だまされるエネルギー5 素人参加のエネルギー基本政策の可否 (6/28)
何でもアメリカに学ぶのは問題ですが、どう見てもアメリカの方が国益を考え、戦略もシッカリしている場合もあり、それを学ぶのは日本にとって良いことと思います。
その時に「アメリカがこうしているから日本も」という短絡的な事ではなく、日本的な特徴を活かしてアメリカの言動を参考にするのが大切と思います。
この図はアメリカのエネルギー計画ですが、基本的に化石燃料(既存の石油・石炭・天然ガス)でまかなうようにできていて、原子力、まして自然エネルギーなどは脇役です。アメリカがなぜこのような計画なのか日本人も考える必要があるでしょう。
つまり、アメリカではDOE(エネルギー省)が100年後、30年後のエネルギー計画を立て、それに基づいて政策が決定されます。エネルギーというのはかなり難しいので、専門家がよく考えて議論をして、それが骨子にならないとなかなか成功しません。日本のように「温暖化が怖いから原子力」(数年前)、「原発事故があったから太陽光」(2011年)などとネコの目のように変わっていては国の力は伸びません。
また、一般の人がエネルギーを考えるのは良いことなのですが、そのときは第一にマスメディアが正しく伝えること、第二に一般の人も国際情勢、資源状態をよく調べて議論することが大切です。このブログで苦言を呈したように、女性の指導者のように「わたし、何も知らないけれどよい子になりたいから自然エネルギー」という論理では国を滅ぼすことになります。
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でも、そのための前提がありますが、それは国の方で議論するときに専門家が「御用学者」でないことが必要です。でも、私がその生き証人であるように、現在の日本では「御用学者でないと国の政策を議論できない」という制約があります。
まず第一に日常的な研究費を獲得するためには、国かもしくは国に直結している学術振興会などに申請しなければならず、「国の政策に反する研究提案」が認められる可能性は低い。つまり、「研究費を多く獲得し、研究成果をあげている学者は基本的に御用学者」という体制ができあがっている。
第二に、たとえ国の委員に任命されていても、批判的なことを発言すると呼ばれない。辞令を首相からもらっても役人が出席を決めているからだ。
だから、御用学者が「お金をもらうため」にエネルギーを議論するから、もちろん「化石燃料は枯渇する。CO2で温暖化する」という前提だから学問的な議論は不可能であることがわかる.従って日本では「国のエネルギー政策を高い学問的レベルで議論して決める」ということができない。
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このように考えると、現在の日本でもっとも望ましいエネルギー政策は「民間に任せて補助金を出さない」ことにつきる。なにしろ東電は巨大なお金を持っていた。現実的には経産省も東電の部下だったことからわかるように、エネルギーの転換をすることは容易だ。
「エネルギーは国が決め無ければならない」というのは幻想で、現在のように東電、トヨタ自動車、新日鉄のような巨大会社が存在するので、民間がエネルギーを選択すれば赤字になりたくないので、自然に最も効率的なエネルギーが決まる。
電力費の0.20%の研究費で運営していた電力中央研究所が太陽光発電を開発していなかったのは「意味が無いから」である。
(平成24年6月28日)
--------ここから音声内容--------
えー今日はですね、日本で今議論されているエネルギーの問題ですね、これについて一つちょっと簡単な提案をさせていただければと思って書きました。
何でもアメリカに学ぶっていうのは問題で、私もそれで随分色んなことに関与しました、教育とかですね。「アメリカがこうやってるから、それをやれ」という短絡的な事はいけないんですが、アメリカを参考にするっつうのは良いと思いますね。
