なぜ、年金のお金は無くなるのか? | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

なぜ、年金のお金は無くなるのか? (4/26)



私が「国債は買ってはいけない」という本を書いたとき、日本のお金の流れをよくよく調べたり、計算したりしました。その中でびっくりした一つに「年金は積み立てていたら無くなる」ということでした。当時の私の計算結果ですが、20才から年金を積み立てても、最初の10年はわずかに全体の1.5%しか積み立てられないのです。その原因は物価上昇とか生活程度の向上なのですが、これはすでに歴史的事実なのです。


さらにこれに加えて社会保険庁が「年金の使い込み」をしたので、本来、払わなければならない約束は800兆円、実際にあるはずの年金が150兆円。そしてそのうち約100兆円が消えているのです。年金制度を始めたら膨大なお金が集まったので、それに群がった人たちが(どうせ焦げ付くことがわかっている)公共投資にそのお金を投じたことと、役人が天下りで他人の年金をむさぼったことでなくなりました。


このことは有名な国民年金制度の創設者で元厚生省年金課長だった花澤武夫氏の回顧録を見れば一目瞭然です。

「この資金(年金)があれば一流の銀行だってかなわない。 厚生年金保険基金とか財団とかいうものを作って、その理事長というのは、日銀の総裁ぐらいの力がある。そうすると、厚生省の連中がOBになった時の勤め口に困らない。


年金を支給するのは二十年も先のことだから、今のうちに使っても構わない。先行き困るという声もあったが、そんなことは問題ではない。将来みんなに支払うときに金が払えなくなったら賦課式にしてしまえばいいのだから」


つまり、国民から年金といってお金を集めれば何でもできる。そして国民に支払う段階ではお金がなくなっているから賦課方式(今のように若い人が払って高齢者がもらう)にすれば良いというのですから、年金を始める時に、すでに「年金を支払うことなど考えず、どんどん使え」、「無くなったら賦課方式(その年精算方式)に変えれば良いと言っていたのです。


つまり年金は最初から官僚がお金を取るために始めた制度だということを当時の担当課長自身が言っているのです。でも、官僚も人間ですし、明治以来の制度で疲労し腐敗しています。それに競争に勝ち抜いてきた「自分だけが良ければ」という人の集まりですから、むしろ「揺りかごから墓場まで」というようなこのぐらいのことを気がつかない私たちの方が問題だったのでしょう。


今、消費税の増税法案がでていて、「年金との一体改革」と言っていますが、これは簡単に言うと「これまで厚労省などが使い込んだ(もしくはダメな団体に融資した)ので、お金が足りなくなり(つまり年金を他の目的に使用してなくなった)、税金で補填する」ということです。


こんなことはとうてい、認められません。第一に使い込んだところが弁済するのが普通で、霞ヶ関が払うべきです。第二にそれでも国として足りないものがあるなら、なぜ年金がこんなになったのか、花澤氏の回顧録の内容の解説、150兆円のうちの焦げ付きの責任などを明らかにしてからが当然です。それにしてもおとなしい国民と、政府発表を繰り返すだけのNHKですね。


年金の話は、政府のあまりの無責任さに驚くばかりですが、これは果たして年金だけのことでしょうか? 実は私たちの代表である政府はすでに年金の話と同じように腐敗しているかも知れません。何しろ制度を作るときに使い込みを前提にしているということですから、私が今まで体験したリサイクルや温暖化なども最初からトリックだったのも当然のようにおもいます。


そして今でも、エネルギーや電力などに同じようなトリックがあり、それに荷担している人が多いことを考えると慄然とします。

(平成24年4月26日)




--------ここから音声内容--------




このですね、年金の問題ですね。年金の問題って(お金が)無くなっちゃってんですけど、年金も払うこともできなくなってるんですが。えー、これはまぁ官僚の最初っからの思惑(おもわく)なんですね、残念ながら。





私の本にですね、『国債は買ってはいけない!』っていう本があるんですが、東洋経済新報社から出たもんです。このときに私はですね、日本のお金の流れをよくよく調べたり、計算してたりしてたんですね。多くのびっくりすることありましたが、その一つに「年金は無くなる」ということだったんですね。





