時事寸評 東電の社内の会議録音などを公開 (8/6)
東電が事故後の社内の会議の録音、電話記録などの情報を、かなりの制限をして公開しました。期間が短く、時々カット、2次使用はダメなど制約がついていますが、それでも一応の進展です。不完全な情報からでもさまざまな問題点が出るでしょう。
問題点が出ることをいやがっている節もありますが、もし原発を続けようとするなら、情報を公開して国民の信頼を回復すること、原因を追及したり事後に起こったことの問題点を研究することなどはどうしても必要で、東電が我が身の保身と原発の再開、もしくは日本を愛しているかなどが試されます。
また、このような不完全な公開をした理由として「私物だから」ということですが、東電は独占企業で、原発に多額の補助金を出してもらっていて、電気代も独占ですから、決して「私企業」とは言えないのです。経営は東電がするとしても、日常的な活動は公的な活動ということができます。
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東電と似ているのがNHKなどの報道機関です.報道機関というのは私企業のようですが、独占的な情報取得手段(多くの記者、カメラマン、記者クラブなどの独占など)をもっていますので、これも半官半民です。
つまり多くの外国で現実にそうなっているように、「経営と報道」はべつものです.経営というのは、ある新聞社とかテレビ局が良い報道な楽しみを供給していると判断して、その経営を担当するということですから、経営と報道や編集は独立して運営されるということになります。
専門性を尊重する国は、このような経営が広く普及していて、「経営と技術」、「経営と報道」、「経営と医療」、「経営と教育」なども独立しています。
事故直後、NHKの記者は「被曝が危険だから」という理由で福島から引き上げ(経営)、福島県民には「被曝は健康に影響がない」と報道(編集)してきました。まさか報道が福島から自主的に引き上げたいというはずもありませんから、経営と報道で激しい戦いがあったはずです。
この間、NHKでなにが議論されたのか、報道機関で
すから、東電よりさらに踏みこんだ情報公開を求めます。事故の原因追及も大切ですが、今後の事故などを考えると、今回の事故ではマスコミの情報秘匿がもっとも大きいと思います。
また30キロ定点観測で1号機、3号機、4号機の爆発映像を取ったのに、その公開を制限した理由と経緯も明らかにするべきです。今回の原発事故では、今に至ってもストロンチウム90の測定値が出なかったり、福島の汚染が報告されなかったり、食材の汚染の公開が遅れたり、まるで発展途上国の情報公開のようでした。
日本は立派な国ですから、国民の知る権利をさらに大きく認める事、このことに司法も含めてより厳しく考えるべきだと思います。
(平成24年8月6日)
-------ここから音声内容--------
東電がですね、事故後の社内の会議の様子だとか、電話記録などをですね…かなり制限はあります、期間が短かったり、時々カットされてたり、顔が見えなかったり、二次使用はダメとかですね…色々制約がついてますが、私は一応の進歩じゃないかと思いますね。不完全な情報からではありますが、今後色々ここから出てくると思います。
東電が問題点が出るのが嫌がっている節があるわけですね。それはですね、おそらく自分の身がかわいいんですよ。原発をもし続けようと、東電は…電力会社はそう言ってるんですが、中部電力の課長なんかはですね、「福島のことは事故ではない」というぐらい言ってるわけですから、ですから小さい事故だと言ってるわけですからね。
この際情報を公開して、たいした事故じゃなかったということを示して国民の信頼を回復すると共にですね、原因を追究したり、事後にいろんな事故の後に起こったことの問題点を研究するということはどうしても必要ですね。ですからこれは一つの試金石で、東電が我が身の保身を重要視するのか、もしくは原発の再開をほんとにしたいのか、それとも長期的に日本を愛してるのか、ここら辺がですね、この対応によって明らかになっていくと思います。
