先日引用した本の部分の主人公は、原子力物理学者ワシーリ・ネステレンコ教授といい、調べてみたら、スイスのTSIが1998年に制作し、過去にNHK BS1で放送された「終わりなき人体汚染~チェルノブイリ原発事故から10年~」にも出演していました。
ネステレンコ教授は長年の闘病生活の末、2008年に天に召されました。
その番組の中の、ネステレンコ教授のパートだけを書き起こしてくださった方がいらっしゃしました。
NHK「チェルノブイリ原発事故その10年後」ネステレンコ教授パート書き起こし
また、NHK放送内容を全て書き起こしてくださった方もいらっしゃいます。
終わりなき人体汚染~チェルノブイリ原発事故から10年~①
終わりなき人体汚染~チェルノブイリ原発事故から10年~②
終わりなき人体汚染~チェルノブイリ原発事故から10年~③
終わりなき人体汚染~チェルノブイリ原発事故から10年~④
ここから、レベル7と認定された福島原発事故からくる放射能被害を想定するためのデータを集めて書きます。
・・・事故がもたらした人体への影響は、10年という歳月を経て風化するどころか、逆に深刻さを増している。長い潜伏期間を経て、癌や白血病などが急激に増加している。そして、放射能の影響は脳にまで及んでいることが分かってきた。
・・・WHO(世界保健機関)の調査によると、未だに780万人もの人々がこの汚染地域で生活し、放射線を浴び続けている。
・・・(子供たちが遊んでいる場所の放射線量。ガイガーカウンターは0.772μSv/hを示している。)
注:現在の福島市の放射線量は2.1μSv/h!
・・・汚染地域の妊婦の貧血が、事故前に比べて10倍に増えたほか、死産や早産が多く発生していることが分かった。 出産異常の原因をさらに詳しく分析してみると、子宮内出血や早期破水が増える傾向にあり、主に母胎の異常が死産や早産を引き起こしていることが分かった。
・・・妊娠5ヶ月のこの女性は、事故当時11歳だった。これまでに一度死産を経験しているため、不安を感じてこの研究所に検査を受けにやってきた。
医師「胎盤が厚くなりすぎています。胎児に酸素不足の兆候がありますね」
・・・この研究所の調査によると、放射能の高濃度汚染地域では、先天性の異常を持った新生児の数が事故前の1.8倍に増加している。
・・・チェチェルスク地区の人々の身体には食品を通して放射能が入り込んでいる。その結果、人体にどのような影響が起きるのか。(中略) 信州大学医学部 小池健一講師: 「(プリントアウトされた検査値を見ながら)そうですね、1023マイクロキュリー(µCi)で、37,000…非常に高い値ですね。日本人の25倍くらいの高さですね」
注:1キュリー=3.7x10の10乗ベクレル、計算したら1023マイクロキュリーは37851キロベクレル。
・・・安全な食品はあっても値段が高いため、チェチェルスク地区の住民たちは、このまま自給自足の生活を続けていかざるをえない。
・・・実際にゼルジンスク村の土の放射能を測定してみた。結果は(Cs137が)1,068 Bq/kg。汚染はそれほど高くない。しかし、牧草の放射能は、土の15倍、15,544 Bq/kgにも及んでいる。この村では、放射能が土よりも牧草に大量に蓄積されていた。
・・・(ネステレンコ) 残念なことに多くの子どもたちの身体が今も放射能にむしばまれています。例えば事故現場から200キロ以上離れた村でも、子どもたちのうち23パーセント
が白内障にかかったり、失明したりしています。その村では84パーセント以上の子どもたちに不整脈が見られました。まるで心筋梗塞の予備軍です。というよ
り、すでに多くの若者が心筋梗塞にかかっているような状況です。
およそ80パーセントの子どもが、胃炎や潰瘍を患っています。特にひどいのは12歳から15歳の子どもたちです。胃の粘膜が萎縮し、まるで70過ぎの老人
のようになっています。つまり放射線の影響を受けた子どもたちは、命の炎を急速に燃やし尽くし、将来病気になることが確定しているんです。
注:私の読んだ本(Christian Schueller, Unter Aussenseitern)によると、ネステレンコ教授は事故現場から200km離れた、ウクライナ国境の町Almanyというところで調査しています。ここは放射能濃度が他の場所にくらべ低いのに、何年もたってから沢山の子供達が病気になっていると報告しています。
・・・ネ「魚は調べたんですか?」
父「他の人に食べてもいいと言われましたけど…」
ネ「子どもは1キロあたり37ベクレル以上の放射能を含んだものを食べてはいけません。これは70ベクレルもありますよ。あなたは釣りを?」
父「はい。趣味で」
ネ「なるほど、それで合点がいきました。とにかく子どもに与えてはダメです」
父「子どもたちはそんなにたくさん食べてませんよ。ただ私が食べていると、ねだるのでちょっと味見させているだけです」
注:日本の食品に対する暫定基準値=ヨウ素 2000ベクレル/kg、セシウム500ベクレル/kg