尖閣・竹島・四島・・領土と国(7) アメリカの「領土」 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

尖閣・竹島・四島・・領土と国(7) アメリカの「領土」 (10/10)




先回まで「中国は世界中が中国の領土で、力で取ったところはすべて中国だ」という考えだから、「日本の領土」という意識があって、他国を占領すると心が痛むという日本人とは感覚が違うことを書きました。



でも、それは中国だけのことではなく、中国は特にそれが激しいと言うぐらいです。アメリカは18世紀に建国して以来、ワシントンの近く、つまりアメリカ東海岸からアメリカ中央部、テキサス、カリフォルニア、そして太平洋を渡ってアラスカ、ハワイ、グアム、フィリピン、日本、朝鮮、ベトナム、アフガニスタン、イラクとほぼ地球を一周する勢いで軍隊を出してきました。



なぜ、アメリカはそんなことをしたのか、アメリカ人が考える「領土」はどこなのか、それを地図とともに考えてみたいと思います。また日本人は時に中国人を憎みますが、アメリカ人には好意を持つことが多いのですが、これはアメリカ人が白人だからなのでしょうか?


・・・ここからは音声と地図です・・・・・・

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(平成24年10月10日)


音声でアラモの砦の戦いをインディアンと言ったような気がしますが、メキシコ戦です。





--------ここから音声内容--------





尖閣諸島の事件がありましたので、中国のことを少し辛くなってしまったかもしれませんね。中国というのは、自分の領土とか国土っていうのはあるわけじゃなくて、国が元々ありませんからね。満州にいた清が・・・女真族がですね、北京を占領したら、普通は中国が満州の国になるんですけど、満州が中国の国になるっていうその、逆転現象が起こる。それから北京のすぐ北に万里の長城を敷いてですね、それよりか北は外国だよとこう宣言しても、すぐチャンスがあれば満州でも内モンゴルでもどこでも領土にしてしまうと、まぁこういう国ですからね。





もちろん、あの尖閣諸島でも元々中国のもんじゃないなんて言ってもですね、相手は聞く耳を持たないっていうことですね。まぁこの交渉ごととか争いごとっつうのは相手がどう考えるか、「敵を知り己を知らば百戦危うからず」というわけですが。敵を知らなきゃいけない。敵が私と全然違う(ことを)考えるからけしからない、なんて言ったってですね、敵は敵でありますので。





ところで、まぁ中国はそうなんですが、実はこれは中国ばかりじゃないんですね。アメリカも実はそうなんですね、アメリカっていう国は非常に不思議な国で、建国した時にはイギリスから逃れてきた人たちが東海岸、つまりワシントンとかボストンとか、あすこら辺の寒いところにですね、移住をしましてそこで13州で独立宣言を致します。ちょうどフランス革命を前後しておりまして、なかなかヨーロッパの人たちが活発な時代でありました。





で、13州で作ってそこで住んでりゃいいのにですね、何故か何かアメリカ人っていうのは西へ行きたくなるんですね。ま、東の方にイギリスとかフランスとか自分たちの祖先の国があるから、そっちは親父がいるから煙たくて行きたがらなかったんでしょうね。それで西に行きます。日本、西のことをフロンティア、西部劇とこう言うわけですね。





最初はインディアンと戦ってこう行ってたんですが、そのうちですね、メキシコとぶつかりますね。で、これをやっつけましてテキサス辺りを獲りまして、更にインディアンを追いながらカリフォルニアまで行きます。大体これがですね、1850年ぐらいですね。一応アメリカ全土を獲るわけであります。





ま、この時にも色々ありましたね。アラモの砦、第7騎兵隊でしたかね、まもっていたアラモの砦に大量のインディアンが集結し、アラモにいた280名ぐらいの兵士だと思いますが、皆殺しになる、とこういうことなりまして「アメリカはアラモを忘れるな」という合言葉でですね、280人ぐらい殺されてたのに対して、インディアンどのくらい殺されたかよく判りませんが、大体推定600万人を殺したんじゃないかと、こういうですね、勢いだったわけですね。





その後アメリカはカリフォルニアに着きまして、太平洋を眺めるわけですね。私だったら、カリフォルニアに行くのも大変なのに、これからまた太平洋の向こうに出る・・・っていう、ちょっと元気ないんですけども、アメリカ人はやたらと元気ですからね、太平洋のカリフォルニアに着いて太平洋の広いのを見て、カリフォルニアの金も獲って、これで満足するかと思ったら満足しないんですよ。





