被曝と健康に関する最新論文がでました (4/26)
読者の方から教えいていただいたので、最新の被曝と健康の論文をご紹介します。
この研究は広島長崎で被曝した人8万6千人あまりの方を対象として行われていて、被曝量は高い線量から1ミリシーベルト以下の微量な被曝をした人も対象になっています。
そしてこの論文の中心的な結論は、
1)広島長崎の被曝でガンがかなり多いこと、
2)低い線量の被曝でも発がんが見られること(低線量被曝は危険)、
3)被曝量とガンの発生はほぼ比例すること(私はあまり用語が適当ではないと考えて使いませんが、いわゆる「直線仮説」が成り立っているということです)、
4)いわゆる閾値(これ以下は大丈夫という被曝量)という限度はなく、強いて言えば0ミリシーベルトであること、
などです。
「被曝したら被曝量に比例してガンが増える」という論文はこれだけではありませんが、「1年100ミリシーベルト以下の被曝で、ガンが増えるなどという知見はない」と言い続けた専門家が間違いであったことも同時にこの論文で確認し、ハッキリすると思います。
もっともこの論文以外にも、低線量で健康障害を起こしたという論文は昔から多く、「被曝は大丈夫」というのは、「知見がない」のではなく、「論文は多くあるが、私の考えは違う」ということなのです。つまり簡単に言えばウソだったのです。
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ところで、日本は科学技術立国といいながら、実際には科学的に奇妙なことが次々と社会で「常識化=空気的事実」となる原因は、
1)理科系文科系が分かれていること、
2)論文の多くが英語で書かれ、日本人の目に触れないこと、
3)利害関係者が英語の文章を故意に誤訳すること、などです。この場合は2)に当たります。
科学が国によらず人類の宝であることから、英語で書かれるのは仕方がないことですが、同時に日本語でも流布されないといけないと思います。でも日本は後進性があるので、「英語で書かれた論文でないと採用の時の参考にしない」というような大学がまだ多いのです。
英語で海外の論文に投稿し、それを日本語と日本的に直して国内学会誌にだすと「2重投稿」ということで厳しくおしかりを受けます。でも、日本の科学の成果を日本人が十分に役立てることはとても大切です。それを実質的にできないようにしている今の学会、大学などの考え方にたいして私は納得できないでいます。
2011年の大震災と原発事故以来、御用学者という言葉が定着しましたが、この新なる原因はすでに20世紀の初めにマックス・ウェーバーが指摘しているように「職業としての学問」(生活やお金のために学問を道具として使うこと)が定着してきたからでもあります。その典型が「東大教授」です。
日本の学会で利権が固定し、
1)研究費を国が握る、
2)勲章を国が決める、
3)研究費の配分を東大教授が決める(京大、東北大などの御用学者も参加する)、
4)役所は大学の予算配分を東大に厚くして、その見返りに御用学者になってもらう、ということが行われています。
このグラフは日本(上)、アメリカ(下)の大学ごとの予算ですが、日本は東大がダントツで、数ヶの大学に予算が集中的に行っていることがわかります。それに対してアメリカは広く「ばらまき状態」です。
日本では「ばらまき」は悪く、「集中」は良いと言われますが、そんなことはありません。「集中」はどうしても腐敗を招きます。腐敗した学問と、少しの無駄はあるけれど腐敗しない学問では、腐敗しないことが大切です。
(平成24年4月26日)
--------ここから音声内容--------
読者の方から、えー被曝と健康に関する最新の論文のご連絡ありまして教えていただきましたもんですから、ちょっとここに示します。ええと、これはあの、見てお分かりのように英語の論文でですね、ちゃんとしたもう非常にきちっとした論文なんですが。ちょっと長いことと、専門的であるので、ま、簡単にここにまとめておきます。
ええとですね、大体、広島・長崎で被曝した8万人以上の方の追跡調査をずーっとやってですね、えー、高い線量からものすごく低い線量までですね、この論文ではグレーで書いてありますが。まぁ1ミリシーベルト以下の非常に微量まで測定してあの、整理しておられます。
えーこの論文の結論はですね、広島・長崎で被曝したガンが非常に多いということですね。それからずっと1年100ミリシーベルトといった大きな被曝からですね、1ミリシーベルトを切るような小さな被曝まで、ほぼ直線で発ガンしてるってことですね。
私はあの、実はこの「直線仮説」ってよく言われるものの名前がちょっと学問的じゃないと思いまして、あまり使っておりませんけども、ま、比例してるということですね。そいからいわゆる閾値(しきいち=ある反応を起こさせる、最低の刺激量)っていうのをしょっちゅう言われるんですけども、強いて言えば0ミリシーベルトだ、と。ま、閾値があるかどうかちょっとはっきりしないということですね。
ええとまぁあの、この論文もそうですし、それでもうこの論文非常にしっかりしてるんであの、良いと思うんですが、「被曝したら被曝量に比例してガンが増える」というのはもちろん多いわけで…そういう論文は多いわけでですね、「1年に100ミリシーベルト以下の被曝のときにはデータが無い」なんて言うのは、これですね、あの全然ウソですね、はっきり言って。
