原発の再開問題で、誰もが合意できる項目 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

原発の再開問題で、誰もが合意できる項目 (5/28)




原発の再開問題を「思想の対立」ではなく、民主的手続きに沿って、異論があるのを認め、合意できるところは合意するのが日本国のためによいだろう。次のことは誰でも日本人なら合意できると思う。


1.震度7で壊れては困る(地震国に建てる原発の最低条件)、


2.少し高い津波が来たら爆発してもらっては困る(多重防御をする)、


3.原発の電気を受け取るなら、核廃棄物も受け取る(大人なら)、


4.120万本以上の核廃棄物を子ども達に任せたまま原発を再開しない、


5.事故が起こったら発電所から直接消防に連絡する(企業の社会的責任)、


6.事故が起こったらNHKは事実をそのまま報道する、


7.スピーディーなどを隠さない(隠蔽体質を変える具体的システム)、


8.逃げるためのバス、マスク、ヨウ素剤、疎開先の学校を準備する(救命ボート)


9.汚染された農作物などの食材を出荷しない、


10.被曝の限度は法律を守る(法律を隠さない)、



まずこれらを合意し、具体的な議論を専門家で進め、その結果を国民に提示して合意ができるかが「民主的手続き」である。最後は国民投票をして、この困難な問題を解決するのが適当と考える。


(平成24年5月28日)




--------ここから音声内容--------




ええと、民主的手続きによってですね、原発を再開するかどうか決めるというのが、日本が民主主義である限り一番良いし、日本人がですね、団結して色んなものをやっていくっていう点でもですね、これほど国民がこう意見が分かれてる状態をですね、やっぱり解消していくというのが大切な事と思います。





ま、そういう点で私はですね、原発の再開問題を単なる原発に対する「思想の対立」ではなくて、異論があるのを双方とも認めてですね、合意できるとこは合意をして、次のステップに進んだ方が良いと思うんですね。原発を再開するにあたって、ほとんど日本人全員が賛成してくれるんじゃないかと思うのが、次の10項目です。





1) 一つはですね、「震度7で壊れては困る」ということですね。これは地震国ですから、アメリカもフランスも地震がないわけで、地震がある日本に原発を建てるならですね、やっぱり震度7で壊れては困りますね。私はそう思います。





2) それから「少し高い津波が来たから、爆発するっつうんじゃ困る」わけですね。やっぱり今まで政府が言ってきたみたいに、「原発は多重防御じゃなくちゃいけません」から、ちょっとぐらい高い15メートルぐらいの津波で爆発してもらったんじゃやっぱり困るわけで、それをちゃんとやるってことですね。具体的にどのくらいやるかっていうのは議論したら良いんですけど、この項目は合意しなきゃいけないと思うんですね。





3) それから「原発の電気を受け取ろうという人は、廃棄物も受け取る」という風にしなきゃいけないと思うんですね。原発の電気を起こせば、必ず廃棄物出るんですから。それはやっぱり、「電気だけ欲しいけど、廃棄物は嫌だ」ってそんなこと言ってたら、また安全は守れません。





4) そいから「現在もう既に120万本以上ある核廃棄物を子供に任せたまま、更に原発を再開して、子供たちに任せる廃棄物をもっと増やすのか?」という問題について、やっぱちゃんとしとかないけませんね。ここまでが、まず基本的ですね。





5) それから事故が起こったらですけど、「事故が起こったら発電所から直接地元消防に連絡できるようにしなきゃいけません」。これはまぁ、どこの企業も今そうなんですけども、今度の場合は東電の福島第一原発は東電本社に連絡しました。そうじゃなくて地元に連絡する。





6) それから「事故が起こったらNHKはですね、事実をそのまま報道する」って、これもNHKは約束しなきゃいけないですね。今度ずいぶん隠しました。3号機の爆発も隠しましたし、「安全です」という風に言い続けましたね。自分たちの記者は福島県から引き上げて、福島の人には「安全だ」と言いました。こういうこと無いということを、やっぱり宣言してほしいですね。





7) それからあのSPEEDI(スピーディ/緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)を隠しましたけど、「そんなことしない」と国もやっぱり言わなきゃいけません。





8) それから「逃げるためのバスを準備する。マスクとかヨウ素剤、疎開先の学校を準備する」と。ま、“救命ボート”と私言ってますけども、それは必ずやるということですね。準備もしなきゃ。





9) それから「汚染された農作物は出荷しない」っていうのも、決めてください。そうしなきゃたまらないっすよ、これ。





10) そいから「被曝の限度は、法律を守る」。これ、「法律を隠さない」って言うかですね、「事故が起こってから、別の法律を作らない」つっても良いんですけど。私たちに約束したことを守るってことですね。法律つうのは、「原発を動かすけども、このくらい被曝しますがそれは我慢してください」つって、事故の前に約束するんですよ。事故が起こってからね、突然、8000ベクレルとか、そんなん出てきてもらっちゃ困るんですよね。





ですからまぁ、このこと・・・私はね、この10個はね、少なくともこう、何かテレビとか何か会議とか、オープンのとこだったら誰も反対できないでしょうね。「震度7で壊れたら困ります」 「そりゃ、そうですな」と、「ちょっとした津波で爆発したら困ります」 「そりゃ、そうです」と、そいから「原発の電気だけ受け取って、廃棄物受け取らないの困ります」と。「そりゃ、そうだ」と。「120万本以上ある核廃棄物を子供に任せたまま、また再開すると、こりゃいけませんね」と。「そりゃ、そうです」と。





そいから「事故が起こったらやっぱり、付近住民が真っ先に知らなきゃいけない」と。「そりゃ、そうだ」と。そいから「NHKを始めとした報道は、一応事実を報道する」って「そりゃ、そうだ」と。そん時になんか「パニックになるから」とかじゃなくて、パニックにならないように体制を整えておくってことですからね。ま、SPEEDI隠さない、と。ちゃんと逃げるためのバスとかマスクとか、そういうの用意する、と。





そいからまぁ、いよいよ汚染されますから農作物がどうしても、それは出荷しない、と。そしたらずいぶんみんな安心しますよ、別にそれでお百姓さんがダメになっちゃうんじゃないんですから、ちゃんとそこは政府がやれば良いんですからね。お百姓さんの責任じゃないんですから。





それから被曝の限度について、法律を守るってことですよね。やっぱり被曝の限度って何のために決めてるかったら、事故が起こった時に被曝するんですから。今度事故が起こって、被曝のする段になると法律隠すわけですから、これはどうにもなりませんからね。





これは私ね、日本人で10人集まったら10人、100人集まったら98人ぐらいこうでしょうね。「あ、それはそうですね」って言いますよ。ましてテレビなんかでこれ議論したらですね、同意せざるを得ないですよ。だから一応この10項目を同意してですね、そしたら一つ一つについて「これはこうしよう。これはこうしよう」つって、その後それを発表して、国民投票でもしてですね、「日本人としてこうする」ということを決めた方が良いですね。





今でもまだ、お殿様が決めようとしてますけど、お殿様じゃなくて、やっぱりこれだけですね、国論を二分し、かつ福島原発が事実爆発したんですから、これは政府の責任ですからね。政府が間違ってたってことなんですから、だからやっぱりこのくらいのことはやって、「民主的手続き」というのを進めた方が良いと私は思います。


(文字起こし by danielle)