熱中症を人質に取る作戦を続けるなら、来年は犯罪に | お手伝いさんたちのブログ

お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

熱中症を人質に取る作戦を続けるなら、来年は犯罪に (7/26)




福島原発事故が起こった2011年の夏に続いて、今年も夏になると電力会社の経営の失敗(原発問題)の尻ぬぐいを国民に強いている。このブログに書いたように、日本はもともと電気生産量を3億4000万キロワット程度にしなければならないのに、電力会社がサボって1億8000万キロワットしか生産していなかったことに起因している。


これから毎年、夏になると電力会社の経営失敗の尻ぬぐいをさせられるのはかなわない。政府は完全に電力側に立っていて国民には電力の召使いの役割を強いている。NHKは電力会社側にたって「なぜ、節電しなければならないのか?」にはいっさい触れず、「節電しない国民は非国民だ」というような勢いで節電を宣伝している.



節電して国民の活動量を減らすならまずNHKが「節NHK」、「断NHK」を実施して欲しい。それなら誤報が少なくなるし、受信料が減るので国民は大喜びだ。



ところで、原子力を後退させるためには、火力発電所の復旧、増設、自家発電の強化を最優先しなければならない。私は石油、石炭、天然ガスは当面、無くならないとの見解だが、もし500年後になくなるという考えを採用しても、原発が使えなくなった今、それに変わるのは技術が確立している石油石炭天然ガスが妥当であるのは、異論もないだろう。



しかし、現実には「電気が足りないから毎年我慢することになる」という脅しのもとで「時間のかかる自然エネルギーに税金を投入するか、原発を再開するか」という「悪い方向」だけを選択させようとしている。それが先日、中部電力課長の驚くべき発言になった「エネルギーの選択肢」の議論である。



資源が豊富にあり、世界が例外なく火力発電の増強に進んでいる中、そのデータを報道せずに日本だけを別の方向に進ませようとしている.私も講演していると、多くの国民がこれまでの報道によって「資源はなくなる」と錯覚していることがよくわかる.



また、「当面は資源があるのではないか」と考えている人も、「化石燃料では電気代が高くなるから」と心配している。原子力発電の売上高は1年に5兆円、それに税金5000億円を投入していた。これを当面、電力会社は原発の運転を止め、経営失敗の責任をとって新規火力発電については収益を期待しないとする。



その他の火力発電での収益は3分の2をしめるから、電力会社の経営責任を「3分の1の収益減少」とすることを意味する.これほど日本を混乱させたのだから納得性があるだろう。



原発の廃炉、核廃棄物の処理、格納にこれまで原子力の開発などに使用していた税金5000億円を投じ、青森の再処理工場の運転を停止すれば、原発の停止に関して余分な出費はない.青森の再処理工場は原爆を作るためで、放射性物質で汚染されたものは2.6倍になるのだから、処理をしない方が格納する使用済み核燃料は減少する.



仮に国民が核兵器の保持を希望した場合、軍事費で支出するべきであり、電力費を核兵器に流用するのは、どのぐらいの経費が国防にかかっているか、歯止めができるかなどで困難を生じるからだ。



原発の処理を現在の税金の範囲でできるので、コスト面での火力発電の増設は「通常の電力会社の増設計画」でできる。つまり電気代のアップはないということだ。



・・・・・・・・・



すでに2011年4月の東京電力の計画停電の時には約2000万キロワットの電力生産量の隠蔽があった。2012年夏の関西電力の電力生産計画にもインチキが見つかっている.なんとしても原発を動かしたい電力が全力で偽装している.



そのために「電気が足りない」と国民を恐喝しているのが現状である.熱中症で倒れた人の補償は電力会社とNHKがしなければならない。というのは、事故直後から火力発電の増設に努力していれば、来年ぐらいから電力不足はなくなるからである.



どの製造業も、「供給責任」というものがある。国民が欲しい物は計画的に、事故を起こさないように工場を動かして、供給しなければならない。地域独占の電力会社はさらに競争がないのだから、現在の1億8000万キロワットではなく、3億4000万キロワットまで増設するのが当面の急務だ.



日本政府は、お金をもらっているからかどうかは不明だが、本来、国民に向かって「電気は充分に供給できますから、快適な夏を過ごしてください」と呼び掛け、その一方で電力会社には「はやく火力を作れ.供給責任を果たせないなら地方独占権を剥奪する」と言うのが筋だ。政府は国民を向いていない.



このままでは国民は「電力会社の故意の怠惰によって、毎年脅迫を受ける」という状態になるので、公正取引委員会は警告を発し、検察は犯罪になるかどうかを検討すべきである.


