読者のご質問に答えて18. 足し算のできない自治体や新聞記者(何回でも注意)(12/28) | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

(文字起こしをお手伝いして下さった方からの投稿です。danielle(ダニエル)様、ありがとうございました)



読者のご質問に答えて18. 足し算のできない自治体や新聞記者(何回でも注意)(12/28)


--------ここからブログ記事--------


花粉が汚染されているというと、すぐ「大したことは無い」という発表が行われる。よく見ると「花粉だけの被曝」の計算をしている。発表は自治体や新聞でもその後ろには被曝量を計算した専門家がいるはずだ。

被曝や食品安全には決まり事がある。それは「一つだけを取り上げて安全を言ってはいけない」ということだ。正しい計算には次の3種類がある。1)その人のすべての被曝を計算して新しい危険で加わる量を計算し、合計して判断する(現実には難しい)、2)許容量をあらかじめ決めておいて(水0.1、ほこり0.1、食材0.4、空間0.4など。農薬等なら(農薬0.2、食品添加物0.2、日用品の毒物0.3、化学薬品や薬物0.3など))、計算する、3)基準値の100分の1にする、の3つだ。仮に専門家(それを受ける自治体、新聞など)が1)も2)もできない場合、臨時の計算として、1年0.01ミリシーベルトを限度とする。これは「クリアランスレベル」として法律でも決まっている数値である。

「大丈夫だ」を連発して日本人の子供を被曝させようとする大人(特に男)はいい加減で誠実な人間に戻って貰いたい。



--------ここから音声内容--------



えー、同じ様な事を何回も言うような気もするんですけども、この福島原発事故が起こった直後、東大教授が、例えば1時間10マイクロシーベルトぐらいの所に対してですね、「大したことないよ」と。 「胃のレントゲンは1回当たり、600マイクロシーベルトだから」なんて発言してたわけですね。



1時間に10マイクロシーベルトというと、もう1日で240ですから、3日か4日経てば1回のレントゲンになる訳ですね。そういうような、掛け算をしない「1時間当たり」というのを無視して言うという、それも専門家ですから、
もちろんその東大教授は知ってて言ってる訳ですよね。そういうような事が随分あったわけですよ。

この頃目立つのは、それからずっと続いてるのが足し算のできない、まぁ自治体とか新聞記者、これはあるわけですね。例えば最近「花粉」なんですけど、花粉が汚染されてる、と。すぐ「大したことはない」って発表が行なわれますよ。



で、私が見てみると、花粉だけの被曝なんですよね。それが、自治体とか新聞とかですね、正確を期さなきゃいけないところ、もしくは読者とか市民の健康を守るべきところが言うんですよ。で、当たり前の事なんですが、花粉だけが汚れてればそれはそうですけど、空間線量、もちろん高いわけですよね。食品も汚れてるわけです。水だって、やっと10ベクレルに来年からなるっていうような状態ですからね。花粉だけ被曝して大丈夫だって、どうすんの?っていう風に言いたいんですね。


で、これに騙されないように、一つここではですね、決まり事を紹介しときたいと思います。かつて食品の中に農薬が入ってるとか、食品添加物が入ってる時に、一つだけが安全にするとですね、お母さんが3つ買ったらアウトとか、まぁスーパーに行って20個買ったらもうアウトって事になっちゃうんですよ。
20種類ですよ。


だから例えば農薬を使う時には、そういう事ではいけない。かと言ってですね、そのお母さんがどれとどれとどれを買うという事はなかなか決まらないんですね。
じゃ、そういう時にどうするか。っていう規則を皆で決めた訳ですよ。それが今の「100分の1規則」っていうんですけど。



一応順序通り説明しますと、まず一つは正しい方法は、その人の全ての被曝を計算して、新しい、花粉なら花粉の危険で加えるよう計算して合計する、と。これは当たり前ですよね。「花粉は大丈夫だ」と言う限りは、その人が現在被曝しているものを取り上げて、それが例えば0.99ミリシーベルトである、と。で、花粉が例えば0.2ミリシーベルトであれば1・0を越してアウト。こういう風になりますね。


