立ち話 日本は麻薬取締が要らない国だった。 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

立ち話 日本は麻薬取締が要らない国だった。 (10/6)




中国にはアヘン戦争あり、シャーロックホームズではアヘン巣窟が出てきます。日本にはなぜ麻薬の歴史がないのでしょうか?



北方の国は麻薬に厳しく、南方は麻薬OKですが、どちらが「人間らしい」のでしょうか? 


・・・・・・疑問を考えてみます(音声)・・・・・・


(平成24年10月6日)





--------ここから音声内容--------





中国には有名なアヘン戦争っていうのがありまして、1840年代、中国がその頃清という王朝であったわけですが、その清にですね、イギリスがインドから輸入したアヘンをですね、中国に売りつける、と。そうすると中国人がそれを吸ってですね、どんどん廃人になっていくということで、中国政府は…それを清政府は「イヤだ」とこう言ったわけですね。したらイギリス軍は「力で買え」と言うんでですね、戦争になったという、非常に世界的にも醜い戦争の一つですね。





もちろんイギリスにも良心的な人が、議員がいてですね、「やっぱりこんな戦争はダメだ」という議会演説もありましたけど、結局は戦争になり、イギリス軍が勝つわけでありますが、2回ほど起こった大きな戦争ではですね、むしろ戦争というよりも虐殺に近いものでした。近代兵器を持つイギリス軍に対して清軍が戦うわけでありますが、例えば清軍の犠牲者が2000人、これに対してイギリス軍が9人といったですね、圧倒的なものでですね、「これを戦争と言うか?」というぐらいのものでした。いずれにしても中国は負けてアヘンに染まるわけであります。





またこれはヨーロッパでもそうでですね、有名なシャーロックホームズという探偵小説がありますが、これはですね、アヘン巣窟がよく出てまいります。ホームズ自身がアヘンを吸う人だというふうに描かれてるわけでありますが、ヨーロッパもやっぱりアヘンに染まっておりました。





しかしですね、日本という国は非常に不思議な国で、中国までどんどんアヘンが来るわけですが、日本にもアヘンとか麻薬が入っては来るんですね。で、日本人はなぜか麻薬に手を出さないんですね。日本人がなぜ麻薬に手を出さなかったのかっていう理由が、一応二つ考えられとります。





一つがですね、麻薬には二種類ありまして、お酒とかタバコっていうのは麻薬の一種ですが、コーヒーもそうですね。こういったものはですね、精神作用を持つものですね。どちらかというと頭がすっきりしたり、元気になったりする系統ですね。カフェインとかニコチンとか、アルコールっていうですね化合物は、どちらかというと人間を明るくする方ですね。





で、日本人は落ち込む民族なので、ほっといたら落ち込んじゃうんですね。ですからタバコを吸ったり、そして頭をすっきりさせて友達と話をする。お酒を飲んで…酒を酌み交わす。こういうのがですね、日本人に合ってるんですね。





ところが南米のように明るい民族は、ま、中国人も実は明るいんですが、アヘンを吸って気持ちを収めたいという気持ちがありましてね。それで麻薬がはやる、と。これが一つの理由です。





もう一つはですね、日本っつぅのは元々泥棒が少なかったり、殺人が少なかったり、色々ですね、いわゆる犯罪ってのが少ないんですね。日本はどちらかっていうとね、やっちゃいけないことはあんまりやらない民族ではあるんですよ。犯罪率はほんとに世界で一番低いですしね。現在でもそうなんですから、江戸時代もっとそうだったんですね。





そういった、その、やってはいけないことはやっちゃいけないんだ、と。別にそんなこと我慢するほどのことのようなものでもないからやらないどこうっていうのが多いんですね。ま、これは二つの理由が考えられとりまして、どちらだかわかりません。いずれにしても日本は麻薬取締りがいらなかった国であると、こういうことですね。





