息子は統合失調症 -22ページ目

息子は統合失調症

1992年生まれ。18歳で発症した息子の記録。

昨日盛り上がり過ぎたか?
今日はまたうつむいていた。
目も虚ろ。

私の話を聞いているのかいないのか?
ダメだこりゃ。

日曜日のせいか面会も多い。
ざわざわしていた。

   お母さんに言ってもしょうがない。

え?何?
しょうがないだろうけど、
話してみてよ。

   臭いが…
   トイレのとき…

トイレで臭いのは当たり前だよ。

なんだか要領を得ない。
どうやら少しお腹の調子が悪いよう。
なのに、看護師さんに言ってない。
先生に言うから、と。
体調が悪いときはすぐに
看護師さんに言わなきゃ!

どうも一人で耐えてしまう。
それは我慢しないで話そうね。

そうは伝えたけど、
きっと言わないだろうな。

帰りに看護師さんに伝えたかった。
でも、なんだかバタバタしていて
私も話せなかった。

人と話すのが苦手。
中学も高校も
ずっと一人だった。
あえて友達を作らずにいた。

あの頃からすでに
一人で耐えていたのかもしれない。
たくさん笑顔が見られた今日。
帰り際、伸びた髪を気にしていた。

いつも私がカットをしている。
家に少し帰れればいいね。
外出は前日に許可が必要。
とりあえず、帰りに看護師さんに
聞いてみるね。
そう言って別れた。

すると!
お母さんが一緒なら大丈夫よ。と。
えー、今日の今日でも?

バタバタと先生にも許可を
取っていただき、
思いがけずに外出となった。

息子、満面の笑み‼︎

すでに3時を過ぎていて、
4時までのタイムリミット。
「少しくらい遅れても大丈夫よ」
と看護師さんのアバウトさに感謝。

病棟から外に出て、
解放感からまた笑顔。

家に着くと、早速カット。
そして、シャワー。
爪も切り、ヒゲも剃り、さっぱり。
病院でもできることだけと、
家だと違うね。

そんな中でも、
時間を気にする息子。

時々帰って来るといいよ。
お母さんと一緒なら
どこでも行けるんだって。
そう‼︎
昨日公開の乃木坂の映画にもね。

嬉しそうな反面、つぶやく。

   僕だけ、楽しんでいいのかな?
   病棟の他の人に悪くないかな?
   何か言われないかな…

えー、そんなことまで気にする?
優し過ぎるよ。

甘いオヤツあるよ、食べる?
ジュースもあるよ、飲む?

   いらない。

えー、そうなの。
あくまでもストイック。

全部、全部、退院後のお楽しみ。

ほんの1時間の滞在だった。
幻聴についての記述がわかりやすい。
とのことで、読んでみた。
これは、読売新聞の大阪本社版に
2003年6月から1年半連載された
「統合失調症とともに」を
まとめたもの。
ブックレットなので、
71ページであっという間に読めた。

やはり、当事者の言葉はリアル。
何よりもありがたい。

あー、似てる。
まるで息子と同じじゃないか。
そう思うところがたくさん。

幻聴、幻覚、薬、副作用、
家族、社会…
当事者の体験談、思い…
とても具体的で、
直球で心に響いてきた。
まるで息子の苦悩を
代弁しているようだった。

当事者、家族だけでなく、
たくさんの方に読んでほしいと
思った一冊。


昨日の話が効いたのか?
はたまた薬が効いてきたのか?

いつもよりスッキリした
いい顔をしていた。

まっすぐ私の目を見ていた。

   このまま入院していてもいいかな。

あれほど帰りたいと言っていたのに、
どういう心境の変化‼︎

今日で入院3週間が過ぎた。

具体的な計画を立てるといい。
別な精神疾患で通院している知人が、
そんな主治医の対応に
納得したと教えてくれた。

なるほど。
これは使えるかもしれない。

早速息子に伝えてみた。

この先どうなるかわからない、
そんなことを考えていると
退院は遠のく。
早く退院したいのなら、
計画を立ててみよう。

退院が近い日なのか、
2ヶ月後なのから3ヶ月後なのか
もっと先なのかわからない。
まずは、今日できることを考えよう。

悪口が聞こえる。
臭いが気になる。
みんなに迷惑をかけている。

そんなマイナスなことは
プラスで帳消し、
いや、さらにプラスにしていこう。

マイナスを気にするな、
なんて難しいから、
プラスでカバー。

息子の顔が上がった。
考えている。

   作業療法にたくさん参加する。
   院内のデイケアにも行ってみる。

おー、そうだね。
この病院という空間の中で
今何をしたらいいか。
どうすれば退院の日が早く来るか。

そんな話の途中でも、
嫌な幻聴は聞こえているよう。

目指すは退院。
幻聴を聞こえなくすることじゃない。
幻聴と向き合って、
幻聴に負けない生活を考える。
そうすれば退院できるさ。

まずは、今日できること。
夕飯をしっかり食べること!
食べるのが遅くて
病院に迷惑かけるから残す。
そんなことを言ったので、
体が基本!と伝えた。

そして、明日できること。
お風呂にちゃんと入ろう。
身なりは大事。

何も難しいことじゃなくていい。
その日その日できることを
やればいいのさ。

少しだけ、ほんの少しだけ
息子の顔が明るくなった気がした。