えーこの表は私の計算結果で、ま、本には掲げておりませんが、ま、そのときの内容は本に書いてあります。20歳から年金積み立てると酷くてですね、最初の10年間に一所懸命積み立てて、わずかに全体の1.5%しかなんないんですよ。ま、いろんな要因があるんですね、物価上昇とか。しかし、これはもう歴史的事実なんですね。





これに加えましてね、社会保険庁が「年金の使い込み」をするんですよ。えー現在ですね、実際に支払わなきゃなんない約束した年金はですね、800兆円なんですね。ところが、今、現にあると言われているお金はそのわずか150兆円しかないんですよ、そのうち100兆円がもう消えてるんだってのが最近、まぁ判ってきたわけですね。で、これでびっくりする人いるんですけど、これ当然なんでね、このことを一つ言っときたいんですが。





有名なですね、国民年金制度を作った人で、厚生省のですね、年金課長だった花澤さん(花澤武夫)っていう人の回顧録(厚生年金保険制度回顧録)っていうのはこれ、オープンになってるわけですが、もう大変にびっくりする内容なわけですね。





この人こう言ってるわけですよ、「年金を国民から集めれば、一流の銀行だってかなわないぐらいの金が集まる。だから厚生年金基金とかそういう財団を作って、ま、そうするとその理事長はもう、日銀の総裁ぐらいの力があるんだ。そうすると、」と、ここですよね、「厚生省の連中がOBになったときの勤め口に困らない」つってんですよ、ええ。課長さんがね、当時の、ええ。





何か国民に対してだって、こう言ってんですね。「年金を支給すんのはどうせ20年も先のことだから、今のうちに使っちゃえ」と。「先行きはそんなことしたら困るじゃないかっていう声もあったが、そんなことは問題ではない。将来みんなに、国民に支払うときに金が払えなくなるから、そん時は賦課型に変えてしまえば良いんだから」って、こう言ってるんですね。正にそうなりました。





つまりですね、「年金」つうのは最初っから国民から金をただ集めてですね、官僚が使うつもりだったわけですよ、ええ。だけど、どうせ国民に支払う段階ではお金が無くなっているから、そん時はですね「賦課方式」、最初積み立て方式だったんですよ。で、みんなが積み立てても絶対もうこれ無くなるから、賦課方式、今のように若い人が払って高齢者が貰うというようにすれば良いんだと、制度変えりゃ良いじゃないかと。





だから最初っからですね、これ、どの制度も実はそうなんですよ。僕はですね、昔から言ってたけどなかなか皆さん信用しないんですけど、こういう風に国民年金を作った課長さんがですね、こういう風に回顧録で言ってんですから、これ確かなんですね。つまり、お役人がやる政策のほとんどは、天下りを作るためなんですよ。このように年金は、最初っから官僚がお金を取るために作ってるわけですね。





何しろね、これほんと普通の人びっくりすると思いますよ、ええ。「そうすると、厚生省の連中がOBになったときの勤め口に困らない」、これ天下りってことですよ。そいから「年金を国民に支給すんのは20年も先のことだから、そん時はもう無い」と、「無いけど、そんなことは問題ではない」つうんですよ。「将来、国民に支払うときに金が無かったら、賦課方式に変えてしまえば良いんだから」。実際、変えたんですよ。




そいから更に足りないので、「介護保険」つうの作ったんですね。これ全部、官僚が使い込んだ金をただもう一回、国民から集めてるだけなんですよ。ほんとはもう集める必要なかったんですよ、だけど使い込んじゃいましたからね。もう一回払わなきゃいけないって・・・一体これ、何なんですかね?





だけどね、私はこれね、国民も問題だと思います。だってですね、私なんかも何回も何回もこう言い続けてきたんですが、みんな信用しないんですよ、「そんなはずはない。官僚は日本国のために考えてやってるんだ」って。そんなことないんですよ、これはもうそんなに日本はね、まともな国じゃないんです。えーこれはもう厚生省の年金課長だった人がね、自分の回顧録に書いてるんですからね。





だから、まぁ何て言うんでしょうか・・・ま、ここら辺で国民は、やっぱり気が付かなきゃいけないと思いますね、私は。気が付いて、私の言ってる温暖化だとか、年金とか、地震が東海地方で起こるとかみんな、これなんですよ。だから、それだってことをはっきり分からないとですね、原発の事件も起こるし、また原発も再開されてしまうと私思いますね。瓦礫の搬出も全部これですから。


(文字起こし by danielle)