この図は、既にこのブログで示しました、アメリカのエネルギー計画ですが、基本的には化石燃料…その中でも勿論、石油・石炭・天然ガスなどで、基本的には賄うようになってます。例えばメタンハイドレートなんか悪いっていうわけじゃないんですが、基本的にはそういうものが出てきたら使うというスタンスですね。原子力とか、まして自然エネルギーなんか全く脇役ですね。
私、日本の経営者に時々お話しするんですが、やっぱり日本の経営者はですね、アメリカとの関係も深いので、「こういったアメリカの考え方(を)参考になさったらどうですか?」というようなことをよく言うんですけどね。まぁアメリカではDOE…エネルギー省が100年後とか30年後のエネルギー計画を立てます。こういうふうに公表されて、よく議論されます。日本にも資源エネルギー庁っていうのがあるんですけど、まぁ非常に貧弱な、嘘ばかりの役人のグラフでですね、専門性が無いんですよ。
つまり、エネルギーってのは、非常に難しいんですね、考え方が。例えば、電気はエネルギーじゃありませんしね。「電気がエネルギーじゃない」ってことでも日本ではなかなか、こう一般的には通用しないんですが、やっぱりエネルギーっていうことを考える時にはですね、やっぱりエネルギーの基本とかですね、動力、エントロピーっつったですね、どうしてもエネルギーの政策を決める時には必要な事がですね、ちゃんと理解されてないとですね、やっぱりそれは間違えちゃうわけですね。
あのこの前ちょっと私、ご婦人に厳しい事を言ったんです。「わたし何も分かりませんが、これが良いです」って言うやつはダメなんですよ。やっぱりそれは、例えば、そんなことで飛行機飛ばせば墜落してしまいますしね、新幹線を動かせば転覆しちゃうわけですよ。やっぱりこういった技術っていうのはですね、「技術の知識」っていうのは、どうしても必要なんですね、ええ。
それにあの、そういうまぁ素人考えっつったら、これちょっと問題なんですが、「温暖化が怖いから原子力にする」と数年前言ってですね、今度は「原発事故があったから太陽光発電だ」って言うようではですね、やっぱり日本の子ども達可哀そうですよね。どんどん国の力が無くなっていきますから。
これ難しい問題はですね、一般の人がエネルギーの事を考えるのは非常に良いんですよ。だけどもその為にはですね、マスメディアが正しくその情勢を伝える、と。例えば資源量とか。日本では石油・石炭・天然ガス無くなると言ってますけども、こんなのは世界的に全く通用しませんし。それから一般の人もですね、自分で国際情勢とか資源状況っていうのを調べる、と。
それからさっき言ったように「わたしは何も知らないけど、よい子になりたいから自然エネルギー」っていったですね、そういった議論はほんとに子どもに可哀そうですよね。そんなこと言ってたらですね、もう我々の子どもの世代はですね、日本はエネルギーを獲得できなくなっちゃいますからね。
ところが、もう一つ難しいんですよ。国でもし専門家が議論する時にはその専門家が『御用学者』じゃないことが必要ですね。ところが、現在の日本では「御用学者でないと(国の)政策を議論できない」んですよ。その理由は二つありまして、一つはですね、日常的な研究費を確保するためには、どうしても国の認可、もしくは国と直結している…例えば学術振興会などに申請しなきゃなんないので、「国の政策に反する研究提案」は、ほとんど認められません。
だからその結果ですね、研究成果をあげている学者は研究費を取らなきゃいけませんから…これは工学の世界、技術の世界ですから、どうしてもそうなるんですね。僅かな本とペン一本じゃダメで、実験を伴った色んな事が必要ですから、お金が要るわけですね。そうすると、「成果を上げてる学者は基本的には殆ど全部が御用学者」という悲しい現実が一つあるわけです。
それからもう一つはですね、これは私が生き証人なんですけども、国の委員にたとえ任命されていてもですね、批判的なことを発言すると呼ばれません。私はまだ首相からもらった辞令がですね、今年の10月まで効いているんですけど、去年からもう政府を批判してるんで役人が呼んでくれないんですね。だから、首相よりか役人が偉いんですよ、現実は。そうしますとね、もともと『御用学者』じゃなくちゃ呼ばれない。