ま、“データはあるけども、ばらついている”っていうことですね。ま、このようにちゃんと比例してるという論文あれば、えー低線量で少し違うという論文もあると、ま、言うことですので、やっぱり専門家は正しくそう言わないとですね。普通の人は1年100ミリシーベルト以下でガンの発生は確認されてない、なんて言うとですね、実はその「確認されてない」って何を言ってるかつったら、「色んなデータがある」っていうことだけなんですよね。
で、「確認されてない」って言うと、何か普通の人が見ますとね、ききますと、その・・・「ガンが出てない」という風に見ちゃうんですよね。で、これはあの専門家はおそらく言い訳をしたいためですね、「直ちに健康に影響が無い」とかそういうのと同じですね、「素人が誤解することを承知で言う」っていう、ま、かなり質(たち)の悪い言い方です。
えーところでですね、この論文についてちょっと別のことをついでに私がお話をしときますが。えー実は日本は科学技術立国と言いながらですね、非常に奇妙なことが色々とあるわけです。えー例えば、理科系、文科系が分かれてるとか、英語の論文が多いって言いますかね、そいで日本人の目に触れない、という。えー、そして英語の論文を今度、日本語に訳すときに結構ですね、目的に応じて故意にですね、あの、誤訳するってこと・・・一番極端には「温暖化」なんか、そんなのいっぱいあったんですね。
で、実はですね、日本人のレポート、この、ま、今、福島の原発(事故)が起こって非常にですね、えー被曝と健康に関しては重要なときに論文が英語で出るっていうことですね。これはまぁ著者が悪いんじゃないんですよ。実はですね、日本ではまだ後進性が強くてですね、「日本語の論文はほとんど学問的に業績にならない」っていう、そういう、まぁすごい規則って言いますか、そういうのがあるんですね。
えーそして、海外の論文もちろん英語で出しますから、ま、これとほとんど同じ内容のものを日本語の学会に出しますとね、「二重投稿」ということでお叱りを受けちゃうんですよ。ということは結果的にどういうことになるかっていうと、日本の科学の成果は日本人がほとんど読めないという、非常に変な結果になるんですね。で、これを良いことに世論を操作するっていうような事も行われるわけですね。
えーまぁそれから、もう一つはその、まぁ2011年の大震災とか原発事故で多くの人が分かったように、実は御用学者が、ま、いるわけですね。これはもう既に今から100年ぐらい前にマックス・ウェーバーはですね、「職業としての学問」、つまり学問が好きでやるんじゃなくて“生活やお金のために学問を道具として使う”っていうですね、ま、そういうことが固定化されました。
ま、研究費を国が握って、勲章を国が握りますね、そして研究費の配分は大体、東大教授がやる、と。そして役所は大学への配分を大きくするってことですね。そうしますと、特定の会社に研究費をものすごく配分するってことになります。
それはあの、このグラフを見ても分かるんですが。ええっと日本ではですね、ほんとに少数の大学に研究費が偏(かたよ)っとります、アメリカとは全く違いますね。これはアメリカは文部省ありません、ま、それに代わるような機関が、研究資金の管理団体が無いじゃないんですけども、それは総合的な教育とか研究に力を持っている役所じゃないもんですからこう、散(ばら)けるんですね。
えー日本ではですね、「ばらまき」は良くないと、「集中」が良いと言われてるわけですが、そんなことないんですよ。まず学問ですからね、何が将来有望かってことは誰も分からないんで、実はほんとは「集中」っていうのはできないんですよね。例えば日本ですと、「温暖化」つうと温暖化に予算がどさーって行くんですね、そんなことダメなんですよ。やっぱり気象変動の研究とかですね、長期的な地球物理学の研究っていうのは良いんですけど、やっぱり学問に集中しちゃいけないわけですね。
これは、またもう一つは「集中」が腐敗を招くんですよ。要するに役人がですね、ま、自分のことを適当に良く言ってくれる先生にお金を渡すってことになるんで、ま、買収ですね、ま、簡単に言えば。そういった腐敗した学問と、ま、少しは無駄があるんですけど、例えば、あまり研究のできない先生にもお金が行っちゃうっていうようなことあるんですが、それでも腐敗しない学問とではですね、やっぱり若干の無駄があっても、腐敗しない学問の(方)が良いと、ま、これはもう確かですね。
ま、そういうことでこの論文を私読みましてね、“ああ、これが日本語で書かれてて、多くの人の目に触れたら良いのになぁ・・・”と、こう思いましたね。こうやって英語で書きますと、ま、私がこれちょっと紹介しまして、また他の人も紹介してくれるかもしれませんが、やっぱり圧倒的には国に有利な外国の論文が紹介されちゃうんですよ。
そうしますともう数の勝負でね、やっぱりどうしてもそうなっちゃうっていう、そういうまぁ悪循環を繰り返して、ま、日本の中に非常に世界でも珍しい・・・例えば、「CO2を削減してんのは日本だけ」とかですね、「脱石油も日本だけ」とか、そいから「原発が爆発したのもの日本だけ」とかですね、・・・チェルノブイリはあれ、ええと事故の対策中ですからね、「運転中は日本だけ」と、ま、いうような、非常に日本だけに特殊なことが起こるという一因をなしてるんじゃないかと思って、ちょっと脱線しましたけど別のことをお話ししました。
(文字起こし by danielle)