日本だけ14 日本がダメになって行く瞬間 (8/4)
かつてあれほど光り輝いていた日本。今や、することなすことすべて虚偽ではないかと思われるほどになってしまいました。でも、もちろん、このままではいけませんので、どこに原因があるのか、何がきっかけでこんなになってしまったのか? 数回にわたって整理をして行きたいと思います。
この表はブログでも何回か出したり、書籍に書いたり、またかのNHKもほぼ同じ表を出していますが、それでも圧倒的な誤報の数によって、多くの日本人が「世界の人が心を合わせてCO2を削減している」と固く信じています。
北朝鮮の人のことを「洗脳されている」とよく言いますが、こちらは事実そのものを先入観で否定しているのでかなり重傷と思います。
その原因はどこにあるのでしょうか?
(平成24年8月4日)
--------ここから音声内容--------
前回、本田宗一郎の「やりたいことをやれ」、こういう時代からですね。突然1990年代に入るわけですね。考えましたんですが、この間に3つ大きな変化があります。一つは1970年前後の一つの折れ点、これは高度経済成長の終わりであります。それから1985年、15年後ですね。これが、戦後政治の総決算であります。そしてそれから15年後1990年頃、この頃に起きた世界的な変化、日本ではバブルの崩壊ですが、北京の天安門広場事件、ベルリンの壁崩壊事件・・・こういったやつが大きく起こった時ですね。15年おきに起こったこの三つの事で、日本社会はガラっと変わります。
この頃になりますと1990年を過ぎておりますので、日本もですね、「一生懸命やるのが20%、あとの8割はズル」と時代になりますので、「どうしたらズルをして金を儲けられるか」と、いうことに集中し、そういうのに長けている官僚とか政治家が幅をきせます。
ところでここでちょっと細かいことを一つお話しておきますが、実は1970年なのか1972年なのか若しくは1969年なのか、石油ショックというものが始まったり、社会が変わった時期はいつであるか、というのを1年ごとぐらいに検討するとややこしいんですね。これはバブルの崩壊もしくは天安門事件もしくはイランのホメイニー氏の死去などのですね、「これは1989年なのか!?」 「1991年はどうなのか!?」とかですね、言い出すとキリが無いんですね。これはまあ専門家の方にはいいかもしれませんが、私は歴史もですね、大きく捉えるべきだと思っておりますね。
例えば鎌倉幕府が開かれた時、「いい国」とかいう語呂があってですね、1192年。「これは貴族社会から武家社会への転換点である」と言ってですね、歴史の先生は、1192年というのを覚えさせたがり「覚えろ覚えろ」って言うんですよ。私は割合そういった数字を覚えるのが得意だったんで、よかったんですけども、そういう数字を覚えられない人は本当に困っちゃうんですね。これは別に1200年って言っていいんですよ。別に1192年って言わなくても1200年でいいんですよ。だって、1192年はですね、【鎌倉で源頼朝が「幕府を作るぞ」と言った】年であってですね、別段、【貴族政治が武家政治に変わった年】じゃないんですよ、ええ。別に1200年だっていいんですよ。だって、もう少し前の方がいいのかもしれませんね。既に平安貴族はですね、かなり力を弱めて、平清盛とかですね、平家がのしてきた頃に、もう現実的に武家政治になってるんです。
それから逆に言えばですね、鎌倉幕府が出来たからといってですね、民衆の生活がガラっと変わったわけじゃないんですよ。民衆側から言えばですね「京都とか鎌倉で何かゴチョゴチョやってるなぁ」という程度で、相変わらず田畑を耕していたんですね。そういう意味でいえばですね、1192年、なんていうのは私は言うこと自体がも問題だと思うんです。1100年でも1200年でもいいですけど、貴族社会から武家社会になったと。それが1850年ぐらいの明治時代まで続いたと、こういった大雑把のですね、歴史を把握という方がですね、歴史というものをよく理解することができると私は思っておりますが、まぁ反論があるでしょうから、あまり言わずに先にいきたいと思います。
1990年になりますと、三つの事件があった後の日本はですね。それまでは「8割が一生懸命、2割ぐらいはズルをする」と、こういう社会だったんですが、それがですね、「2割だけは一生懸命やるが、8割がズルをする」という社会に変わったんですね。「一生懸命社会」から「ズル社会」に変わりました。このズル社会になるとですね、一生懸命やる人が駄目になって、ズルな人が良くなるんですよ。これは会社なんかでもそうなんですよね。
【成長期はチカラのある人】つまりドンドン事業をやったり、新しい製品を開発する人がもてはやされるんですが、会社が停滞しますとね【社内政治でズルをする】という人が出てくるんですよ。まあこれはどっちがいいっちゅうか、時代の流れなんですね。その典型的なのが一つが、『CO2削減は日本だけ』と、これですね。
それの今・・・頂点ですね、大臣が「一生懸命やります」とか口先だけで言ったり、総理大臣がですね、公約を歴然と反したりしても平気という社会になります。その最初の頃の出来事でありますが、ここにまとめ(音声不明瞭)…私の本に載せた「京都議定書の実態」であります。ここにはですね、日本・アメリカ・ドイツ・イギリス・カナダ・ロシアという主要6カ国を示して有りまして、温室効果ガスの排出量、1990年と2000年、それから削減率、これはですね、会議が1997年に行われたという非常に歪んだ形でありましたので、会議の時に既に、基準は大分違っておりました。それをもとに署名が行われるという、そういうことでしたね。