例えば、少し違う人が呼ばれても、ちょっと批判的な事を言うと出席に呼ばれないってことでですね、結局、日本のエネルギー議論は「自分がお金を貰うために発言するっていう御用学者」になっちゃうんですね。だからもう「化石燃料は枯渇する」とか「CO2で温暖化する」っていう利権関係の議論でやりますから、だからダメなんですよ。
じゃあこれどうするか?っていうことですけども、私の提案はですね、素人が考えてもダメ。エネルギーは難しいですから。それから、国が考えてもダメ。御用学者が出てきますから。そこでですね、一番良い方法は「民間に任せる」ということですね、次のエネルギー。だって「民間」って言いましてもね、今、東電とかトヨタ自動車とか新日鉄とかいう巨大な会社はいくらでもあるんですよ。まぁそういう会社はですね、次の時代のエネルギーを自分のとこでやりたいと思っているわけですから。
「エネルギーは国が決めなければならない」なんてのは幻想なんですよ、ええ。むしろ国よりかですね、大きな民間会社の方が、資金力があるくらいなんですよね。例えば電力費の0.20%の研究費で運営している電力中央研究所がありますが、ここは太陽光発電をほとんど研究しておりません。なぜかっつったら「意味が無いから」ですね。
だから、やっぱりですね、この場…一番良いのは、勿論「御用学者じゃない立派な先生がおられる国であれば」ですね、こういうエネルギーのようなことは、基本的に国の委員会で色々揉んで、若干の指導もして…政策指導もして、そして民間が判断するという、そういうような構造になるのが一番良いんですね。ただ、日本の場合は今言いましたように、マスコミが事実を報道しない。外国と全く違う状況になっている、認識がですね。
まぁ例えば、温暖化でCО2を削減してるのは世界で日本だけとか、そういう非常に特殊な状況にある。節電も日本だけやってるという、そういう非常に特殊な状況にある。御用学者がいて議論ができない、と。そういうような状況の中で、どうしたら私たちの子どもの時代にも日本のエネルギーが安定して確保できるか?ということをですね、議論する必要があるんですね。
私はこのエネルギーの議論の中で、例えばこんなことを経験しました。ある御用学者の人がですね、「外国からエネルギーをどんどん輸入している状態を非常に不安定でエネルギーセキュリティーが無いので、バイオマスをやろう」とかなんか言った時があるんですよ。私ね、「なんでエネルギーセキュリティーが確保できないんですか?」と聞いたわけですね。そんなことないんですよ。あのー、食糧の場合は別ですけどね、食糧は自給率100%がひとつの基準ですから、どうしても食糧セキュリティーってあるんですよ。エネルギーはですね、その国で必要なエネルギーの何百%を生産してる国っていくらでもあるんですね。そういう国はですね、エネルギーっていうのは一つの産業なんですよ。
ですから例えば、自動車を作ってる日本が、「外国に自動車を輸出しない」なんてこと無いんですよ。それは有り得ないことはないですけど、非常に可能性が低いんですね。食糧とエネルギーを比較してますけど、エネルギーっていうのはですね、世界的に自動車生産だとかテレビなんかと同じなんですよ。別に特別な工業製品じゃないんですね。なぜかって言いますと、例えば石炭掘るにも非常に高度な技術が必要なんです。日本の技術…コマツだとかですね、それから川崎重工とかそういうところがどんどん進出して、そして技術を供給してるんです。相手の国から見たらですね、その技術が止まったらもうエネルギー生産も出来ないんですよ。
ですから、「技術立国である」ってことが非常に大事なもんであって、それは自動車生産だとか鉄鋼だとかテレビなんかと全く同じなんですね。ですからこれを、食糧…つまり第一次産業と比較してですね、やってはいけないんですね。もう今やエネルギー産業って全く第一次産業じゃないんです。第二次産業っていいますか、製造業なんですね。ですからそこのところも、いくらでも一般の人を騙せるんですよ、専門家はですね。ですからまぁここのところも、充分に考えて、この際ですね、日本の中のエネルギー議論を、エネルギー会社にまず投げかける、もしくは大会社に投げかけるというのがですね、最も良いのではないかと思います。
(文字起こし by haru)