ですから、全ての被曝を計算しなきゃいけない。その全ての被曝って言うのは、全ての人の全ての被曝なんですよ。つまり病人が出るのに安全だと言っちゃいけないんですね。その病人っていうのは人によって違う訳ですよ。非常に被曝しやすい所に居る人もいるし、それからまぁ安全な所に居る人もいるし、食生活も違うんで、
全員の分を計算しなきゃいけないんですね。


それじゃちょっと現実的にできないので、それで具体的な方法、一つは私がこのブログで使ってる方法ですが、
あらかじめ一つ一つの許容量を決めておくわけですね。水では0.1、ほこり0・1、食材0・4、空間0.4と。
ま、こう決めとくわけですね。


これは農薬なんかの決め方と同じですね。農薬で0.2、食品添加物で0・2、日用品の毒物…例えば風呂の洗浄剤とかそういう物で接するのが0.3、化学薬品とか薬物で0.3などと決めといて、そしてそれを元に農薬の規制値を決める、と。



つまり、許容量一杯一杯ですと、農薬だけで一杯一杯になっちゃいますからね。そうすると食品添加物はどうなんだ…日常的な毒物に触れますからね。そういう風に計算するっていうのは割合と現実的ではあるし、厳密なんです。



しかしそれもできない場合があるんですね。実は農薬なんかもそれもできないんですよ。そこで、もう基準量を決めたら、それの100分の1にするっていう簡単な方法があるんですね。



このブログでも何回か書いてますけども、100種類ぐらい色んな危険物があるんですよ、世の中には。もう食品添加物も農薬もですね、日用品にも毒物使うし、鉛はあるし、水銀はあるしですね。ま、色んな毒物がもう、うようよしてるわけです。従ってそういう中で生活するわけですから、基準量の100分の1にしとく、ということが比較的多く行なわれています。



従って放射線の場合ですね、もし花粉だとか一つ一つのものが出てきたら、ま、最低でも「100分の1ルール」ですね。1年に0.01ミリシーベルト限度とする。これは日本に実は法律があるんです、放射線でも。
「クリアランスレベル」という法律で決まってましてですね。


これに違反しますと、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金っていう罰則も付いてるんですね。つまり、むやみに放射線というのは安全だと言っちゃいけない。一つだけ取ればですね、安全なんですよ。ところがですね、水・牛肉・お米・魚・きのこ、空間でも雨のしぶき・雪・落ち葉・焼き芋ですね、それからまぁちょっとどっかに行く、飛行機に乗る、とまぁ山ほどあるんですよ、被曝する原因というのは。



それがまぁ100種類ぐらいやっぱりあるんですよね。ですからそういう時にはそれでやる、と。そういう風な法律もあるんですね。

ですから安全だと言うのを、「1年1ミリシーベルトにいかないよ」じゃダメなんです。1年に0・01ミリシーベルト、というと一応これで食品の基準値なんかの決め方に近くなる、という事ですね。



もっともこの食品の規制値はですね、100種類という根拠もありますし、それから人によって違う、つまり多く食べる人とか、少なく食べる人とかいうのもありまして、もう一つ学問の不確かさ、というのもあるんですね。


これも10倍位見てるんです。そういう意味では100分の1がギリギリだって事ですね。1000分の1でもいい訳です。この1000分の1っていうのは、後でまた何かの時に触れますけれども、例えば日常的に生活をしていてガンになる危険性に対して、放射線で被曝してガンになる可能性は1000分の1じゃなくちゃいけない。



これは原子力安全委員会が発表して、今まで適用してたデータですね。これについてまた別の機会に詳しく言いますが、いずれにしても100分の1とか1000分の1にしないと危険なんですよ。これは安全にするっていうんじゃないんです。種類も多かったり、事情も色々なので、「安全」ではなくて、「危険だから」こうしてるんですね。


大丈夫だということを連発してる大人、大体男なんですけども、ここら辺でね、原発の事故が起こって10ヶ月くらいになりますからね、もう知識も付いてるんですから、
もうこの辺でいい加減に止めてもらって、日本人らしく誠実な人間に戻って欲しいですね。いつまでも「私、足し算できないんです」じゃ恥ずかしいですよ。