だまされるエネルギー4・・・日本だけが夢見る乙女? | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

だまされるエネルギー4・・・日本だけが夢見る乙女? (6/21)




不思議なことに「自然エネルギー」というとなにか言葉の響きが良いのではないかと思いますが、女性の方の指導者が多いのに驚きます。「自然エネルギー***協議会」というような団体で活動している女性と時々、会うことがあります。



その女性の活動家は二つにわかれるようです。一つが純情でまじめなので新聞などでダマされている場合、もう一つはいわゆる確信犯で自然エネルギーが「日本の自然を破壊し、日本の産業をダメにする」ことを知っているのですが、そんなことには関心が無く、女性という立場を活かして、なんとなく環境を大切にするというスタンスで有名になったり一儲けする事を願っている人たちです。



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【第一】自然エネルギー自体の問題点
エネルギーにはエネルギー保存則というのがあり、日本の自然からエネルギー(太陽光、水力、風力、地熱、バイオ資源)などを採ると、日本の自然が痛むのは当然です.



歴史的に見ると現在の日本人が消費しているエネルギーは、日本の自然が痛む限度の30倍から500倍と計算されます.人間はもともと200年前まで自然エネルギーだけを使っていたのですが、産業革命以後、自然エネルギーを使うと自然を破壊するので石油・石炭を使うようになったという歴史があります。「自然エネルギーは日本のためになる」と社会に対して言う人は歴史的な経過、自然エネルギーと人口密度、日本のGDPと電力生産などについてシッカリした論拠を示す必要があります。



【第二】世界で日本だけ
日本では「化石資源(石炭、石油、天然ガス)は枯渇する」とされていますが、少なくとも世界でそのような前提で政策を切っている国はありません.アメリカは原子力が8%で、自然エネルギーは100年後まで5%を超えないレベルです.



また電源用のエネルギーのほとんどが化石資源を使いますし、燃焼によって生じるCO2(二酸化炭素)を減らそうとしているのも世界で日本だけです.
ここで重要なのは、エネルギーの選択は私たちの子供の生活、子供の時代の日本の発展に大きな影響を与えると言うことです。だから、「なんとなく格好いい」ではすまない問題だからです.



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日本の特殊な利権体質で、科学的に間違ったことを子供にも教えているということに日本の親も責任を感じる時期でしょう.タイトルなどに「乙女」とか「女性」などという言葉を使うのに若干、ためらいがありましたが、女性が社会で堂々と自らの意見を言う時代ですから、「女性だから世界の情勢を知らなくても良い.女性だから科学は無視しても良い」という事ではないと思います.



女性の活動を応援する一人として、社会に呼び掛けるときにはそれなりの責任を持つ必要があるでしょう。


(平成24年6月21日)




--------ここから音声内容--------




えー、日本でですね、原発がダメになったっていうことで、「自然エネルギー(太陽光、水力、風力、地熱、バイオ資源)」とかいう話があります。もともと勿論、石炭とか天然ガスっていうのは、あと1000年以上あるわけで、諸外国も全部これを使っているわけですから、別に日本が「自然エネルギー」とかなんとか言う必要は無いんですけども、言葉の響きが良いんでしょうかねぇ。自然エネルギーを女性の方が非常に多く支持しておられまして、「自然エネルギーなんとか協議会」なんていうとですね、だいたい女性が出てきたりするんですね。





この女性の活動家には二つあります。一つはですね、純情でまじめで、“エネルギー保存則”なんかをご存じないのでダマされているという場合が一つと。
もう一つはまぁ、確信犯ですね。自然エネルギーが「日本の自然を破壊するとか、日本の産業をダメにして子どもたち(を)ダメにする」ってことを知っているんだけども、まぁそんなことはどうでもいいと。自分だけが有名になりたいとかいった女性もかなりおられます。二種類おられますね、まぁ言ったりしていることを聞いてますと分かります。




簡単にですね、もしもこのブログをご覧になってる方で、「自然エネルギーが良い」と思ってるお方がおられたらですね、まぁちょっと、解説をしたいと思いますが、エネルギーっていうのは、“エネルギー保存則”…つまり、100のエネルギーがあったら、それを人間が50採ると、残りは50になるっていう、まぁしょうがないのがあるわけですね。まぁ風…風力発電所を立てると、その分だけ風が弱くなるっていうのが一番いいでしょうね…分かり難いからですね。





ところが今問題なのはですね、日本の自然っていうのは非常に弱いんですよ。なにしろ、この狭い所に1億2500万人も住んでるもんですから、ダメなんですね。かつてイングランドがですね…イギリスですね。200年前に、自然エネルギーで破綻したんですよ。そりゃ勿論、今と技術違いますけどね、このバランスは同じなんですよ。エネルギーっていうのではですね、技術とかそういうもんとちょっと違うんですね。ですから、その、マスバランス…エネルギーバランスで決まるところがありましてですね。





で、これはどうしてか?って言ったら、産業革命で、やっぱり人間の活動力が自然を上回ったんですね。この状態は別に変わらないです。だから、どうしてもですね、ダメになる。石油・石炭をもともと使うようになったっていうのは、自然エネルギーが使えなくなったからで、その関係はまだ変わっておりません。私の計算ですと、だいたい日本の自然から採れるエネルギーに対して日本人が使っているエネルギーは約200倍ですね。非常にうまくやっても、まぁ50倍位までしかいきませんので、到底自然エネルギーが日本人の生活を潤すということはあり得ません。日本の自然だけが無残な姿で残るでしょうね。





それからもう一つは、やっぱり「化石資源(石炭、石油、天然ガス)」がいっぱいあるんですよ。「化石資源が枯渇する」と言ってるのはもう日本だけですね。他の国でそんなことを言っている所はありません。それから、「CO2(二酸化炭素)で温暖化する」って言ってるのも日本だけですね。言ってるちゅうか、制限してるのはですね。





だからまぁ私ですね、この特殊(な利権)体質をやっぱり女性の方にも考えてもらいたいと思うんですね。
やっぱり今は、昔と違って「女性だから私分かりません」っていう時代じゃありません。そのために子どもを守んなきゃいけません。このままですね、日本が「自然エネルギー」などとやったら、ほんとに子どもたちダメになっちゃいます、二つの面から。




一つは、自然がダメ…日本の自然がダメになる。
もう一つ、日本の産業がダメになって、子どもたちの就職先が無くなりますね。「女性だから科学分からなくて良い」っていうまだ風潮が少しあるんですよ。残念ですけどね。私はまぁ、そういう考えじゃないんですが、実際上、そういう方が多いというかですね。それはやっぱりですね、私はこの際ですね、もしもご意見を言うならですね、家庭じゃなくって社会に出て女性の方がご意見を言うならですね、「自然エネルギーって響きが良いから」というのではですね、やっぱり女性の信頼をまた失いますので、ここでひとつ書きたくなったと、こういうことですね。少し差し障りあるんですが、書きたくなったと、まぁそういうことであります。


(文字起こし by haru)