(平成24年7月26日)




--------ここから音声内容--------




福島原発が去年爆発をしまして、去年は緊急であるということで電力制限が夏に来るんではないかとずいぶん心配されたわけでありますが、今年も夏になりまして電力会社の経営の失敗ですね、原発問題、この尻拭いを国民に強いているのが現状であります。すでにこのブログに書きましたように、現在の日本の電力生産量は1億8千万キロワットでありますが、これは原発も入れてですね。





元々日本はですね、電力生産量3億4千万キロワット程度にしておかなければいけないのに、電力会社がさぼったという経営責任にプラスして、原発の爆発という経営責任があると、二つですね。ところが、一向に電力はその経営責任を取ろうとしておりません。そうなりますと毎年ですね、夏になると電力はですね、自分たちの経営失敗の尻拭いを国民にさせるということになります。





夏ばかりではなくてですね、産業が電気がほしいって言うと「節電しろ、節電しろ」って言うでしょう。ところがこういう時には政府がですね…特に経済産業省なんかがですね、どんどん電力に発破をかけるのが普通ですが、政府も完全に電力の召使いになっているということであります。で、NHKはもちろん電力会社側に立ってですね「なぜ節電しなければならないのか」というこれまでの電力のさぼりを一切放送せずですね、「節電しない国民は非国民だ」という勢いで、節電を毎日のように宣伝しております。





これでは日本はなんにも解決しません。まず原子力を後退させるっていうことが決まってなくてもですね、まず後退させる時にはどうするかということは電力会社にとっても非常に重要な義務なんですね。これ供給責任がありますから。そのためには火力発電所を復旧したり、増設したり、自家発電…企業の持ってる自家発電を強化するということを最優先にしなきゃいけません。





私は石油・石炭・天然ガスは当面なくならないという考えを持っておりますが、もしもこれから500年後になくなるというふうに思ってる人であってもですね、原発が突然使えなくなった今、それに代わるのが技術が確立している天然ガスとか石炭を使うっつぅのが妥当であるっつぅのが、これはもう誰も異論がないと思います。





ところが現実にはどう進んでるかっつうと、まことに奇妙にはですね、「電気が足りないから毎年我慢するんだ」という脅しのもとでですね、時間のかかる自然エネルギーに税金を投入しようとしてる、と。で、「自然エネルギーがイヤだったら原発を再開するぞ」という悪い方向だけですね、エネルギーの選択肢を決めてそれを国民にチョイスさせる、選ばせるということをしてるわけですね。





その中で先日中部電力課長がですね、「福島なんか誰も一人も死んでないんだからいいじゃないか」という発言をする、これはもうほんとに電力会社の悪らつなですね、方向性がはっきり見えますね。実は世界では例外なく火力発電所の増強に進んでるわけですから、日本のように原発の事故が起こった国がですね、火力発電所の増強をしたって何も不思議じゃないんですよ。しかし日本はあまりに長くNHKを中心としたですね、「資源がなくなる、節約しなきゃいけない」という宣伝でですね、もう洗脳されちゃってるんですね。





またですね、「資源はあるよ」というふうに思ってる人が多いんですが、これに加えてですね、「電気料が高くなるから、それで燃料買わなきゃいけないから」とか言ってる人がいるんですが、これ違います。なぜかっていうとですね、原子力発電の売上高はだいたい一年に5兆円なんですが、それに税金5千億円を投入しております。





この場合ですね、電力会社が原発の運転を止めて、経営責任を取って新規火力発電所をやりますとどうなるかというとですね、火力発電所の収益は全体の2/3を占めるわけですから、電力会社の経営責任は1/3の利益減少っていうことになります。これはですね、原発事故でこれほど日本を混乱させたんですから、あまり納得性があるっていいますか、あんまり反対ないでしょうね。電力会社の収益が2/3になるってのは仕方ない。





それから原発の廃炉、核廃棄物の処理、格納っていうことに関してはですね、原発も事故を起こして少し電力会社が弱くなったのでですね、これに税金5千億円を投じたらいいんですね。今も5千億円使ってんですから。それから青森の再処理工場の運転を停止しなければいけません。この二つをすればですね、原発の停止にプラスアルファの金は必要ありません。





青森の再処理工場は原爆を作るためにやってるわけですね。ですからこれをやめればいいわけです。この再処理ってのはですね、みなさん放射性物質が減ると思ってますけども、実はこの再処理で2,6倍になるわけです。これは核爆発させる…核爆弾を作るためのものですから仕方ないんですけどね。





