教育における「善良」問題02 約束は守る (10/22)
(音声です)
大学の講義と立たせること、
難しい物理と簡単な約束
一度でも立たせれば遅れることはない、
学生はアルバイトでは遅れない、
ある女子学生のレストランの体験
首相の裏切り
(平成24年10月22日)
--------ここから音声内容--------
教育における善良問題というのを始めたわけですね。教育するには、社会が何を善良としているかということがはっきりしてないと、なかなか教育というのはうまくいかない。だから社会がある意味では善良でなくなると、教育も荒れていくという、そういうことですね。
一番教育で重要なのは、自分を捨てて…ということなんですが、それはなかなかまた難しいわけです。ここでは、学生の教育にあたってですね、「約束を守る」ってなことをですね、私がどいうふうに教育して、どういう体験をしてきたかのほんの一端をですね、お話しをしてみたいと思うんですが…
私は割合とこう…一応は厳しい先生で、しかもまぁ学問的に厳しいかってのはまぁ学問は常に厳しいんですけど、それよりか学生が聞く態度ですね。これはもう厳しいっていやぁ厳しいんですね。たとえば、授業に遅刻しますとね、まぁ1~2分とか5分くらいの遅刻は別になんともないんですけど、10分くらい遅れてきた学生はですね、「立ってろ」って言ってですね、後ろに立たせておきます。
しかし最近では立たせるってのは体罰にもなるんで、あまり使われないから、学生によってはですね、立ってろって言ったら、何を言われているのかよくわかんない学生もいてですね、「そこらへんに立ってなさい」っとかて言うわけですね。それであんまり長く立たせますとこれも本当に体罰になりますので、割合と短時間立たせます。
で、それで学生には必ず理由を言うんですね。私は物理をずっと教えておりましたから、「君はこんなに難しい物理を勉強しているのに、なんで簡単なことを守れないのか?」と。たとえば「9時半から始まると言ったら、これは私とあなたの約束じゃないか」と。「私はちゃんとここきて講義をしてるのに、あなたが遅れてくるとはどういう事か?」と。
それからたとえば女性とですね、名古屋駅で待ち合わせでも、10分も遅れれば平謝りするだろうと。それなのになんだそんな堂々とした態度で入って来てっていって怒る訳ですね。そうしますとですね、その学生は言われていることは分かりますので、すいませんという顔をしたりするわけです。で、座っていいよって言うと座るわけですね。
このとき難しいのがですね、たとえば遅れてきた学生が、座ってですね…座らせて、それで口で「君は遅れちゃいけないよ」といっても、実は全然駄目なんですよ。一回ちょっとでも立たせたらですね、その学生はもう遅れることはないんですね。それから自分がですね非常に難しい物理を勉強しながら、こんな簡単なことも守れないのか、っていわれるとですね、それがもうはっきりと本人に分かるんですね。体罰ってのはホントはいけないんですけども、立たせなければなぜ学生は直らないのか?っていうことについては、もう少し深く教育関係者でよく考えてみなければといけないことだと思います。
で、学生にはもうひとつ言うんですね。時々…まとめてだれか非常に遅れた人が多かったりしたときは、「キミたちはいったい何なんだ」、とこういうわけですね。「学生であるだろう」と、「学生だったら学生は本業だろう」、と。「この中でアルバイト遅れた人いるか?」と。普通はねぇ学生はアルバイト遅れないんですよ。「アルバイトがありますから」ったら飛んだように行きますね。アルバイトは遅れてはいけないってことをよーく知ってるんです。ただ講義は遅れて良いと思ってるんですね。これは甘えがあったりいろんな複雑な事情があるんですが、それを分からせる為に、「キミたちは学生だろう」と、「学生っつうのは本務なんだ」と。「警察官は警察が本務であり、消防士は火を消すのが本務であり、キミたちは講義にちゃんと出るのが本務なんだから、遅れちゃいけない」と、まぁこう言うわけですね。
アルバイトを話してて、ひとつ思い出したんですが、ある女子学生がですねぇ、アルバイトした体験をレポートの中に書いてくれて事があります。”私がアルバイトをし始めたのは、ホテルのレストランのウェイトレスみたいなもんですかね、それを始めたことがあります。最初の頃はもうホントに普通に考えていたので、調理されたものを出すということを一所懸命やってました。
そのうちですね。調理されたものに汚いものが入ることがあるってんですね。灰だとかですね。そうするとですね。それはもう最初捨てるのかと思っていたらしいですね。ところがそれをちょっと箸でつまんで外に出してですね、それでお客さんのところにもってけと言われるらしいんですね。もう最初はそれが嫌で嫌でたまらなかったけれども、まぁ女の子でね、まじめな女の子ですから。そのうち慣れてですね、平気になったっていうんですね。それで私も大人の世界に入って、そういうズルができるようになるんだろうなと思った”っていう感想を寄せていただいた女子学生がいました。
一つはですね、こういったその「約束を守る」というようなことですね。「君はこんなに難しい物理を勉強しているのに、こんな簡単な約束も守らないのか?それだったら、もう物理なんか勉強したのやめてしまえ」って私がいう。しかしですね、世の中は違うんですね。私は学校でそういう「約束を守る」ってなこと、単純なことを、繰り返し子供に教えるのは、非常に大切だと思いますし、私はね、「約束を守る」ぐらいは、「善良」の中に入れてですね。統一して小学校から大学まで先生方は子供達に対して、ちゃんと「約束を守りなさい」という教育はした方が良い様に思います。
そうしますと、学校を出た子供達はですね、少なくとも「約束を守る」って事ができると思いますし、それから東大の学生なんかもう本当に約束を守らないんですけども、「俺は実力あるから良いや」と、「大体のことは多目に見てくれる」ってなことも、なくなってくるんじゃないかと思いますね。まぁ御用学者も少なくなってくるだろうと思います。
しかし今一番これで難しいのは、社会が約束を守らないことですね。私はこのブログで、野田首相の裏切りといいますか、約束破りを厳しく指摘してきたわけですが…選挙のときですね、街頭演説で「口で言ったことは絶対守る、まして紙に書いたことで守らないことはない。だから絶対に税金を上げるようなことはしないんだ」とこういう風に言って選挙に当選しておきながら、辞任もせずに増税こそ自分の命であるというようなことを言うとこになりますとね、これはいくら学生であれ誰であれ、それが嘘であることは、「約束破り」であることはもう間違いないわけですね。
首相が約束を破ったときに、先生が生徒に約束を守ることを教育できるかって、もうこれできないんですよ。学生は一応それに従いますよ。従うけど…ですね、長続きしなくて、教えたことも無駄なんですね。その意味ではやっぱり、もちろんこの先生とか、首相とか、NHKとか、まぁこういうものはですね、とにかく絶対にこの「約束を守る」っていうか、世の中で合意した「善良」をですね、この「善良」を守ると。「善良なこと」を守るいうことは、教育の最低ではないかと…最低の条件ではないかと。こういう風に思います。
(文字起こし by ちゃりだー)