私の娘は、かなりの恥ずかしがり屋で人見知りだ。


店員さんやご近所さんなどにはもちろん、
何年も習っている習い事の先生にでさえ
モジモジして蚊の鳴くような声でしか話さない。


そんな娘の姿をみていると、
母のこの言葉を思い出す。


あかんたれ


関西弁なのかよく分からないが、
意味は、意気地のない弱虫、ダメな子
という意味だ。


かつての母は、何かにつけて私にこの言葉を言っていた。


具体的には覚えていないが、
母から何かをしろと言われて、
内気な私が渋ったり出来ない、と言うと


ほんま、あんたはあかんたれやなー。
情けないわ。
ようくんもこんなんで、あんたまでそんなんでどうするの?


と、よく言われていた。


そう言われるたびに、
幼い私は素直に
自分はなんてダメな子なんだ‥
と、ろくでもない自分を呪っていた。


母の口癖といえばもう一つ。


そう、金食い虫


兄が障害者だから、という理由なのか、
自分のコンプレックスの捌け口にしていたのか、
理由は知らないが、とにかく当時の母は私の勉強に課金していた。


物心ついたころから気づけば公文に入れられていて、
中受のために遠方の塾に通わせ、家庭教師まで複数人つけていた。
中学で成績不振に陥ると、訪問販売のインチキ出版社に騙されて成績が上がるという胡散臭い教材に、何十万も払っていたり。

とにかく、母は私の意見や希望、素質はおかまいなしに、
勝手に医者にする、と決めて湯水のように私の教育費に金を使っていた。


でも、テストの点数が悪かったり、
結果が伴わなかったり、
自分の望む大学に行かなかったり、
医者にならなかったり、
とにかく何かにつけて自分の望みに達しない結果をもたらす私に、母はいつも


ほんま、あんたはただの金食い虫やったなー。
全部、無駄金やったわ。
ようくんがこんなんやから、あんたくらいは賢い子にしたかったのに。
甲斐のない子やったなぁー。


と宣うのだ。


そう、あかんたれ も、 金食い虫 も、
ようくんが障害者だから、あんたは‥
と勝手に母が期待して、それに応えられなかった私を罵る言葉なのだ。


私からしたら、いい迷惑。
知ったことではない。


ようくんが障害者でも
私は私なのだ。


でも、母にはそれが分からない。


何故なら、ようくん在りきの私だから。


何故私を一人の人間として尊重できないのか。
だからこんな心ない言葉を、
可愛い愛娘に平気で浴びせるのだろうか‥


このドラマの主人公もドラマの中で言っていたが、

虐待やネグレクトじゃないから周りには分からないが、親から無碍に扱われたり無関心だったり
心ない言葉を浴びせられるのは、
虐待やネグレクトと同じくらい、
子供の心を傷つけダメージを与えるのだ。


母からの何気ない罵りが、
私の心を深く傷つけ、私から自信も自尊心もやる気も奪い去ってしまった。


モジモジしている可愛い私の娘。

そんな彼女の姿を見ていると、
自分は、決してそんな母親にはなってはいけない。

そう改めて私は気を引き締めるのだ。