時事寸評・・・改造内閣所見 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

時事寸評・・・改造内閣所見 (6/5)




内閣改造が行われ、新大臣などが新聞に大きく出ている。これまでの日本の新聞の慣習によるものだけれど、このような取り扱いは「まとも」だろうか? 新聞はただこれまでの慣習に従って紙面を作っているだけではないだろうか?



今回の内閣改造の直接的な動機は防衛大臣などが問責決議を受けたことなどによる欠陥補修だが、もともと「国民の信任を受けていない「ズル」をしている政権」だから、内閣改造自体の意味が無いと私は思う。



日本国の内閣が内閣たるゆえんは「選挙で国民の信託を受けている」というのが大前提で、「選挙」をしても「信託」を受けていなければ内閣を作ること自体ができない。



野田政権自体、選挙で信託を受けた内容は「増税無き財政再建」であり、それに反する「増税に政治生命」では、選挙で信託を受けた内容ではないからだ。そしてそれは内閣自体が良く理解していて、「国民の信託を受けていないから、路線変更を国民に問う選挙をすると負ける。だから解散しない」としているのだから、自分たちが自ら「信託されていない」と認めている。



自分で「信託されていない」と認めていて、内閣を改造するなど無意味で、大臣も国民の信託を受けていないから、大臣ではない。それをいかにも大臣のように報道する新聞も問題だ。紙面の下の方に「新大臣一覧」ぐらいをつけておくのが適当だろう。



もっとズバリと言えば、「今の日本で詐欺をしても逮捕されないのは、首相ぐらいなものだ」と言っても言い過ぎではないと私は思いますし、こんなことでは若い人を教育することもできないし、日本の検察や司法があるとも感じられません。


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防衛大臣に防衛大学校を卒業した評論家が就任した。この人が「議員」でないことから「国民の信託を受けていない人が大臣で良いのか」という疑問が自民党から出ているが、これも2つねじれている。



一つは民間の大臣は許されているのだから、もともとお門違いであるということ、第二に民主党は国民の信託を受けていないのだから、内閣自体が信任を受けていない(国民の裏切り者が内閣を作っているという異様な状態)から議論自体が成立しない。



それより、「文民統制」という「文民」とは、どのような定義なのかハッキリしない方が問題だろう。つまり、直前まで自衛隊の武官で統合幕僚長のような人が大臣になるのは禁じられるのか、今回のように防衛大学校卒の人は制服組と同じなのか、なにが文官かを定義しておく必要がある。



まあまあ、なあなあの社会を止めないと、原発や大きなことを決めたり、実施したりすることはできない。まずは「先回の総選挙の無効」をハッキリさせて、解散を急がなければ日本の民主主義(選挙で公約したことを実施する責任がある)を守ることはできない。


報道の記者の奮起に期待したい。


(平成24年6月5日)



--------ここから音声内容--------




えーっと、内容的には軽いという事はありませんが、まあ短い論評って言いますかですね、時事寸評をまた書きたいと思いますが。内閣改造が行われて新大臣などのリストが新聞に大きく出てます。これはもう日本では必ずそうで、大臣が決まれば新聞の一面を飾るという慣習がある訳ですけども、本当に今度の内閣改造っていうのが新聞の一面を飾る様なもんなんでしょうか。





えー、内容的にはですね、まあ防衛大臣などの問責決議がある訳で、それの欠陥を補修するって言いますか、そういうものなんですけども。元々あの、この前の…ここでブログで述べたように今の内閣は国民の審判を受けて、信任を受けていない、「ズル」をしている政権な訳ですね。ズルをしている政権の内閣改造っていうのは意味が無い訳ですよ、ええ。





まあ日本国の内閣が内閣であるというゆえんはですね、選挙で国民の信託を受けているという事ですからね。選挙をして信託を受けてなければ内閣作っちゃいけないんですよ。ところが野田政権は選挙で信託を受けて無いですよ。何故かって言ったら選挙で信託を受けたのは「増税無き財政再建」なんですね。増税無くして財政を再建し、且つ、高速道路無料化したり、それから高校の無料化、授業料無料化したりするっていう事なんです。





