2011原発危険論2. 原発は安全か(世界と日本) | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

(文字起こしをお手伝いして下さった方からの投稿です。danielle(ダニエル)様、ありがとうございました)


2011原発危険論2. 原発は安全か(世界と日本)




--------ここからブログ記事--------


「原発は危険である」と日本では言われます。確かに2007年の中越沖地震では柏崎刈羽原発が3億ベクレルの放射性物質漏れをおこし、火災もありました。2011年には福島第一が爆発、東海第二が爆発寸前まで行きました。でも、世界を見るとかなり様子が違います。原発に対する意見はともかくとして、事実をよく見るのも大切です。ここでも、日本人のプライドが傷つきますが、ダーウィンの言葉「勇気を持てば真実が見える」をかみしめたいところです(12月29日)


--------ここから音声内容--------



えーと、私は科学者で政治家ではないので、例えば原子力発電所が、元々反原発であるとか、そういうこと余りないんですよね。危険であれば、「ま、余り使わない方がいいんじゃないですか」っていうことだし、安全であれば別に構わないわけですね。安全っていうのはウソついて安全じゃなくて、本当に安全であるなら、ですね。



「原子力発電所は危険である」ということはですね、よく日本では言われるわけですね。で、なぜ危険なのか?というと、放射性物質が中に入っているから危険だというわけじゃなくて、別にこれ、放射性物質が入ってるのは地核もそうだし、マグマもそうですし、太陽もそうなんでね。ただ人間の生活の中にそれがくるといけないわけですね。



この世のものは全部、この宇宙のエネルギーは全部、原子力のエネルギーですから。太陽にしてもですね。
ですからまぁ、原子力のエネルギーが悪いっていうわけでもないんです。で、じゃあ世界の原子力発電所はどうかっていうと、これはそうもいえないんですね。




世界には原子力発電所が430ありますけども、大量の放射線が漏れたのはチェルノブイリなんですが、チェルノブイリはですね、チェルノブイリ4号機っていうのが爆発したんですけども、運転してたわけじゃなくて、非常時の訓練をしてたわけですね。わざと自分達で電源を切って、そっからまぁ何とか訓練しようとしてたら間違いが起こったと、こういうことですね。



もちろん原発の事故であることは間違いないんですけども、ちょっとタイプが違うわけですね。そうしますと、日本の原発は今度危なくて、2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が倒れ、それからその年の能登沖地震で志賀原発が…早いですけど時期は、3月でしたか、倒れたわけです。



で、今度の地震、震度6ですけどね、皆、5つの発電所が全部倒れた、と。震度6はそんな珍しい地震じゃありませんからね。ですから原発が危険なのは日本だけって感じなんですよ。世界430機の内ですね、日本で、なかなか見解が難しいんですけど、10とか20の原子炉が壊れたわけですね。




ですから世界の原発は安全だけど、日本の原発は危ないっていうのがほんとなんですよ。事実としてはですよ、
概念ではなくて。何故そういうことになったかっていったら、もちろん地震と津波に対して備えてないってことなんですね。だけど天然災害っていうのは、地震・津波だけではありませんから、大雨とか大風とか台風だとか、そういった全てのものに対して、雷とかテロとか。こういったものに対して、強いかどうかってことなんですね。それで結局、日本の原発だけが壊れた。


日本は非常に技術力が高いのに、日本の原発だけが壊れた。これはどういうことか?ってことですね。例えば一つはJR東日本との比較があります。JR東日本は、2004年の中越地震で新幹線が大きく脱線しました。もしも向こうから一台走って来たら、大事故になるとこでしたね。



これをJR東日本は深く反省し、今度は非常停止装置、脱線防止装置など全てのものを備え、時速300キロで走っていた新幹線、合計で27本。その内、個別には300キロで走ってなかったものもあるでしょうけど、いずれにしても走行してた27本、ほとんど全て正常に止まり、乗客のけが人は私のところでは把握してないぐらい、つまり報道されないぐらいだったということですね。その後、私、東北新幹線何回も乗りましたが、別段、さしたる問題も無く走ってるということですね。



よく、大震災があった、と。これはマグニチュード9で1000年に一遍だから、これはもう1000年に一遍の事故なんだ、という変な話がありますけども。1000年に一遍、もしマグニチュード9だとしますね、私は違うと思いますが。現実的に揺れたのは震度6ですから。新幹線も全然止まってない、脱線もしてない。これをもって特別な事情が起こったということにはならないんですね。


ですから、やはり日本の原子力発電所が壊れたという事実を、まず認めること。それは例えば、JR東日本の新幹線と比べて大きく違うということを、次に認めること。それから震度6などという地震は、通常に起こるということ。



津波で打撃を受けた福島第一は爆発しましたが、津波で打撃を受けなかった茨城第2は、ちょろちょろ漏れてきた海水で水浸しになり、これも電源が止まって爆発寸前までいった、という事実。全電源を失ったというのは、少なくとも色々な人為的なミスも入れて、青森の東通、仙台の女川、福島第一、東海第2と4つもあったっていうことですね。ま、全電源を失うってことは非常に危険であるってことは、チェルノブイリの爆発もそうですし、今度の福島第一もそうだ、と。



そうしますとね、日本の発電所は少なくとも地震・津波に対して、極めて弱かった、と。しかし今度ですね、またそれが逆になってですね、地震と津波に備えればいいんだって話もあるんですよ。極端には、津波でやられたんだから防潮堤を高くしたら、原子力発電所は安全になる。そんなことは無いわけですね。



先程、原発危険論の1に書きましたけども、核爆発については、自己安全性っていいますかね、「絶対に大丈夫なんだ」と言い続けてきたわけですね。それが非常に一面的だってことも我々知ってるわけです。っていうことは、どういうことことかっていいますと、原子力のもちろん発電所の安全性ってのは極めて妥当に、常識的に考えなきゃいけない。そして日本の発電所だけが壊れてる、と。



このことを我々がどのように考えていけばいいかということを、ここでは更に掘り下げていきたいと思っています。