報道が決して国民に伝えないもの(1) 外国のエネルギー計画 (10/22)
このシリーズで、「日本の報道が決して国民に伝えないもの」をグラフや証拠と音声で整理を進めていこうと思っています。「情報」は国民のものであって、一部の報道の専有物ではないと考えるからです。
第一回は「原発に変わるエネルギーを世界各国はどのように考えているか?」ということについて絶対に必要なのに、決して伝えられないグラフを使います。
--------ここから音声内容--------
第二次世界大戦の前に、日本の報道が非常に戦争をあおる報道をしたと。ドイツに頼ったわけですが、ヒットラーが日本人の事を「サル」と言っていたのを、ま、消してですね、またアメリカの軍事力とか戦闘能力も隠して、国民は戦争に突入したというような歴史があってですね、戦後はそういうことの反省で、報道もかなり正確になってきましたが、それも60年経ちまして、もうだんだんさびれてきましてですね、この頃は報道が決して国民に伝えない事っていうのがあるんですね。
大体の筋はですね、「政府の政策を進めるうえで具合の悪い報道はしない」というのが、NHKなんかを中心とした考え方だと思うんですね。この考え方がいいのかどうか?という事はよく分かりません。つまり大政翼賛会的(※)な報道をするという事の方が日本の発展のために良いという考え方もありますけれどね、もちろんその当人がそうしているのですから、NHKの首脳部がそう思っていることは間違いないわけですが、もうひとつの考え方は民主主義だから、国民には重要な情報を伝えるという、二つの考え方があるわけですね。もちろんこれは重要な事を伝えない訳で。
で、現在に日本の報道は「政府の政策に反するものは報道しない」という、基本的な姿勢がありますので、このブログでは、それを補う意味で、私が個人で補う必要があるかは別としまして、非常に重要なものを、ここではブログを使って伝えていきたいというふに思っております。
第1回は原発に代わるエネルギーを世界各国はどのように考えているか?という事で私はエネルギーの方が専門ですので、典型的なグラフを一つ示したいと思います。このグラフは世界の一次エネルギー消費という事で、これはですね、資源エネルギー庁なんかも同じグラフを使っていると思いますし、専門家によってグラフが違うという事のない、比較的使用しやすいグラフでありまして、2005年ごろ作られたものであります。
世界は大体石油換算で50億トンぐらいをそれぞれのものが使っている訳ですね。石油も大体5~60億トン。石炭もそう、天然ガスもそう、という事で、この三つで大体そういうふうなグループを成しております。それから少ないものでは原子力とか、いわゆる日本で言われる再生可能エネルギー。ま、再生可能エネルギーというのは非常に怪しいものなので、ちょっと定義が難しいので水力と…これはまぁ大体10億トン以下のものであります。
こういったものが世界で使われているもので、この中でミスプリントといえば原子力が7%か6%で減少するという図になっておりますがこれは多分間違いで、6%から7%だと思います。それから、その他に%が随分変わっているのは、これはちょっと何か違う意味かもしれませんね。あ、そうか!これは%はですね、全体の量とそれから比率との関係ですね。%は比率を書いてありますので、たとえば石油ですと現在は37%。量としては現在の36億トンぐらいが、将来54億トンぐらいに増えるんだけれども、比率としては37が34に減るということですね。ま、こういった事で増えるのは比率としては天然ガスが主ですよという事を示していえるわけですね。
このグラフで分かることは日本以外の国、ほとんどの国でですね、実は2005年から2030年までに、何をエネルギーとして使っていくか?といいますと、
石油・石炭・天然ガスを増やしていくという事がほとんどなんですね。伸び率で言いますと全体で1.9%のうち天然ガスが2.5%、石炭1.7%、石油1.6%で伸びていくと、年間ですね。原子力だとか、再生可能エネルギーだとか水力というものは補助的なものとして考えられているという事ですね。
これは非常に重要なことです。現在日本は「原子力発電を止めたら再生可能エネルギーでやらなければならない」というような議論がされておりますが、これは政府の方針であります。私はこの政府の方針というのは日本国としてはいいことではなくて、私の考えはですよ、おそらくは原子力の利権を再生可能エネルギーの利権で取ろうとしていると思います。
つまりですね、石油・石炭・天然ガスではもう利権は取れないんですよね。これは従来のエネルギーですから利権がとれないので新しいエネルギーを持ちだしてくる。ところが私が最近のみなさんの質問なんかを見てるとですね、どうも日本人は石油・石炭・天然ガスは無いと思っている傾向があるんですね。ま、1000年後はどうなるか?というのはいろいろと議論があるんですが、100年とか200年のところではですね、「石油・石炭・天然ガスが無くなる」なんていう事を考えている他の国はないわけですね。
このグラフをおそらく、テレビや新聞なんかでご覧になった人はいないと思うんですよ。たとえば日本ではですね、「エネルギーの選択」と言って、政府がゼロ%・15%・25%といって、原子力の比率を示して、これに対して、「どうするか?」っていうのが全部再生可能エネルギーなんですね。
それで「三つのケースを選びなさい」というのがあったんですが、実はその時にこのグラフを出せなかったんですよね。出しますとね、「なんだ、石油・石炭・天然ガスでいいじゃないか」と、再生可能エネルギーが可能だとか、42円だとかっていう事がなんか関係あるの?って言う事だったんですね。
ところが、このグラフを報道が出さなかったのは、
これを出しますと、太陽電池の買い取り価格42円なんか潰れちゃいますからね。もちろん石油・石炭・天然ガス買えばいいんですから。それで「石油・石炭・天然ガスを買うと高くなる」って言ったらですね、そんな事を言ったら他の国ですね、これはほとんど発展途上国なんですから、「発展途上国ってそんなにお金があるの?」っていう事になって、たちまちテレビの討論会なんかですと矛盾が出てきますね。
ですからこの事は絶対に隠すという事で、報道が国民に決した伝えないグラフの一つであります。このグラフと、この前政府がですね、エネルギー選択として国民に出した表との間に、どうしてこんなに大きな開きがあるのか?
この前ある講演会に出ましたらですね、「原発ゼロ%がいいんだけれど、再生可能エネルギーが30%もできることはないので、やっぱり原発はなくすことができないんじゃないか?」っていうご意見の方がおられましたが、その方はこのグラフをご覧になってないからなんですね。当然テレビも新聞も絶対に伝えませんから、それは仕方がないんですが、普通の考え方だったらですね、「原子力をやめれば天然ガスでいこうじゃないか」と、素直にこうなりますからね。別に天然ガスも日本の近くのシェールオイルだとか、それからメタンハイドレードでなくても、べつに外国から買ってくればいいんで、外国から買ってくるというのは全然どうってことないんですね。
というのは、かつてはエネルギーは特殊なものでしたけれど、今では産出国が増えましたので、自動車とかテレビと同じような工業製品なんですね。エネルギーっていうのは今や工業製品なんです。したがって、国内にテレビを作る会社が無いから、テレビが無くて困っちゃうとか、そういう事が無いんですね。
工業製品は単なる輸出入の問題です。食料だけはまたちょっと違うんですけれども、他の事は工業製品になりましたので、輸出入が途絶えるという事はちょっと考えにくい事なのでですね、このグラフは非常に重要であると。
しかし重要であるが故に日本の報道は決して国民に伝えられない。ま、こういうものであります。
※大政翼賛会(たいせいよくさんかい)
1940年(昭和15年)10月12日から1945年(昭和20年)6月13日まで存在していた公事結社。国粋主義的勢力から社会主義的勢力までをも取り込んだ左右合同の組織である。
(文字起こし by きーこ)
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