ゴジラ -1.0 はトコトン合わんかったなぁ | 財布にはいつも隙間風

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宣伝文句からして、絶対これは地雷だと思ってたんだけど、あまりにも色んな知人友人から「ゴジラ -1.0は見に行け」、VFX が凄いのは勿論、戦後の日本とか人物描写とか、ドラマとして凄いから、とか言われ、偶々スカッと時間が空いて、調べてみたらレイトショーがガラガラだったので、魔が差して見に行ってしまったんだな。

 

結論から言うと、地雷、それも、エヴァのN2地雷並みの超絶破壊兵器的地雷だった。

 

見る映画のパンフレットは必ず買う事にしてるんだけど、買ったことを後悔した、初めての映画になったね。

 

以下、ネタバレだらけ。

 

初っぱなから、何だこの汚してはいるけどこざっぱりとした綺麗なツナギを着て、とにかく早く整備を行って送り出さないといけないと言う緊張感、特攻が行われている終戦間際の焦燥感とかが全然無い整備兵達と、特攻から逃げたという後ろめたさも、バレるんじゃ無いかという恐怖も何も感じられない主人公。

 

そして、ジェラシックパークの T-REX のパロディか、それともハリウッドゴジラのスタジアムシーンのパロディかと思わせる小型ゴジラの暴れっぷり。

初代ゴジラの大戸島への上陸シーンのオマージュなんだろうけど、なんじゃこりゃぁって感じだ。

 

それからも、引き揚げ船で整備兵達の遺品の写真を主人公に渡すという意味不明な行動。

「呪」を掛けたと分かり易くするための媒体だとは分かるけど、自分の部下達が大事にしていた写真を、「クソ野郎」と思ってる奴に渡すか?

 

戻ってきた東京も妙に綺麗でこざっぱりした廃墟。みんな血色も良いし、どうしてお前だけが生き残ってるんだ、そしてどうして自分だけが生き残ってしまったんだと言う、暗い、ドロドロした感情の欠片も無く。


ヒロインが転がり込んでくる所にしても、なんか、俺は一体何を見せられてるんだろうかという気になってくる。

 

そんな安っぽいテレビドラマのような浅いシーンが続いた後、ゴジラが出てきて主人公達が対処する訳だけど、これ、ジョーズのパロディだよね。

 

続く高雄との戦闘シーンは、これバトルシップのパロディだよね。

 

恋人の死を契機に戦うのを決心した主人公は(って良くあるパターンだよな)、10日しか無いと言うのに手紙で人捜し、というか、悪口を書けば怒って現れるだろうって、頭にウジ湧いとんのか?

そして現れた整備隊長達は、三人で、ハンドツールのみで震電のレストアと改造を一晩(?)でやり遂げた上に、スライド式キャノピーの震電に、射出式脱出装置を取り付けてしまう。

えっ?真田さん、真田さんなのか?こんな事もあろうかと、予め作っていたのか?

 

極めつきは、ゴジラを深海に沈めて水圧で潰す、それがダメなら水面に引き上げて減圧で殺す、という二段作戦の科学的根拠、技術的考察の無茶苦茶さ。

 

突っ込みどころだらけだけど、大きく二点。

まず、推定二万トンの物体を 1,000m の深海で浮かび上がらせようとすると、中性浮力だけで二万立方メートルの水を押しのけないといけない。ざくっと東京ドーム5杯分ぐらい?(実際には、ゴジラ自体が押しのけている水の体積分の浮力が存在するので、もっと少なくて済むはずだけど)

そしてその浮き袋を膨らませる為に必要なガスは、地上の100倍の圧力で圧縮されるので、100倍の体積が必要となり、東京ドーム500杯分。ダイビングのボンベなら 200気圧、1/200 の体積にできるので、東京ドーム 2.5 杯分のサイズのボンベが必要になる訳だな。

 

で、決定的なのが、沈めた物を再度浮上させるだけだと、単に圧縮された物が元に戻るだけで、意味が無い。

深海魚が浮き袋を吐き出すように、ゴジラも減圧で破裂するとか言いたいんだろうけど、それはゴジラが深海の水圧と内圧が同じになっている時の話だ。

 

もう無茶苦茶。

 

そして、震電がゴジラの口に突っ込んで爆破させるシーン、えっと、インディペンデンス・デイのパロディですか?

 

人物の心理描写、心の移ろいは浅いし、下手な日本ドラマのお涙ちょうだいシーンが臭いし、破壊シーンは派手だけど、初代ゴジラを踏まえているわりに、理不尽な暴力により街が燃える(戦争、空襲の比喩)と言った描写も無く、単なる破壊。ゴジラのアングルは初代ゴジラとシンゴジのパロディ。時々ハリウッドゴジラのパロ。

 

ホントにもう、俺は一体何を見せられてるんだろうかという気持ちしか無く、今までに見た映画の中で、ワーストワンってな感じだな。

 

まぁでも、高雄の零距離射撃と、震電はよかった。

震電は本当に良かった。

 

この映画で良かったのは、そこだけかな。