それは政治に携わってみたら出来なかったっていうのは良いんですよ、そこまでは、仕方無いですから。謝って解散するっていう事ですよ。当たり前ですけどね。嘘言って選挙を通ってはいけないっていう事ですから。それがですね、政権にいたまま「増税に政治生命を賭ける」と言うんではですね、これはもう選挙で信託を受けた内容と大きく…というか逆ですからね。だったら自民党だったんですから。だからこれはやっぱりマズイ訳ですね。





自分たちは信託を受けてないから総選挙しない。総選挙すると信託を受けない事になるからやらないっていう訳ですから、自分自身でもう、国民に信頼されてないと言ってるのも同然な訳ですね。その内閣の改造をですね、報道が報道するべきなのかっていう事を僕はちょっとここで、まあ少し考えなきゃいけないと思うんですね。





報道はですね、「いやそんな事言ったって今までずっと報道してきたんだ」という事なんですけどね。だけどもそれはちょっと幾ら何でもおかしいんじゃないか、と。私はそう思いますね。やはり新聞も見識を示して、内閣改造の事実を伝えるのは構いませんが、新聞の一面の下の方に、新大臣一覧ぐらいを付ける、と。こんな感じでしょうね。





私はね、今の日本で詐欺をしても逮捕されないのは首相ぐらいのもんだ、と。まあこんな感じですよね。今の首相の行動は必ず、普通だったら詐欺ですよ、ええ。だって何か「こうします」と言って人からお金を貰うとか、まあ凄く首相っていったらお金っていったら凄いですからね。自分自身(首相)もそうですけども、お金の利権でもそうですね。それで実際はそれ(公約)と逆の事やっても逮捕されないっていうんですからね。





もう1つそれとちょっと簡単には、防衛大臣に民間の方が就任されました。評論家ですね。えーっとこれ議員でないから国民の信託を受けてない人は大臣で良いのかって自民党が言ってますけど、これも2つ捩れてますね。元々民間の大臣は許されてる訳です。許されてるって事は別に議員じゃなくて良いってことですね。だから全然お門違いだと、このコメントは。





それともう一つは民主党、元々が国民の信託を受けて無い訳ですから、ええ。今の民主党議員は受けてないんですからね。だから駄目だということです。




それからもっとこれ重要なのは、文民統制の文民っていうのは何かっていう事ですね。例えばあの、いくら今は『文』でも、直前まで自衛隊の武官であって統合幕僚長であった、と。(そう)いう様な人だったら大臣は駄目でしょうね。今回の様に防衛大学校卒であるという人は制服組なのかという事も決めておく必要がありますね。





つまり『文官』っていうのは何なんだ、っていう事を定義しておく、議論しておく、と。これも「まあまあ、なあなあの社会」なんですね。まあまあ、なあなあの社会では今度の原発とか、そういった事はやっぱ駄目なんですね。えーまずはですね、私はスタートするのは、どこからスタートするべきかっていうのは先回の総選挙は無効である、という事をハッキリさせる必要があります。





これは司法というよりかむしろ国会でしょうね。先ずは解散する、と。解散をしなければですね、もしこの内閣が任期一杯までやったらですね、私は、『選挙が無意味になる』という事ですから。これをですね、私は報道の記者がねえ、もっと積極的にやって欲しいですね。勿論あの、論説員にどのぐらい期待できるのか、ちょっと分からないんですけどね、新聞の論説員。だけどまあ本来は新聞の論説員とか社説も「解散しろ」と。「解散しなきゃ日本の民主主義はもう成り立たないんだ」と。





「選挙で何言っても良いんだ」と、それが重要政策…例えば5%から10%の増税だなんていう、非常に大きな政策、これをですね、原発の再稼動もそうですが、これを決めるっていうのはやっぱ出来ないですよ、ええ。そりゃね、それをやってしまったらですね、もう選挙で何言っても良い。例えば今度選挙で原発反対と言っておいて、当選したら推進に変わるって事はもう良いって事になりますからね。それはいけないですね。

(文字起こし by まあ)