子供を守ることはストレスにならない(政策と報道の大転換に期待する) (7/24)
福島原発事故が起こって以後、政府、福島県、福島医大、マスコミ、識者は統一して「親が子供を守ろうとするとストレスがかかる。情報は隠した方が良い」ということで終始一貫していました。
スピーディー、事故直後の風向き、空間線量率、再飛散、食材の汚染、校庭の汚染と運動による被曝、学校行事での被曝、給食からの内部被曝、子供の健康診断の結果など、本来なら子供を守る上でもっとも重要な情報が公開されませんでした。
しかし、人間を含めた生物にとって「子供を危険から守る」というのは本能中の本能で、それがストレスになるのではなく、むしろ「子供を守ることができない」という方がストレスになります。
どんな動物でも必死で我が子を守ります。事故後1年半も経ったのですから、それがストレスになるというのはきわめて特殊な考えであることに気がついてください。
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政府と福島県が「親に危険を知らせる」ということを始めるためには、「基準」を決めなければならないでしょう。これまでの法規では「外部被曝と内部被曝を合計して1年1ミリ」ですが、これを守ることが難しい場合には、ICRPのような外国の任意団体に責任をかぶせるのではなく、日本として「何ミリシーベルトまでの被曝」を決めて、「それ以上になる場合は避難」という方針をハッキリさせる。
今は、法規で1年1ミリ、山下さんや福島県に派遣された政府関係の専門家が1年100ミリと言われ、あまりに幅が広く、その判断を親に任せているという状態です。
政府が一貫して1年100ミリ以下として、責任を持つならそれも一つの判断ですが、食品の基準は内部被曝だけで1年1ミリ、小学校の校庭が1年20ミリ、厚生労働大臣は1年1ミリ、それに2011年10月に改正された放射線障害防止規則では1年1ミリとバラバラです。この状態で「子供を守るのは親の判断」というのは不適切です。
避難基準も、法規では1平方メートルあたり4万ベクレルですが、福島の3分の1は法規の基準を超えています。これについても政府は確たる判断基準を示す時期にあります。
すでに事故から1年半を経て、汚染状態も明確になっています。また事故以来、たとえば福島市で中学校に通い、校庭でスポーツをしていた生徒がどのぐらいの被曝になったかは「生徒の立場で正確に」計算することができます。
汚染は今後30年は続くのですから、親が子供を守る参考にするためにも、
1)政府が基準を示す、
2)すでに基準を超えた人を退避させる、
3)今後、基準を超えそうな人の退避準備をする、
4)汚染地域に住み続ける人の防護方法を提示する、
などがすぐにでも必要と考えられます。
このような基準作りや被曝計算に当たって、専門家は職務に忠実に、学問的な目的以外の目的を持たずに誠心誠意、職務に忠実になってください。それこそが「迷信や村八分」などが無く、明るい「科学技術立国」だからです。
日本国憲法には「健康で文化的生活の権利」が定められていて、子供の健康を守るのは政府と親の責任でもあります。指導層の方が現実から逃避せずに正面から子供の健康を守ってください。
そのために第一歩として、徹底的な情報公開から始め、並行して基準作り、被曝計算、今後の対策を進めるべきと思います。増税議論はそれからで良いと思います。中部電力課長が「福島の事故で死者が出ないから問題が無い」と発言したのは、このような曖昧な状態を続けていることにも原因があります。
(平成24年7月24日)
--------ここから音声内容--------
この教育問題、今いじめの問題とかですね、もちろん原発の問題、増税の問題、それから政権の問題。ま、この現在日本はですね、色んな意味で政策の大転換を迫られてると思います。これはですね、今まで「まあまあなあなあ」でやってきた日本社会が、大きな変革期にあるということを示してると思います。このブログでもですね、中部電力課長の発言以来、少し形を変えまして真正面から問題点に取り掛かっておりますが。
例えば、「電力費の適正な決め方」もしくは「今後どのような生活のパターンでやってくか?」 「国際競争をどのようにやってくか?」というような問題を取り上げてまいりましたが、今日はですね、「原発の問題」ですね。これにも、政策と報道の大転換を必要とすると思います。福島原発事故が起こって以来、政府、福島県、福島医大、マスコミ、有識者は統一しまして「親が子供を守ろうとするとストレスがかかる」と。「したがって情報は隠した方が良い」ということで終始一貫してまいりました。
例えば、スピーディーの問題…隠した問題、事故直後の風向きを気象庁と気象学会が隠した問題、空間線量率を公表しなかった問題、セシウムの再飛散を報道しなかった問題、食材の汚染、校庭の汚染、そういうことによる児童の被曝、学校行事の被曝、給食からの内部被曝、子供の健康診断の発表など、本来子供を守る上で最も重要な情報がほとんど公表されずに来ました。
しかしですね、人間を含めた生物にとりまして「子供を危険から守る」というのは本能中の本能でありまして、これがストレスになるはずはありません。「子供を守る」ということは、親にとっては当然のことですね、それがストレスになる親ってのはありません。むしろ「子供を守ることができない」という方がストレスになります。どんな動物でも必死になって我が子を守るわけですね。事故後1年半も経つわけですから、それでもまだ、現在に至ってもですね、「情報を公開することがストレスになるというのはきわめて特殊な考えである」ということを政府ならびに関係者は気がついていただきたいと思っております。