それから問題はですね、「私物だから」という言い方ですね。つまり原子力発電所は私物なのか、ということは前から…事故の直後から私言っとりますが、原子力発電所が私物かどうかきわめて怪しいですね。これはですね、硬直化した、なにこかこう限定的な観念で言ってんじゃないかと思うんですね。
東電は独占企業でありまして、原発に破格の補助金をもらっていますし、原発は非常に国民に大きな影響を与えます。したがって原発を自由に動かすこともできず、何もできないわけですから、しかも電力費が独占であるということから見てですね、こういうものの(ものが)もし私物であれば、法律を変えなきゃいけないですね、この際。
このようなものはどの程度までの情報が開示されるべきであるか、つまり情報をどのぐらい開示するかってのは、私企業の方に理由があるんじゃないんですよ。国民の方に知る権利がある。どのくらい知る権利があるのか、と。「私企業ですから、知る権利がありません」ということはありません。それは私企業の定義によってどのくらい知る権利があるかってのは決まるわけですから、それは問題ですね。東電が「知る権利はここまでだ」と、「国民の知る権利はここまでだ」と東電が決めるということはありません。
しかし東電と似ているのがですね、NHKのような報道機関ですね。報道機関っていうのは、私企業だとこれも言えるんですけども、独占的な情報取得手段を持っています。もちろん会社が決まってる、多くの記者を持ってる、カメラマンがいる、記者クラブを独占してるっていうようなことがありますので、例えば記者クラブを独占すればですね、それだけの義務が生じます。つまり独占すれば、公開する義務が生じますね。
それからもう一つは経営と報道の問題です。経営っつぅのはですね、別に報道内容と関係があるわけじゃないんですよ。要するにいい報道のやっているとこのテレビ局を経営が買い取るということですからね。ですから、独立してるものなんですね。これは専門性を尊重するような国でいつでもそうで、例えば経営と技術は独立しております。非常に優れた技術をやっているとこを経営が買い取る。
経営と報道、経営と医療もそうですね。医療の優れたところを経営がやる、と。経営と教育、と。これいずれもですね、独立しているわけで、日本のように例えば教育をやる法人がですね、教育に口を出すってことはいけないんですよ。教育は教育でやってて、経営は経営でやると…こういうのが近代的な考え方ですね。
事故直後ですね、NHKの記者は「被曝は危険だから」という理由で、福島から総引き上げをしました。これはたぶん経営の判断ですね。報道の方は今度福島県民に「被曝は健康に影響はない」と報道しました。まさか報道が福島から自主的に引き上げたということはありません。経営と報道で激しいつばぜり合いがあったと考えられます。
この間(かん)ですね、NHKで何が議論されたのか、NHKも私企業じゃありませんよ。強制的に受信料取ってるんですから、まったく私企業と言えませんが、東電よりさらに踏み込んだ情報公開を求めます。事故の原因追究も必要で、東電も必要なんですが、マスコミが情報を秘匿することによって、非常に大きな今度問題が起きました。例えば30kmの定点観測で一号機、三号機、四号機が爆発したんですが、この情報を制限してほとんどテレビに出さないということをやりました。
現在でもセシウムの再飛散だとか、ストロンチウム90の測定値を出さなかったりしておりまして、食材の汚染も非常に公開が遅れましたですね。これ、全体はまるで発展途上国の情報の公開のように遅れました。日本は立派な国で、プライドがある国で、2000年の歴史を持った国であります。したがって国民で日本国を経営してるわけですから、国民の知る権利をさらに大きくすることを司法にも求めたいと思います。
つまり、マル秘文書というのはですね、当事者がマル秘を決めるんじゃないんですよ。社会がマル秘を決めるんです。社会がマル秘を決めるって、やり方が難しいっていうだけなんですね。ですから今度のような東電の情報公開、NHKの情報公開はですね、どうしても国民として必要なもんでありますので、これをNHKにも東電にも要求し、ほかの電力会社もですね、「原発は権限を持ったり、補助金をもらったりしてるだけ。100%私(わたくし)ではない」ということをですね、はっきりとさせてもらいたいと思います。