ですから例えば日本ですと、1990年と2000年とを比べますと若干増えてるんですが、1997年にもう既に13%増えております。増えているのに、1990を基準にしてマイナス6%というやり方をしますので、ややこしいんですね。もうこれ聞いても直ぐ分からないと思いますよ、マイナス19%ということになる。つまり「実質削減目標が分からないようにした」ということなんですね。これは一生懸命やるということでしたら、京都会議が行われた1997年の基準にするのは当然なんですけども、もう世の中は変わっておりましてズル社会ですからね、会議の時に日本はもう既に13%増えていた、ドイツは19%減っていた、ということですからね。19%減っていたのに、多かった1990年の12.5億tを基準にして、マイナス8%という署名をするので、実態は(署名時削減達成率)プラス11%になるという、極めて分かりにくいトリックを使ったわけですね。
いずれにしても、京都議定書での実質削減目標は、日本・アメリカ・カナダがそれぞれマイナス20%ぐらい。あとの他の国はプラスであると、そうなりましたので、アメリカとカナダは「もう馬鹿らしい」と、それで離脱をしたり批准しなかったりします。
(批准/ひじゅん…全権委員が署名した条約に対する、当事国における最終的な確認・同意の手続き。日本では内閣が行うが、国会の承認を必要とする)
それからこんどプラスの国ですね、ロシアは(署名時削減達成率)プラス38%ですから、いくらがんばっても+38%CO2を増やすってこと出来ませんので、これは本当に形式上枠があるというだけでいくらでも増やせる。だから日本へ排出権をいくらでも売れるということですね。ものすごく儲かりました
それからドイツとイギリスはプラス11%とプラス5%ですから、いずれもプラスで幅が少し少ないんですが、しかしここにももう一個トリックがありまして、東ヨーロッパ諸国っていうのはですね、ロシアと同じように共産国からの転換で、貯金を持っておりましてね、つまりCO2が大分減りましたものですから、それをEUバブルという形で吸収します。したがってここには「プラス11%・プラス5%」と書いてありますが、更に、東ヨーロッパ諸国の大体平均+36%をもらえますんでね、かなりの+になると、こういう状態で国際条約が結ばれます。国際条約というのはもともとそういうもんでですね、各国の騙し合いなわけです。ついに日本だけが削減し、他は全部削減しないという結果になりますね。
ところが現在CO2削減は日本だけでありますが、こういう状態になるっていうのは今までこの「日本だけ」というのをずっと読んでこられた方はですね、ある程度推定がつくと思います。日本という国は何故かですね、外国に弱いようで、外国を学ばないんですよ。つまり、外国に真似るんだけど学ばないっていう所があるんですね。そこで、「他の国はどう考えているのか」ということは、日本の国内では全く議論されないんですね。このされない理由は、主には、日本の文化人、知識人とマスコミの責任なんですけど、いずれにしてもどうしても日本はそうなってしまうんですね。
これは満州事変で松岡洋右(ようすけ)が国際連盟を脱退する時と非常に似ているんですけれども、国際的情勢と切り離された、日本に、ある空気的事実が行き渡るわけです。例えばこの場合ですと、「CO2が地球温暖化の原因になる」とか、それから「地球温暖化したら大変だ」とか「世界中が地球温暖化を抑制しようとしている」とか、そういったですね、幻想ですね。科学的な事実とか本当の事実ではなくて、空気的事実、それも日本の国内だけの空気的事実を形成するんですね。ですから国際的には完全に孤立してしまうわけです。
で、孤立してしまうので、ますます変な方向にいっちゃうんですね。たとえば鳩山さんが首相になってから、国連で「25%CO2を削減する」と、みんなが…(音声不明瞭)…聴衆は拍手ですけれども、「あぁ、相変わらず日本って馬鹿だなぁ」という拍手をする。そのあとにですね、だんだんこの京都議定書でハメられた日本ってのがわかってきまして、そうしますとですね、今度はですね「日本が抜けたらどうするの?」とか「抜けられるの?」というような議論が真面目におこなわれるんですね。だってこの表を見てかるように、もう既にアメリカとカナダが抜けております。マイナスの国はみんな抜けてるわけですね。ですから、構わないんですけども・・・まぁ、そういうことなんですね。
それから国際的な音痴という意味もあるでしょうね。ロシアが+38%を獲得したのは、ロシアがドイツに対して、「天然ガスを供給してあげるからCO2のほうは少しくれよ」という取引があったことは良く知られています。そういうことがあってですね、結局のところ、色々な国際的な策謀に、日本だけが乗り遅れ、そしてまたそれをキチっと論評するテレビも新聞もコメンテーターも評論家も、実はかなり高度なことを書いている雑誌もそれに触れない、ということなんですね。
これはどうしてかと言いますと、私が言っている様なことというのはですね、かなり高級な雑誌にも載せないんですよ。何故載せないかといったら、事実は載せないんですよ。つまり、事実は載せないという非常に固い決意が…日本のテレビ・新聞は勿論、大衆が相手ですからあるんですけれども、かなりレベルの高い専門家を相手にするものでもそうなんですね。これをですね、今後本当に事実をキチッと書く雑誌というものが出てくるかどうか。それはですね、雑誌の編集者が、やはり日本の空気的事実になってしまう・・・といことがですね、原因になっているわけです。
最初からあまり飛ばさないで、今回、「地球温暖化でCO2削減しているのは、世界で日本だけだ」と、これは今155カ国ぐらい参加したんですが、京都議定書に。「日本だけである」ということを、どうしても日本は国民認めません。何故認めないかというと、日本は事実を認めません。【空気的事実】、日本の社会の中で「これが事実である」という風に幻想として決まっているものを、守らなければいけない!という堅い決意が日本人にあるからです。
(文字起こし by 大和魂は死せず)