出演、坂東玉三郎玉、市川海老蔵
初シネマ歌舞伎となりました。
オリジナルの上演は2009年7月、9年前なんですねー。
今回シネマ歌舞伎の過去のラインナップを知り、あれも観たかったこれも観たかったと後悔しきり。
若い頃の自分になぜもっと早く歌舞伎に興味を持たなかったのか!文句の一つも言いたくなりました。
今回の演目は泉鏡花の戯曲から。
玉三郎さんと泉鏡花の相性の良さは映画作品で知っていたので、楽しみに劇場に向かいました。
私が鏡花の物語に惹かれる理由のひとつに、神や物の怪が日本に存在し、彼には本当に視えていて、観察・体験してきたかのような描写があります。
学生時代夜叉ヶ池を読んで実際に本物の夜叉ヶ池を見に登山したほどです(夜叉ヶ池は福井県と岐阜県の境界、山の中にあります)。
彼の書く世界では神と人は世界、価値観が異なる存在として明確に書き分けられていて、神は人間の営みに簡単に降りては来ないんですね。
人間の価値観に合わせた感情や言葉も発しない。
普通ストーリー上こう動くだろう、とかそこは感動したり怒ったりするところでしょう、という部分に「ちゃんと」動かない、人間とは異なるロジックで動いている。
そこがおもしろいんです。
海神別荘では海神の公子と贄として海に捧げられた美女の噛み合わない会話、価値観を軸に物語が進んでいきます。
ズレた2人の台詞が波に揺られるように優雅に流れつづけ、次第に緊迫感を増していき、人であることに執着する美女にとうとう公子が怒りを爆発させる・・・。
まるで海神の別荘でひと時を過ごしているかのような没入感がありました。
映画でこれですから、実際に生の舞台を観たらもっと疑似体験出来たんだろうなぁ。
唯一気になったのは、衣装デザインに時代を感じてしまったこと。
上演当時人気イラストレーターであったろう天野喜孝氏による衣装は、時間の洗礼を受けてしまっていました。
通常の歌舞伎の着物であったならば、今観ても古さを感じなかったかも。