それから約50年後、つまり1900年にはですね、どこまで来るかというとまた東に行きますね。北の方はアラスカでありまして、これはロシアから買います。これは買うからまぁ良いんですね。次はですね、ハワイですね。ハワイを狙うんですよ。当時はハワイはですね、カメハメハ大王の後でまあまあちゃんとした王国でしたからね。他人の国ですよ。これをね、どんどんどんどん人を派遣してですね、懐柔(かいじゅう=うまく扱って、自分の思う通りに従わせること。)したりしてるうちに、もうこれを軍事力で獲ってしまおうってことになるんですよ。





で、ハワイの王室はまぁびっくりしてですね、これはまぁ大変だってことで、日本もその頃、王室って言いますかね、天皇がおられましたんで、天皇に助けを求めます。まぁ、アメリカと一戦交えるのもなぁっていうことで、日本は救援に出ません。その結果、アメリカがハワイを獲ります。更に南の方に進出しましてグァムとかサイパンとかそこら辺の島々を獲ってですね、いよいよフィリピンに向かうわけですね。





その当時のフィリピンはスペイン領であります、スペインの植民地ですね。ほいで、まずここでもトリックを掛けます。メイン号っていうアメリカの軍艦に爆弾を仕掛けて、おそらくアメリカが仕掛けてですね、自分の船を自分で爆破しますね。そして「メイン号を忘れるな」と、こうくるわけですね。そしてスペインと一戦を交え、スペインに勝ちます、フィリピンを獲りましてね。それでまぁ大体1900年あたりにはですね、アラスカ、ハワイ、グァム、フィリピンと、この線までアメリカ出てくるんですね。





つまり、ほとんど太平洋の大半を獲ってしまうっていう、そういう動きに出ます。だけど、ちょっと気が引けてたんですよね、アメリカは。この気が引けてたということがどういう行動になって出るかっていうと、朝鮮をロシアと日本が争ってるわけですね。これはできるだけですね、フィリピンを自分が占領したことを非難されないようにってことで、やや日本寄りなんですね。「俺もフィリピン獲ったから、日本も朝鮮ぐらい獲れよ」と、まぁこんな感じだったんですね。ここに朝鮮併合のある一つの伏線が、歴史的伏線があるわけですね。





でまぁ、日本がフィリピンを獲りまして、そうすっとやっぱりアメリカはね、やっぱりそうは言ったものの、中国なんかでも日本と争いますし、もっと西に行きたいんですね。ほんとは中国欲しいんですね。で行きますと、どうしても日本が邪魔なもんですから、ま、日本と一戦を構えようってことになってパールハーバー、ハワイの軍港を開けるんですよ、奇襲で来るのを判っていながら。そいで日本軍がまんまと罠に引っ掛かりましてね、ハワイを奇襲します。そうすっと、「ハワイを忘れるな」とこう来るわけですね。「アラモを忘れるな」・・・インディアン殺す、「メイン号を忘れるな」と言ってスペインを滅ぼして、「ハワイを忘れるな」つって日本をやっつけます。これは大変な戦争になりましたけど、一応日本をやっつけます。





ついに中国の近くまで来ますね。それから今度は朝鮮戦争で朝鮮まで行きまして、これで半分だけ獲りますね。韓国、それからベトナムに行きます。これは1970年代ですね。で、ベトナム戦争で痛い目に遭いましてね、それで半分引き下がるわけですね。しかし、西にいく情熱は止まらないんですね。





その後アフガニスタンに行きまして、ついに2000年にはイラクまで行ったんですね。この時はですね、「大量破壊兵器を持っている」という名目ですね。アフガニスタンの時は「9.11を忘れるな」とこう言うわけですね。そいからイラクには9.11もあるし、「大量破壊兵器を忘れるな」とこうきて、これも全部トリックでしたね。アメリカは戦争する時、全部トリックなんですよ。ええと、例えばベトナムの時は、トンキン湾事件つうのがあってですね、これもアメリカの完全なでっち上げで、自分で自分の船をやっつけて、「ベトナムが攻撃した」と言ってベトナムを叩いたわけですね。