で、もう少し目を広げてみますとですね、麻薬に対して厳しいのはだいたい北の国なんですよ。南の国はですね、だいたい麻薬OKなんですね。インドもそうですし、それから南米ですね。ブラジル、アルゼンチン。こういうとこもみんな麻薬は一応基本的にはOKなんです。それからまた好きなんですね。なぜそういうことが起こるかっていうことですけども、これについても諸説ありますけども、一応まともだと考えられるのは、南の方は生活が楽なんですよ。楽というかですね、もう生活(のため)に何も働かなくていい。





例えばですね、口を開けてりゃ上からバナナが落ちてくる。海に行けばすぐ魚が獲れるってもう、こんな感じですからね。投資もしない。それからバナナの木なんつぅのはね、もう気楽なもんなんですよ。あれはポキッて折れましてね、幹が土につくと次のバナナの木が出てくるんですよ。種がなくたっていいんですね。それから南方の方の種っていうのはですね、非常に弱い種が多いんですよ。落ちた所で雪が降ってるなんてことがありませんからね。だから固い種を持ってるっていうのは北の方のものなんですね。





人間もそうで、南の方はのんびりしてるんですね。だけど北の方はとにかくビリビリしてなければ、自分たち死んでしまいますので、ものすごく規律も正しいし、まぁなんていいますかね、人にもこう…「お前ほんなことやっちゃいけないよ」っていうようなこと言う人が多いんですね。南の方は「もうどうでもいいよ」と、こんな感じですね。





私も一回マレーシアで少し生活しとりましたらね、向こうは英語使うんですけども、三・単・現のs(主語が三人称単数で現在形の時、一般動詞にsまたはesがつくという文法の決まり)っていうのないんですよね。「He go」って言ってはいけないんです、日本ではね。日本ではっていうか、アメリカとかイギリスもダメなんですけど。「He goes」と言わなきゃいけないんですね。





Iの時はgoでいいんですけど…「行く」っていうですよ。「私は行く」 「I go」、「You go」 「あなたは行く」。ところがheになったら「He goes」となって、sheになったら「She goes」となって、こううるさいんですよ。で、複数だとかなんだとか、もう三・単・現のsだとかうるさいんですね。





ところがね、マレーシアの英語は三・単・現のsがなかったりあったりするんですよ。で、僕がマレーシアの人にね、「三・単・現のsはどうなんでしょうか」、「あってもなくてもいいですよ、わかりますから」って、こんな感じなんですね。名前もそうなんですね。名前は上の名前、中間の名前、下の名前ってあるんですけどね、どこを読んでも文句言われないんですよ。で、「どこを読むんですか」、「どこでもいいですよ。私の名前言ってくれりゃ」って、こんなもんなんですね。ですから麻薬を吸うっていうのにも寛容なんです。





それからもう一つはですね、口を開けてりゃ上からバナナ、海に行けば魚っていうことになりますとね、一日中暇なんですよ。昔はテレビなかったですからね。一日がこなせるのは仕事しなきゃなんないからこなせるんですよ。朝起きてご飯食べたら、もう仕事しなくていいって、まぁ夕方になったらまたご飯食べるけど、ほんの30分もちょっと食べ物採り(獲り)に行けばいいっていうことになりますとね、「後の時間どうするの?」っていうことになってですね、「まぁ麻薬でも吸おうか」と、こういうふうになるわけですね。お酒もそういう傾向がありますね。





ですから、南の人が麻薬を吸うっていうのが悪いことかっていうとですね、問題なんですよ。昔テレビありませんからね。じゃ、暇でぼーっとしてる状態と、麻薬を吸って…日本ですと酔っ払ってぼやってしてる状態とどっちがいいかっていうと、やっぱり酔っ払ってぼやっとした方がいいんですね。





よく不眠症で苦しんでる人いるんですけども、これ、眠れないこと自身が辛いんじゃなくてですね、退屈だってことがあるんですね。闇の中でじーっと目を凝らしてるってことが辛いということなんですね。ですから南の国で生活が楽な人が、麻薬を吸うのは悪いのかっていうとですね、これは人間らしいなっていう感じもします。





ま、こういったこと、麻薬についてもですね、日本は非常に特殊な国であるということと、それから南の国と北の国の差、性格、元々の。そういったものがですね、深く関係をしてるということ、立ち話を致しました。