、再生可能エネルギーなどで代替するべきだ」と首相に進言した。メルケル氏はこの委員会が5月30日に行なった提言を元にして、1週間後の 6月6日に脱原子力を閣議決定した。

 

 次回は、この倫理委員会が文明論的な立場から行なったリスク分析について、詳しくご紹介したい。