福島県と政府がですね、「親に危険を知らせる」ということをまずするためにはですね、「基準」を決めなければならないと思いますね、国ですからね。これまでの法規では「外部被曝と内部被曝を合計して1年1ミリ」というのを危険な基準にしております。これをどうしても守れないというのならですね、政府はICRPのような外国の任意団体ですね、NPOに責任をかぶせるんではなくて、「ICRPが20ミリと言ってたから」なんて言うんじゃなくて、日本として「何ミリシーベルトまでの被曝である」と、「これ以上は避難するんだ」というふうにハッキリさせなければいけません。
現在はこれどういうふうになってるか?と言いますとですね、法規では「1年1ミリ」なんです。しかし、山下さんとか福島県に派遣された政府関係の専門家はですね、非常に積極的に「1年100ミリまで」と言っております。あまりに幅が広いんですね。法規で「1年1ミリ」、専門家は「1年100ミリ」。じゃ、どっちを取るかは、親に任せてるんですよ、判断を。で、政府もですね、一見すると「1年100ミリ以下」ということを言ってるように見えますが、実は違うんですね。食品の安全基準は「内部被曝だけで1年1ミリ」でありまして、これは内閣の食品安全委員会がやっております。
それから、小学校の校庭は「1年20ミリ」という基準ですが、これは文部科学大臣ですね。ところが、新任の厚生労働大臣は「1年1ミリである」と言ってます。また、2011年の10月に改正された放射線障害防止規則では「1年1ミリ」が保持されました。全くバラバラですね。お役所によって「1年1ミリ」から「1年20ミリ」、「1年100ミリ」まであると。この状態で「親に子供を守る判断をしろ」と言っても無理なんですよ。
避難基準もですね、法規では「1平方メートルあたり4万ベクレル」ですけども、この基準を守ると、福島の3分の1ぐらいが法規の基準を超えます。これについても「移動する人は勝手に移動しろ」と、こういう態度でありますが、(政府は)判断基準を示すべきですね。すでに事故から1年半が経ちまして、汚染状態も確定してきました。また事故以来、たとえば福島市でスポーツをやっている中学生はどのぐらい被曝したか?ということも、計算で分かるような段階にあります。
そしてこの(汚染の)状態はですね、少なくとも30年は続くわけですから、親がですね、「1年1ミリ」なのか「1年100ミリ」なのか分からない。「それは自分で判断しなさい」と政府が言う。もしくは「1平方メートルあたり4万ベクレル以上の所で住んでいいのかどうか」も政府が明示しない。これではですね、非常にまずいと思います。
まず第一に、「政府は基準を示す」ことですね。それから基準を示したら、その基準をすでに超えてる人を避難させなきゃいけません。それから、今後基準を超えそうな人の退避の準備をしなきゃいけません。それから、どうしても汚染地帯に住み続ける人の場合は防護方法を提示しなければいけません。このようなことこそ、政府が直ちに行うべきことであってですね、法規では「1年1ミリ」、政府は「1年100ミリまで」と言って曖昧なことを言ってですね、「あとは親が判断してください」なんて、そんなことはですね、到底許されるもんではありません。
これから基準作りをする場合にですね、専門家は職務に忠実になって、学問的な目的以外の目的を持たずに誠心誠意、職務に忠実に、判断基準を決めてもらいたいと思います。こういう曖昧なことだからこそですね、原因指定、迷信が起こったり、村八分が起こったり、「お前は放射線が危険だと言うのか」といじめられたりするわけですね。やはり科学技術的なことでキチッとやらないと、明るくはなりません。
それからもう一つは、勿論その、よく言われる日本国憲法での「健康で文化的な生活をする権利を有する」と。子供の健康を守るのは政府と親の責任であります。子供も日本人の一人でありますから、子供の健康と文化的生活を守らなければいけません。現在は、個別の親に判断を委ねて、指導層が逃げてるという状態ですから、これをまず解消する必要があります。
まず、徹底的な情報公開を始め、並行して基準を作ります。「1年1ミリ」でも「1年10ミリ」でも「1年100ミリ」でも、とにかく政府が責任を持った基準を決めて、仮にですよ、「1年100ミリ」としたら、食品の基準も変えなきゃいけません。それから、現在動かしている原発の基準も変えなきゃいけません。それから国際基準も「1年1ミリ」ですから、輸出入も止めなければいけません。これをハッキリとしないとですね、何しろ曖昧にして親に責任をかぶせるということではいけないと思いますね。それからこれは非常に急ぐので、増税の議論は一時棚上げしてでもですね、やる必要があると思います。
中部電力課長がですね、「福島の事故は死者が出ないから問題が無い」と発言したわけですが、これはまさにですね、日本の中に基準が無いからなんですよ。「どのくらいがいいのか、どのくらいが正しいのか誰も知らない」と。「個人個人の親に責任をかぶせて、子供が仮に病気になったらそれは親の判断の責任だ」と。政府は、1年1ミリから1年100ミリまで、あらゆる機会に違うことを次々次々と言ってですね、そして「もしもお子さんが病気になったら親の責任ですよ」と言ってるわけですね。こんな政府はありません。
っていうのはですね、放射線をどのくらい被曝したらどうなるか?という危険性はですね、専門家にしか分からないわけですね。一方、専門家は「厳しい」と言う専門家もいるし、「安全だ」という専門家もいるわけですね。政府はそれを放置しておくということは、責任逃れですね。これは大きく政策を転換する、それも大至急ですね、多くの日本人の命がかかってますから大至急やっていただきたいと思います。
(文字起こし by haru)