情報短信・・・ご質問に答えて・・・CO2 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

情報短信・・・ご質問に答えて・・・CO2 (2/22)


読者の方などからのご質問などには共通のものがあり、時間があれば個別にもご返事していますが、「短信」という形で書きます。


「樹木はCO2を吸収しない」ということと「地球のCO2が減ったのは樹木などの生物の活動が原因の一つ」という一見して矛盾しているように見えますが、これは「量的関係」にあります。


今、温暖化で問題になっている「CO2の増加量」はほぼ100年に100ppm、つまり100年で0.01%のCO2が増えているということです。一方、生物の影響で減少しているCO2はほぼ1億年で1%ぐらいですから、100万年で0.01%となります。


つまり、人間が100年で0.01%増加、生物が100万年で0.01%減少ですから、森林でCO2を減らそうとすると、[0.01(増加)―0.000001(減少)]で、まったく効果が無いと言って良いレベルであることが判ります。

もちろん、このことを専門家は承知ですが、「自分が儲かれば、都合の良いことだけを言う」ということなので、「森林はCO2を吸収するから温暖化防止に役立つ」と言い、「1万分の1ではないですか?」と聞かれると、「少しでも減らすことが大切だ」と言い逃れるという仕組みです。



(注)学問的に厳密に言えば、(1)数億年単位で見れば「樹木はCO2を蓄積する効果を有する」、(2)数100年の単位で議論するときには「樹木はCO2を蓄積しない」として人間活動の関係を考えることが必要ということになります。


(平成24年2月22日)



--------ここから音声内容--------



えー、読者の方の、まぁあの短い質問なんかありましてですね、それは割合とあの、ダブることがあるんですね。で、できるだけお一人お一人にお答えしようとはしてるんですけど、なかなかそういう時間も取れないので。ときどきですね、「短信」という形でご連絡をしようと思っとります。









その一つに「樹木はCO2を吸収しない」ということでですね、それから「地球のCO2が減ったのは、樹木などの生物活動が原因である」ということは、まぁ矛盾してるように見えますね。で、これはあの「量的な関係」にあるわけですね。










ええと、大体ですねあの、今、温暖化で問題になってるものは、100年間に100ppmぐらい…つまり、0.01%ぐらい増えるということを問題にしてるわけですね。これがまぁ、もう一桁低くて0・001%ぐらいですと、さして問題は無いわけですね。ま、100年でCO2が増えるところを1000年で増えるわけですから、まぁほとんど影響は無いわけですね。









えー、0.01%ぐらい100年で増えるのが問題になってる量なんですね。これに対して、生物の影響でってことになりますと、大体1億年で1%ぐらい減ってますので、100万年で0.01%になるんですね。そうしますと、人間が今出してるのは100年に0.01%ですが、樹木が吸収するのは、生物が吸収するのは100万年で0.01%。つまり100年と100万年の差がありますから、ちょうど1万倍違うわけですね。









ですから、「人間が100年で0.01%増やした、生物が100万年で0.01%減らした」と。そうしますと、「0.01(増加)-0.000001(減少)」ということで、ほとんど何の効果も無いということですね。喋ってる私も混乱しちゃいますが。







えー、そういうことなので、まぁ専門家はこんなこと判ってるんで、まぁあの・・・CO2の温暖化を議論してるときはですよ、これはあの、別のことを議論してるときはまた別なんですよね。学問っていうのはですね、常に正しい言い方っていうのが決まってるわけじゃないんですよ。それはね、まぁ当たり前なんですね。








えー、「電気抵抗は、温度が下がると低下する」とか言うわけですが。もちろんこれは、もっとずーっと低下していって超伝導領域に入りますと、もちろん違うんですね。だけど、オームの法則を説明するときとか、そういうときにですね、超伝導のことを言ってもしょうがないんですよ。これはあの、しょうがないって言うかですね、やっぱり学問的な厳密性を言えば、「ある範囲であることをきちっと言う」ということが大切なので。









ま、1万分の1の吸収をCO2のことに言うっていうのはですね、ちょっとこれいけないんですね。それがまぁいけないので、例えば、日本はですね、6%削減するって言ってるうちの2.9%を森林の吸収でカバーする、そんなことできないんですよね。ま、そんなことしようと思ったら、もうなんて言いますか、何万年も掛かっちゃうわけですからね。






だからこういったウソがまかり通ってしまうのはですね、やっぱり学問的厳密性が無いわけです。ええと、数億年単位で考えるときは、CO2の吸収を樹木にも考えなきゃいけないし、100年単位で議論して・・・特に人間が出すCO2の量度の関係で示すときには、「樹木はCO2を蓄積しない」としていいんですね。







これはあの、このブログでもなかなかちょっと難しい概念なんですが、「有効桁数」っつうのがありましてですね、どのくらいのところから以下はゼロとして見るとかですね、切り捨てなければいけない、っていうのも厳密な科学なんですよ。これも厳密な科学なんで、それはどうして厳密かって言うと、そういうことがしっかりしていれば実はその、議論もしっかりする、とまぁこういうことになるっていうことですね。


(文字起こし by danielle)