2011原発危険論4 原発の設計(耐つなみ性の多重防御(12/29) | お手伝いさんたちのブログ

お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

(文字起こしをお手伝いして下さった方からの投稿です。danielle(ダニエル)様、ありがとうございました)


2011原発危険論4 原発の設計(耐つなみ性の多重防御(12/29)


--------ここからブログ記事--------


「設計」と「とにかく防御する」というのとは違います。日本の原発は海外でも珍しく海岸線にたっていますし、地震、つなみ、台風などの被害を受ける可能性があります。それに対して国や電力が説明に使っていた「多重防御」は全くされていないどころか、実は「耐津波設計」も無かったのです。防潮堤との関係を高さも含めて考えます。福島第一原発の写真をのせましたが、防潮堤がどれかわかるでしょうか。



--------ここから音声内容--------


えーと、日本の原子力発電所がですね、地震に対してほとんど防御してなかった、と。ま、これはですね、震度6で7つの発電所全部100%の確率で倒れたということで判るんですけども、それにプラスしましてね、津波っていうのはまったく予想してなかったんですよ。



実は日本の原子力発電所が、地震のない内陸で造られたもの、つまりアメリカで設計されたものですね。その後フランスもですね、内陸の地震も津波もないとこなので、全然そういう技術はですね、アメリカやフランスと提携しても技術が上がるわけじゃなかったわけですね。




ところが日本だけが海岸淵に建てて、津波もある所、東北地方なんかに建てた、と。そこで福島第一の写真をちょっと示しましたけども、原子炉の建物に対して、津波を防ぐ防潮堤というのが非常に低いことが判ります。普通は写真見て防潮堤がどこにあるか分かる人はいませんですね。だから防潮堤で防ぐっていうのはナンセンスなんですよ。



それでですね、実はその発電所の電気系統がほとんど全部地下にあった、と。しかも1階には大きな開口部があってですね、そっから塩水が入ってくるわけですよ。
電気は塩水に弱いってこと知らなかったわけですね。知らなかったっていうか、ま、サボったわけですね、簡単に言えば。分かってましたから。



だから津波がこなくても、ちょろちょろ海水がきたら、もうダメだったんですよ。じゃ、何でそんな馬鹿らしい設計してたんだ、と。海岸淵に建てて、塩水がきて、台風でも高潮でもですね、津波でも何でもきますからね。



それで東海第二原発、茨城のですね、これは馬鹿らしいことに防潮堤6.1メートル、津波5.4メートルで防いだんですけども、ちょうどね、運転中に工事してたんですね。運転中に堤防を工事するっていうのは、またまったくナンセンスなんですが。



それで、その工事中の穴に通って塩水がちょろちょろきたんですよ。いくらちょろちょろきたってですね、なにしろ地下に電源ありますからね。浸かっちゃったわけですよ。で、全電源が止まるという。ですからこれはね、設計とは言えないんですよ。

耐津波設計っていったらですね、例えば電源を3階に置くとか、そいから津波がきたときに、海側はですね三角形になってて、三角形の頂点から水が左右に分かれるとかですね。今度の津波で分かりますように、鉄筋コンクリートの家はほとんど残ってるんです。それからやっぱり波ですからね、鋭角にでも先にガイドを作っとけば直撃を受けないんですよね。もちろん1階には開口部を置かないとか、水が入りにくくするとか。そんなの日本、台風もあるわけですからね。それから開口部を広々と開けてですね、1階に使う、と。これは設計じゃないんですよ。

この頃、「津波を防ぐために防潮堤を高くしたら原子力発電所が安全になる」。そんなことないんですよね。
東海第二見たら判るわけですよ。ですから耐津波性の設計をされているっていうことと、とにかく防潮堤を造ってごまかして防御する、っていうのは違うわけですね。
これをですね、私はね、東京電力はじめ専門家がごまかそうごまかそうとしてるんですけど、錯覚ですよ。ごまかす必要ないんですよ。


原子力発電所がもしも、今後、国民に認められてですね、運転を継続するためには、まずは第一にも第二にもですね、原子力発電所に携わる電力会社・国・安全委員会・原子力委員会、そして技術者が嘘をつかないってことです。隠さないってことですね。それから弱みをちゃんと説明するってことですよ。


「今まで津波の設計はしておりませんでした」と。このことをちゃんと言わないとですね、何とか津波のことをごまかそうとか、茨城の東海第二がどうして電源が落ちたかできるだけ隠しとこう、とかですね。そいから、青森の東通原発がですね、部品の取り違えで停電にしてしまったってことを認めようとしないとかですね。



そんなことで信頼性得られません。信頼性が得られなかったら、原子力は絶対できません。私のことを反原発と言ってる人もいて、ま、それで全然結構ですけども、私はね、こういう根性じゃ、もう反原発にならざるを得ないですよ。僕は反原発っていうか、被曝することがや(嫌)なんです。反被曝ですけどね。



だけども、ごまかしにごまかして、耐津波性の全くなかったということを言わないってことが問題ですね。


それからもうひとつ、原子力発電所は多重防御っていうんですよ。何が起きても一重、二重、三重となってる、と。もちろん耐津波性設計はなかったわけですから、多重どころかゼロ重なんですけども。



防潮堤があるんだったら、それは一重とは言えるんですね。一応、防潮堤で防いでる。これは設計とは言えないとは思いますが、一応、一重という、と。それじゃ防潮堤が破れたらどうすんだ、と。
「いや、これだけです。防潮堤破れたら終わりです。想定外の津波がきたらもう終わりです」

もしくは「工事中で、運転中に工事をしてて、そこで穴が開いてたら終わりです」とこういうことですからね。
これは全然、多重防御じゃありません。多重という限りは二重じゃないですからね。三重以上じゃなくちゃいけません。


そいじゃ津波に対して三重であるということは、どういうことなのか? まず3階に電源が置いてあって、1階部分は鋭利に三角形なっててですね、津波を左右に分けるようになってて、それから津波の波がですね、よけられるように建物と建物の間隔を空けてあるとか。
そして防潮堤が20メートルあるとか、もしは高台に建ってるとか。海岸線に造らないとか。こういうになりますとね、これは多重防御ですね。


ですから私は日本の原発が海岸に造って、地震国で、津波があって、高潮があるという所でですね、塩水が少しでもきたら爆発してしまう、というものを造っていた、と。それを多重防御と言いですね、安全が確保されてたと言った人はね、やっぱりこれはね、言ってください!そうしないといつまでもですね、何だか武田はこう言ってる、誰はこう言ってるっていうことになるんですが、事実はひとつですからね。



やっぱりそれをきちっと認めて、我々は一回下がらなきゃいけないって言ってるんですよ。原子力やった人は、一回下がらんといかん。間違いを起こしたんですから。下がって正直に説明して、そっからスタートしないといけない、と。今までね、20年、30年と隠し体質だったから、なかなか今の人たちはね、もう隠すことが普通になってまして。「何でお前は隠さないんだ!」って、僕なんかずいぶん怒鳴られましたけどね、何回も。もうそういうことの無いように。耐津波設計はそういうことでした。