アラモ、メイン号、そいからパールハーバー、トンキン湾事件、9.11ももしかしたらそうかもしれませんね。そいから大量破壊兵器と、事実じゃないものをでっち上げまして戦争をするって得意なんですね。国際政治ですから、これが良いとか悪いとかいう話じゃないんですよ。まぁ口実もなく攻撃するとこ、いくらでもありますから。まぁ、アメリカはやっぱりちょっと気が引ける性質なんでしょうね。何か恨みを作ってから攻撃するという、手の込んだことをするわけですね。





ところがイラクから西を見ますとね、何だか親父の国が見えるんですよ。ま、ヨーロッパですからね、隣は。こりゃいけないっちゅうわけでですね、オバマ大統領がイラクからどうも引き上げたいと、こういう風に言ってるわけですね。しかし考えてみるとですね、アメリカっていう国は割合と日本人は好意を持ってるんですけども、凄い国ですねっていうか、酷い国っていうか、人格ゼロっていうか、何つってもいいんですけどね。





中国はまぁ自分の回りをコソコソと獲ってるわけですが、アメリカはですね、カリフォルニアでやめときゃいいのに、アラスカは・・・まぁ独立するんでしょうね。それからハワイはもちろん、元の王族に返さないけませんよ。フィリピンは日本が獲ったので、アメリカ返さざるを得なくなりましたね。これは日本の功績ですね。グァム島とかそんなの全部放棄して、それでまぁグァム島はフィリピンか日本のものに返すべきでしょうね。そうしないとまずいですよ。





そしてやっぱりアメリカはアメリカ合衆国の中でやる。あ、アメリカに言いたいんですけどね、元々カリフォルニアまででもね、アメリカの土地かどうかはっきりしないんですよ。やっぱりインディアンに半分ぐらい返すんでしょうね。そしてやっとアメリカっていうのがですね、100年、150年にわたる狂気から覚めた方が良いと思うんですね。その方がアメリカ人も尊敬されます。何しろ力があったら、他人の国全部獲ると、全部いかがわしい何かチャンスをとって獲ると。あまり上品なことじゃありませんよ。





私はね、何かハーバード大学の「正義」という講義をやってる人いるんですけど、私それ聞いてね、“いやいや、インチキだな”と思いましたね。つまりインチキを隠すのはうまいんですよ。これはアングロサクソン上手いんですよ。イギリスも上手けりゃ、アメリカも上手いんですよ。自分たちの悪事がね、良いように言うんですね。非常にあれで…心ん中までそうなのか、それとも体裁上言ってんのか、論理的に言ってんのか、騙そうとしてんのか判らないぐらい上手いんですよ。





だから日本人のようなナイーブなですね、国民には到底理解ができないもんであります。まぁそういうことでですね、アメリカも中国と同じように「他人の国は自分の国」と、とにかく力ずくで獲っちゃえ、その時に中国と違うのは、何が違うかって言うと、まず「恨みを作る」っていう手段があるんですね。そいから「自己を正当化する」っていう二つがあります。このアメリカのやり方と中国のやり方は違うんですね。ただ同じなのは、他人の土地を自分のものにしてしまうということはまぁ同じなんで。





今でも日本にアメリカ軍、駐留してんですよ。韓国にもほとんど同じですね。そいからアフガニスタンにもいるし、まぁイラクは痛い目に遭って、いつ引き上げるのか知りませんが、そういうことなるわけですね。従って、日本で言ってるような固有の国土なんていうのはですね、中国もアメリカも無いんです、実は。アメリカは歴史がないから元々無いんですよ。アメリカに固有の国土なんて求めたって、「固有っていうのはいつからですか?」って、「私たち今国を作ってんですけど」。





「ええと、カリフォルニアまでって誰が決めたんですか?」 「ハワイもアラスカもフィリピンも日本も全部、元々私のとこですよ」って言えば、言えるんですよ。元々土地が無い人たちですからね。ええと、イギリスからアメリカに逃げてきたわけです。アメリカはその当時インディアンがいたわけですからね。ですから、まぁ元々その、国土というものが無い、その点では中国と同じ。





このことはですね、我々が中国の尖閣諸島を考える時もそうだし、アメリカの駐留とかですね、グァム島とかですね、そういうところを考える、ハワイを考える。こういう時に、同時によく振り返ってみなければならないということですね。


(文字起こし by 緊急助っ人)