2011現代倫理論8 汚染米と外食産業
1年20ミリ問題と似ているものに、「ビジネス倫理」問題も起こりました。その典型的なものが「汚染された野菜を売る」ことや、「汚染米が外食産業に流れた」こと、さらに「牛乳や粉ミルクのベクレル表示をしない」などがあります。いずれも大切なお客さんに聞いたら、「そんなことは困る」と言われることが判っていてやったことです。
(平成23年12月30日(金))
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ええと、1年20ミリ問題と並んでですね、もう一つの大きな倫理問題として発生したのが、まぁビジネス倫理といいますか、かつてはこれは「商道徳」といったんですけど。道徳というのはですね、ここのブログでも話しましたように、倫理ほどはっきりしないんですよね。その道徳観を作ったのは誰か?ということになるんで、ちょっと困るんですね。倫理ですと相手に聞けばいいんですから、はっきりするんですが。
ま、一番典型的なのが、一番最初に起こった汚染された野菜を売るということですね。ええと、これは政府がですね、汚染された野菜を食べろと言ったのは、ちょっとこれはまた別の問題なんですが。汚染された野菜を売った農家の方、この方はですね、「汚染された野菜を食べますか?」ということを消費者に聞かないといけないんですね。おそらく多くのお母さん方は「子供に食べさせたくない」と言ったと思うんですね。そうしますと、これは倫理違反になるんです。
これはですね、流通産業が汚染された野菜と汚染されない野菜を並べて売りましたね。これも倫理違反なんです。消費者はですね、汚染されたものと汚染されてないものを分けて、買いたかったわけですね。国の基準に入ってるからってこれ、全然関係ありません。倫理とは関係ありません。それは法律ですね。
ええとあの、法律と倫理の関係ってのは、法律はもちろん守んなきゃいけないんですが、法律だけではダメだ、ってことを最初に話したわけですね。お医者さんが診察するとき、手を抜くとか。ラーメン屋のおじさんが、汚いものが入ったラーメンをこっそり汚いものを取って、客に出すとか。こういった類が倫理なんですね。
ですから、法律で決まってることでも、ほんとは法律で決まってるのは1年に1ミリシーベルトでしたから、食材の暫定基準1年に5ミリシーベルト、セシウムだけ、というのは、ま、一応法律違反なんですけど、それがまぁ知らなかったとしてもですね。お母さん方が汚染された野菜を買いたくないのに、売り場に汚染された野菜と汚染されてない野菜を同じように並べて売ったっていうのはですね、これはやっぱり倫理違反なんですね。
もっと酷いのが、汚染米を外食産業に流したってやつですね。これはもう、圧倒的な倫理違反です。っていうのはですね、外食産業に流れた場合、お店に売られるわけです、それが。それを食べに来た人っていうのはですね、まず第一に自分のお客さんなんですよ。数ある料理屋のなかで、自分を選んで来たという、こういう意味があるんですね。ようするに好意を持って来た人、その人にですね、安い汚染米を出す、汚染米と言わずに出すわけです。
その場合ですね、倫理的に合格する方法ってのはですね、汚染米と汚染米じゃないやつを表示しとくってことなんですよ。汚染米のご飯の場合は500円、汚染してないお米は600円。どっちでもいいですよというのが、これは大丈夫なんですよ。と言うのは、汚染されたお米を食べてもいいと思う人がいますから。ただ何も言わずに売るって言うのはダメなんですね、やっぱり。
これは、外食産業の人はですね、「なかなか外食産業ってのは、倫理がないんだよ」って言う人もいるんですけど。「いかがわしいんだ」って言う人いるんですけど。結構ね、食事を提供するところで、誠意のある人っておられるんですよ。えぇ、私もそういう人を個人的にも知ってますけどね。一所懸命、お客さんのために作ってるって人いるんですけどね。
やっぱりね、安い値段で汚染米を買って、それを言わずにお客さんに提供するっていうのは、自分が儲かるためにお客さんを被曝させるってことになるんですから、これは倫理違反なんですね。これ法律と関係ないですよ。お客さんに聞いてみないと。これは20ベクレルですとか、これ100ベクレルですとかって、言わなきゃいけないですね。それとも、「汚染されているけれども、ベクレルは測る機械ないから分からないので、どのくらい入っているか分かりません」でもいいんですよね。
それから一番酷かったのは組織的なのは、牛乳や粉ミルクのベクレルを表示しないということが、ま、これは徹底的に頑張りましたね、牛乳メーカーが。これはまず第一に、独占禁止法違反じゃないかと思うんですよ。っていうのはあの、牛乳は外国の牛乳があまりありませんから、結局、消費者はそれを買わざるを得ない。それを業界内で統一した形跡がありますね。というのは、おそらく自由であれば牛乳のベクレルを表示する会社と表示しない会社が出てきたはずですけども、一斉に表示しなかったですね。
読者の方から次々と情報が入ってきましたが、聞くとほとんど各メーカーが同じ答えしてましたから。これはですね、協定を結んだと思われます。独占禁止法っていうのはお金だけだっていうのは、ちょっとおかしくてですね。独占禁止法の主たる役割はですね、独占したり、談合したりすることによって、消費者が被害を受けるのを防ぐわけですから。つまりお金という意味で被害を受ける場合もあるし、表示という場合で被害を受けるときがあります。
ええと、私はこう思うんですね、4月5月と汚染されたえさを食べたと考えられる牛がいっぱいいるわけです。ですから牛乳が汚染されてる可能性あるわけです。僕は測ってると思います。測ってて表示しないっていうのは当然、違反したものがあったというふうに思わざるを得ないですね。
こういうために「内部告発制度」というのがあるんで、牛乳や粉ミルクのメーカーの従業員の方はぜひ積極的にですね、内部告発してもらいたいんですよ。どういう議論が行なわれたのか。絶対、社内で議論ありました。「どうするのか?」「汚染されてるんじゃないか?」とかですね。「お母さん心配してんじゃないか?」。
特に牛乳や粉ミルクのメーカーの人は今度、大きな倫理違反しましたね。お母さん方が心配してることはよく分かってるわけです。それがね、神経質だとか何とかいうことじゃないんですよね。お客さんに合わせて、その希望に沿うのが倫理なんですね。
そういうことで、お客さんに聞くということをですね、この際、ま、私はもうこれだけ不誠実な牛乳メーカーであれば、もう牛乳を飲まないようにするとか、生活スタイルを変えて、もう牛乳メーカー要らないよ、ってはっきり言う必要があると思いますね。食材の提供メーカーで、これほど不誠実だったっていうのは、あまりないと思うんですね。ですから、もう反省してもダメなんじゃないかと思うんですよ。
ですから日本の大切な赤ちゃんに、健康に大きな影響を与える「情報」ですよ…私、牛乳を提供しちゃいけないって言ってるんじゃないですよ。心配してるんだから、「情報」を提供してくれ、お母さん方はこの牛乳が腐ってるんじゃないかとか、毒物が入ってるんじゃないかって、同じように放射性物質が入ってるんじゃないかと心配されてるわけですからね。
これはやっぱり今年最大のっていうか、1年20ミリシーベルト事件における東電の対応と、この牛乳をベクレル表示しないで断固売り続けたという、この二つは非常に大きな倫理問題でありました。今後もおそらく、いろんなところで語り続かれる(語り継がれる)んじゃないかと、いうふうに思います。
(文字起こし by danielle)