もしも仮に国民が核兵器の保持を希望した場合はですね、これは軍事費で支払うべきだと思いますよ、僕は、ええ。やっぱり核兵器は軍事ですから。この軍事に使用する核兵器のコストをですね、電力費の中に入れるってのは問題ですよ、これ。こんなことしてますとね、歯止めもできなければ何がなんだかわかんなくなっちゃうんですね。





で、それ以外のこと、つまり火力発電所面についてはですね、燃料を買う代金なんかないんですよ。つまり電気代をもらえるんですから。このごろ変なんですよ。「原発をやめて火力発電所をやると、燃料を買うコストがかかる」って…いやそれは電気代で払ってるんですよ。これトリックですからね。間違えないようにして下さいね。電気代がキロワットアワーあたり20円するってことは、その中に燃料費入ってるんですよ。プラスしていくらいるっつぅのは関係ないんですよ。





電力会社にしてみれば火力発電所を造って燃料買えば、燃やしたらすぐ電気代として入ってくるんですから。だから「火力発電にすると燃料代がいくらかかる」なんて全部ウソですからね、これ。ひっかからないようにして下さいね。それは「タダで売れば」ということですね。火力発電所を新しく造って、石炭を買ってきて燃やしたら、「タダで売れば」確かに燃料費としてかかりますよ。だけども、タダじゃないんですから。全然関係ない。通常の企業の増設計画の中に入ります。電気代のアップはありません。火力発電所にしたから電気代のアップはありません。これハッキリしとかなきゃいけません。





それからもう一つはですね、すでに去年2011年の4月の東京電力の計画停電の時には、本来7千7百万キロワットの生産能力がありながら、隠蔽をしました。約2千万キロワットを隠しました。今回2012年の夏の関西電力の電力生産計画にもインチキが見つかっております。これはどうしてかって言いますと、どうしても原発を動かしたいので少なめ、少なめに計算するんですね。





その少なめっつぅのが1%、2%じゃなくて、10%、20%のオーダーで計算間違えをしてるっていうことですね。これはですね、間違った計算を故意にして、「電気が足りない」と国民を恐喝してる状態なんですよ。だからまずは熱中症で倒れた人の保障をですね、電力会社とNHKがしなきゃいけませんね。誠実性のある会社であれば、事故直後から火力発電の増設をしてるわけですから、もう来年ぐらいから電力不足なくなるわけですよ。





これはですね、マスコミの人がよく知らないのかもしれませんが、自動車であれテレビであれ、もちろん食料のようなものはですね、供給責任つぅのがあるんですよ。必要なものほど供給責任強いんですね。車だったらまだ少し我慢すればいいとも言えるんですけども、なくてはならないものは供給責任があるんですよ。これはもう計画的に増設もし、事故を起こさないように工場を動かして、非常に重たい責任が会社に課せられてるんです。





だいたい電気は絶対必要なんですよ。しかも地域独占ですからね。これが供給責任がないなんて今の話はまったくないんですよ。だからまずは私が言っているようなことですね、1億8千万キロワットを3億4千万キロワットまで増設し、しかも事故が起こらない、絶対電気は節電しなくていいという状態にする必要があるんですよ。節電するかどうかは国民側が決めることであり、電力側は節電を強要しちゃいけないんですよ。





ところで、日本政府はお金をもらってるかどうか何が原因かわかりませんけどね、本来は国民に向かっては「電気は充分に供給しますので、快適な夏を過ごして下さい」と呼びかけて、その一方で電力会社にはですね、「早く火力(発電所)を造れ」と、「供給責任を果たさないような会社だったら、地方独占権を剥奪するぞ」というのが筋なわけですね。当たり前です、そんなの誰が考えても。





そうしますとね、このままでは国民は電力会社の故意の怠惰、さぼりによって「電気がなくなるぞ」っていう「不足するぞ」っていう脅迫を毎年受けるってことになるので、もう今年の夏が過ぎたらですね、公正取引委員会は警告を発し、検察もですね「恐喝罪にならないのか」ということを検討すべきですね。これはもうこういう方法でやらないとね、中学生をですね、あの…なんか取り調べるよりかはですね、これはもう検察はもっとデカいものに挑戦して下さい。





「電力会社は恐喝してんじゃないか」、「供給責任を果たしてないんじゃないか」、こういうことをですね、公正取引委員会、検察などですね、動くべきであって、中学生の事件も大切ですけど、中学生の方は教師に任せといて、むしろ(音声がここで途切れていました)